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有限会社ヤマヤス工業のコンサルティング事例【後編】(2017年2月号掲載)

有限会社ヤマヤス工業のコンサルティング事例【後編】(2017年2月号掲載)

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先月号に引き続き、有限会社ヤマヤス工業(愛知県稲沢市  TEL 0587-32-3587 以下、「ヤマヤス工業」)における、金属切削加工業界への新規参入の取り組みを紹介する。

 

最近の金属加工業界は、下記の要因などにより、従来と比べ益々厳しくなっている。

  • エンドユーザーからの要求品質の高まり
  • 国内外含めた過度な価格競争
  • 総じて技術水準が上がり、難易度の高い加工品が増加

 

これが全てではないが、いわゆる生産管理用語でいうところの、QCDが強まっているということに他ならない。まさに新規参入を図る同社にとっては、いきなり高いハードルが立ちはだかっている。

 

コンサルティング前に抱えていた課題

ヤマヤス工業にとって大きな課題であったことは、①販路開拓のきっかけがない、②具体的な引き合い案件がなく技術者教育における実践の場が得られないことであった。

 

特に、技術者育成については、「知識」の習得と、「技能」のトレーニングの2つが必要となるが、基礎知識の習得は筆者からの教育により進めることができても、技能のトレーニングについては、今後受注していく加工案件を想定したものが、本来は望ましい。

 

しかしヤマヤス工業には、まだ具体的な加工案件も無かったため、何を実践し技能の訓練を積めばよいかわからなかった。

 

筆者のネットワークを活用し、企業連携により解決

そこで、筆者のネットワークを活用し、①技術者教育、②販路開拓、それぞれについて対応していくことにした。

 

技術者習得については、以前本連載に登場したユーアイ精機株式会社(以下、「ユーアイ精機」)と連携し、ヤマヤス工業の担当者がプレス金型の設計から加工までについて学ぶ。

また、販路開拓については、これも以前登場した株式会社プロイスト(以下、「プロイスト」)との連携により、ヤマヤス工業が導入した5軸加工を活かせる仕事の受注獲得を図る。

 

これについては、それぞれの会社にメリットがなければいけない。その点も含め、具体的な取り組み内容について見ていこう。

 

ユーアイ精機(株)との連携

以前紹介した通りユーアイ精機は、プレス金型の製作だけでなく、試作板金から単品部品加工なども請け負う幅広い対応を行う金型メーカーである。

 

これは今後、5軸マシニング(以下、5軸MC)を活かし、幅広く金属加工を受注していこうとするヤマヤス工業にとって、まさに良いお手本となる。

 

そこで、これまでプリント基板の穴あけ加工をメインに行なってきたヤマヤス工業であるが、今後短期間で金属加工を事業化させるため、担当者である佐古氏を1年間ユーアイ精機に出向させることにした。

 

またその出向と共に、ヤマヤス工業が導入した5軸MCは、同じく1年間、ユーアイ精機の工場に設置することとし、佐古氏と共にお世話になることになった。

 

ユーアイ精機(株)にとって課題となっていたことは、金型製作における設計担当者を計画的に育成することであった。

 

今回、ヤマヤス工業が3次元CAD/CAMを活用した5軸加工を進めていくにあたり、担当者の佐古氏の教育計画が必要になる。

そこで、3次元CAD/CAMの操作の習得をはじめ、ユーアイ精機の工場で仕事をするための金型設計ノウハウの習得などについて、一連の教育内容を体系化し、今後ユーアイ精機の社内でも使える教育資料としてまとめることにした。

 

これにより、今後ユーアイ精機としては、3次元設計ができる担当者を計画的に育成していく教育カリキュラムを作ることができる。

また、ヤマヤス工業としても、今後開拓する受注案件として、受け取った図面の加工だけでなく、金型及びその構成部品の加工について、設計から着手することで、請け負う仕事に付加価値を与えることができる。

 

この取り組みについて筆者も、佐古氏への金型設計の指導と、金型製作業務に適した作業要領書の作成についてサポートを行った。

 

金型製作の業務は、ルーチンワークではなく応用力が問われるため、作業の標準化も必要だが、KYT(危険予知訓練)に近いトレーニングが必要となる。

 

例えば、金型設計やその機械加工などにおいて、その腕の良し悪しは、どれだけ加工後に発生する諸問題を予測できるか、またその対処の引き出しをどれだけ持っているかで決まってくる。

 

そこで今回、ヤマヤス工業の佐古氏に指導した内容については、①正しい手順とそのやり方、②間違ったやり方、③起こりうる不具合・問題点の3つの切り口で要領書をまとめた。

 

例えば、マシニング加工におけるワークの段取り作業については、正しい手順、よくある失敗例までを指導する。さらにその失敗した段取りから金型におけるどのような不具合影響が起こるかを、まずは佐古氏自らが考える。そしてその事象の裏づけとなる知識まで指導を受け、それをまとめる。

写真1 ユーアイ精機の今本氏から指導を受ける佐古氏

 

出来上がった要領書は、ユーアイ精機にとっても財産となり、このWin-Winの関係こそが今回の連携の最大の目的であった。

 

(株)プロイストとの連携

次に、ヤマヤス工業とプロイストとの連携についてである。

プロイストは航空機部品などの仕事を請け負っていることもあり、5軸加工機が必要な受注案件を検討していた。そこで今回、筆者のネットワークを通じ、2社での共同受注を進めていくことにした。

 

この取り組みにより、プロイストは協力会社のリソースとして5軸加工を営業ツールとしていくことができ、またヤマヤス工業は5軸加工を必要とする受注案件に対応することで、例えば同時5軸加工を自社技術として蓄積していくきっかけにつながる。

写真2 同時5軸のサンプル加工データを作成している様子

 

また、プロイストは金型メーカーでありながら、鉄系材料やアルミなどの非鉄金属など、さまざまな材料の加工に対応しており、ヤマヤス工業はその加工ノウハウにも触れる絶好の機会である。

 

昨今、国内の金属加工業界においては、極めて短納期の対応に加えて、発注側企業の負担低減につながる、材料調達から加工、後処理までの多工程を全て請け負う、いわゆるワンストップ受注も求められている。

 

もちろんプロイストもこうした受注方法を進めている中で、ヤマヤス工業との連携により、より技術的付加価値の高い受注活動を進めていくことができる。このWin-Winの関係についても、まさに今回の連携の目的である。

 

ヤマヤス工業の今後の取り組み

今回3社の連携について取り上げたが、今後は筆者のネットワークを通じて、さらに連携する企業の数を拡大していく計画である。そこに必要とされるのは、個々の企業に不足しているリソースの相互補完であり、そこにWin-Winの関係が生まれる。

 

逆に頼るだけの依存性の高い関係を求める企業が参加することは、その関係崩壊になりかねない。そうした意味で、まず単工程としてより高い技術的付加価値を得ていくため、ヤマヤス工業は大学との連携により、同業他社よりも一歩さらに進んだ切削加工技術にチャレンジしている。

 

こうした様々な連携活動により、成熟の進んだ金属加工業界での早期の成功を目指すヤマヤス工業に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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