金型・部品加工業専門コンサルティング

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SUS304のプレス曲げで、金型のダイのカジリが止まりません

FAQ

SUS304のプレス曲げで、金型のダイのカジリが止まりません

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「SUS304のプレス曲げで、金型のダイのカジリが止まりません」

これは、クライアント先のプレスメーカーの金型部門さんから来た相談です。

 

さっそく金型、ダイの状態を、デジタル顕微鏡で見せてもらいました。

それがこちら。

金型加工コンサルにおけるプレス金型焼き付きの状態画像_1

 

金型加工コンサルにおけるプレス金型焼き付きの状態画像_2

 

特に画像の真ん中あたりの部位が、かなり強烈に損傷しています。

ただし、画像の左側のあたりを見ると、ヤスリ傷らしきものが残っていることも見て取れます。

 

このダイ部品の材質は、DC53であり、そもそもどのように加工されたのか、クライアントの金型技術者の方に確認したところ、次のような工程で加工したようです。

  1. マシニングによる穴加工
  2. 外注業者による熱処理(HRC58~60)
  3. ワイヤー放電加工機による直面部の機械加工
  4. ダイヤモンドヤスリによる滑り込みRの手加工
  5. 手作業による磨き加工
  6. 外注業者によるPVDコーティング

 

コーティングについては、日立金属工具鋼株式会社のPVDコーティング Tribec を使われたようです。

その際に、ラップ磨きが行われたとのことです。

 

さて、ここで気になったのは、先ほどのヤスリ傷です。

というのは、そもそも、コーティング前の機械加工の仕上げ面が良くなかったのでは、という仮説です。

 

そこで、ダイの中で、損傷していないところを拡大してみました。

それがこちら。

金型加工コンサルにおけるワイヤー放電加工の加工面の拡大画像_1

 

もう1箇所の画像がこちら。

金型加工コンサルにおけるワイヤー放電加工の加工面の拡大画像_2

 

どうでしょうか。

肉眼で見ていると、しっかりと磨かれているように見えましたが、デジタル顕微鏡で拡大して見てみると、実際の加工面はこのような状態です。

 

また、ワイヤー放電加工の状況を確認すると、ファーストカットのみの加工であり、その後の手磨きについても、研磨紙でワイヤー放電加工後の加工面の粉の除去だけを行ったそうです。

 

さらに、その手磨きについても、一部ダイヤモンドヤスリを使ったようで、その深いヤスリ傷も残っておりました。

それがこちら。

金型加工コンサルにおけるダイのヤスリ傷の拡大画像

 

拡大して見てみると、しっかりヤスリ傷が残っていることがわかります。

こういった状態になっていると、例えば、プレス成形が困難な材料、ハイテン材やステンレス材が相手になると、焼き付きやコーティング剥離などの原因となります。

 

というわけで、こちらのクライアント先では、次の対策をとってもらうことにしました。

  • 手仕上げ磨きを軽減させるよう、ワイヤー放電加工をサードカット又はフォースカットまで行い、充分な仕上げ面を得る。
  • 磨き作業は、拡大ルーペを使って、磨き傷が残らないように磨く。
  • 磨き手順を確立する。例えば、スティック砥石→研磨紙→ダイヤモンドペーストなどの順番とする。

 

これまで、こちらのクライアント先では、いろいろなコーティングの種類を変えて試して、対策していました。

コーティング種類の把握という観点では、その対策も意義あることですが、金型の問題解決については、まずは原因究明をしっかり行うことが重要です。

 

※ 実際の加工においては、工具材種だけでなく、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の加工においては、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

 

金型・部品加工業専門コンサルティング

技術コンサルタントshoei

代表コンサルタント:村上 英樹

 

 

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コメント

  • 村川 より:

     私は、コーティングでは駄目で形材をSKD11→SLD-MAGICにしたらかじり問題をクリアーできました。

    • murakami より:

      村川さま

      貴重な情報ありがとうございます。

      ご返信遅れまして、すみません。

      題材にあげさせていただいた金型においては、
      ワイヤーカット1stカットのみ、
      また磨き処理が技能的に不十分、
      さらに解析で検証した結果、ダイへの面圧が強い、
      といったように、色々な要因が重なっておりました。

      そこで現在、技能面の見直しから、
      進めさせていただいているところです。

      しかしながら、金型材料からの見直しも、
      大変重要なアプローチですので、
      ぜひ参考になせていただきます。

      今後とも何卒よろしくお願いいたします。

      村上

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