金型・部品加工業専門コンサルティング

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【番外編】ものづくり補助金特集(5月号掲載)

【番外編】ものづくり補助金特集(5月号掲載)

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今回は人気の産業支援策、ものづくり補助金について、筆者の見解から採択確率を高める申請書作成について触れてみたい。

この補助金は経産省の産業支援策であり補正予算で組まれている。多くの補助金は設備投資に制約があるなか、数少ない生産転用がきく補助金として人気がある。新製品や技術開発に対し設備投資を行うと、その支払った費用の2/3が補助金として事業終了後に入金される。

小売りやサービス業も対象とした「革新的サービス」分野もあるが、ほとんどの金型メーカーは「ものづくり技術」分野で応募すると思われる。この「ものづくり技術」分野は、「ものづくり高度化法」で定められている12種類の技術が開発対象になるのでご注意いただきたい。

金型メーカーとしての活用方法として、技術の高度化・生産効率化・新製品開発などが考えられる。なお、設備投資は必須要件である。例えば、技術の高度化として高硬度材の直彫り切削や、生産効率化として金型の高速加工などが考えられる。新製品開発としては自社業務のために開発した機械装置の他社への販売なども例として考えられる。

申請ノウハウについて

では、申請にあたっての具体的な準備をみていく。ただし一般的な解説はネットで容易に調べられるため、今回は筆者が13社全て採択させることができたサポート経験に基づき、採択確率の高い申請書の作り方をご紹介する。

ただし、本記事による採択の保証はないのでご注意いただきたい。あくまで私個人の私見である。

申請書をつくる手順は、大きく次の4つのフェーズに分ける。

具体的には、①導入する機械設備を決める、②テーマを決める、③小見出しに沿って下書きをつくる、④申請書に記載する、である。

申請書の作成にあたっては、テーマを決めることが9割の仕事だと思っている。そのくらい重要な仕事である。要件さえ満たせば受給される助成金とは違い、採択・不採択が分かれる補助金。採択レベルのテーマを先に決めてから書かないと、途中で何度も書き直すことになるのでご注意いただきたい。

それでは申請書の具体的な作り方を見ていこう。

具体的な申請書の作り方

① 導入する機械設備を決める。

気を付けたいのは、なるべくリプレースを避けること。このイメージが強い案件は不採択確率が高くなる可能性があるのでご注意いただきたい。

② テーマを決める。

安易なテーマでは採択確率は上がらないためここが重要である。私のオススメは3C+1分析である。3C+1分析とは、「顧客(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」といった、「C」の頭文字が付く各分野全てに適合する事業分野を模索する際に使う分析手法で、3つのCにもう一つの視点を加えた筆者オリジナルの手法である。

すなわち、①自社でまだ対応できていない、②近隣の同業者も対応できない、③顧客(川下企業)が求めている、④貴重な税金を投入するべき価値がある、この①~④の要件に重なる技術を取り上げたことで、昨年筆者がサポートした企業は全て採択された。ぜひ参考にしていただきたい(図1)。

図1テーマの考え方
③ 申請書の下書きをつくる。

オススメなのは公募要領に記載してある審査基準を元にした小見出しをつくり、それに沿って記載内容を下書きする。こうすることで、審査に求められている項目を漏れなく記載でき、審査側も見つけやすいという効果がある。

④ 実際に申請書に記載していく。

伝えたい要点を優先した文章にする。長い文章はわかりにくくなるので避ける。なるべく主語と述語のシンプルな文章にする。ポイントは、現状の加工方法で起こりうる事実を「技術的課題」として記載し、これを新しい設備が持っている機能を使って解決を図るという内容にする。

具体的に何の数値がどうなったら解決なのかを「定量的目標」として記載する。

ただし、導入する機械の機能を使って即解決するのでは、その機械を導入した他企業が同じメリットを享受できてしまうため差別性のある競争力強化にならない。そこで、自社独自の技術や製品などを完成させるための実験を記載し、その試行錯誤についての「定性的目標」も記載する。

事例紹介

筆者が支援した3社の事例から参考にできるポイントを紹介する。

① 有限会社 タチバナ金型製作所(愛知県愛知郡東郷町春木下鏡田161-6 TEL 0561-38-1314 )

申請例が多いマシニングの事例である。やはりマシニングの機能だけではなく、既存設備には無かった新しい機能を開発にどう活用するかを記載するのがポイントである。筆者は多くのリベンジ申請を手掛けたが、不採択になった申請書の内容は、ほとんど設備の持つ機能のアピールのみであった。

同社は、金型の鏡面加工をテーマとした。取りあげるテーマは何も業界初の技術である必要はない。自社の取引の中で、川下企業の課題・ニーズに応え競争力を生むテーマであれば、採択の可能性は十分にある。

② 株式会社 伊藤プラスチック工業(愛知県大府市桃山町1丁目137−2 TEL 0562-45-6100)

同社は金型メーカーではないが、射出成形金型を扱うメーカーには量産成形まで請け負う企業もあるので参考になればと思い取り上げた。一般的に射出成形機の採択確率は低いと言われている。 汎用性が高い機械と比較すると開発には使いづらいためである。

同社は、難易度の高いインサート成形などに強みを持ち、熱可塑性エラストマー素材を扱う成形技術の開発をテーマとした。自社や顧客、同業者が困っている技術の開発につながれば十分採択テーマとなる。同社のように、同業者も安定成形が難しい原料や製品を扱うといったテーマも面白い。

③ 株式会社 愛工金型製作所(愛知県小牧市大字大草5419-12 TEL 0568-54-1981)

取りあげるテーマは、強い顧客ニーズが存在する技術分野が望ましい。それは、中小企業庁が提示している「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」の中で記載されている。ここに示されている川下企業が求める12の技術分野の課題及びニーズがそれにあたる。これに応えるテーマが望ましい。

同社は、高品質な金型を極めて短納期で作り上げる技術に強みを持ち、補助金事業においては「精密加工」の分野で、高機能化・精密化・軽量化及び品質の安定性・安全性の向上という課題及びニーズに応えるべく、アルミを使った試作型の技術開発に取り組んだ(写真1)。

写真1 金型と量産、トータルバランスで収益性を考えた経営を行う愛工金型製作所の業務風景

「技術課題の解決方法」には、新しく導入するマシニングの持つ機能により、高精度な高速加工を行うことを記載し採択されている。

留意点について

最後に留意点をお伝えしたい。

申請書の代行を依頼する際、金額が大きいのでよく相手のサービス内容を確認のうえ依頼されることをオススメする。リベンジ申請を多く手掛けた筆者が思うに代行業者は大きく2種類に分かれる。

一つは、金型メーカーの皆様の頭の中にある案を行政向けのきれいな「である調」の文章に書き起す代行。もう一つは、私が申請書作成の9割の仕事だと考える、採択レベルの開発テーマとその技術的課題まで一緒に考えてくれる代行である。

高額な着手金を支払うのならば後者を選びたい。不採択になった場合、大きな機会損失となるのでご注意いただきたい。金型メーカーの皆様の採択を心よりお祈りする。

 

 

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