金型・部品加工業専門コンサルティング

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株式会社 瑞木製作所のコンサルティング事例(2017年6月号掲載)

株式会社 瑞木製作所のコンサルティング事例(2017年6月号掲載)

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本号で紹介する機械加工メーカーは、フライス加工や旋盤加工などの機械加工を主力事業とする株式会社瑞木製作所である(愛知県尾張旭市 TEL 052-771-8410)。

 

同社は、航空宇宙産業分野で高い実績を誇っており、扱っている加工部品のほとんどは、チタン合金やインコネルといったいわゆる難加工材である。その技術力の高さから平成19年には経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業にも認定されている。

写真1 同社に飾られているサンプル加工品とコンテスト等の受賞実績

 

同社の技術者育成の特徴

昨年、同社が使用している3次元CAD/CAMの技術者教育のため、研修講師を担当させていただいた。

 

通常、3次元CAD/CAMの技術者教育は、販売ベンダやそれを専門とする事業者を活用する企業も多いなか、個々の応用力を伸ばし自ら考える能力を養っていくといった、同社の育成方針に沿いつつ、3次元CAD/CAMを習得するということから、CAD/CAMや切削加工分野を専門とした中小企業診断士である筆者に声がかけられた。

 

今回の支援の特徴

今回、面白い取り組みがあるので紹介したい。3次元CAD/CAMシステムを5・6名でシェアして活用していく点である。

 

筆者がこれまで見てきた多くの製造現場では、3次元CAD/CAMはユーザーインターフェースが進化し使いやすさは向上したとはいえ、依然その専門性は高く、多くの金型メーカーや加工メーカーでは、専任のオペレーターが担当していることが圧倒的に多い。

 

しかし同社は今回、5名の機械オペレーターに研修を受講させ、同社が保有する2台の3次元CAD/CAMを、5人全員が利用できるようにと考えた。

 

同社が普段加工している製品形状には非常に多くの種類があり、その加工方法においては、手動による汎用加工、工作機械の対話式プログラム、2次元CAD/CAMの利用、そして3次元CAD/CAMを利用した方がよい場合など、効率性、加工精度・品質を考慮するとそれぞれに適したツールがある。

 

今後、加工を行う各作業者が、同社にある全てのツールを活用できるようになれば、多くの加工品を多能工化でき、機械稼働率を高めることができる。

また、担当する作業者に依存することなく、同社にとって最適なコスト・加工品質で、ものづくりを行う体制がより強化することになる。

 

研修の具体的内容

今回の研修を行う前、3次元データ作成作業は、限定された担当者に負荷が集中しており、そういった加工品が集中したときには、工程にボトルネックが発生していた。

 

そこで、その解決を図るべく、同社の鈴木会長の号令の元、この研修が開始された。

 

今回の研修にあたっては、これもぜひ読者企業の皆さんに参考にしていただきたい点がある。5名の受講者がそれぞれ決意表明として、特に取り組みたい点・どのような加工で活用したいかなど、一人ひとり研修開始時に発表していただいた。

 

これも鈴木会長の計らいであり、講師としては一人ひとりの現状スキルや取り組み姿勢などを知る良い機会となり、大変ありがたかった。各受講者としても、自分の力量・取り組み方を整理する良い機会ではなかったか。

 

研修に使用した3次元CAD/CAMは、オートデスク社のHSMワークスである。

 

普段、3次元CAD/CAMにhyperMILLを使用している筆者は、事前にHSMワークスの機能・操作を調査し準備したのだが、このソフトウェアは同社の加工にとって、また今回の研修にとっても、非常に適したシステムだと感じた。

 

まず加工に適した点だが、同社の事業である航空宇宙産業分野における加工品には、多くの薄肉加工部位が多い特徴がある。

 

これまで金型製作を主に加工をおこなってきた筆者にとって、例えば、高硬度材を切削する技術とは異なる、非常に繊細で、段取りから工具選定、切削手順まで幅広いテクニックを要する加工技術だと強く感じた。

 

筆者の経験上、こうした繊細で複雑な加工を行う場合、使用するCAMシステムには、工具の切削軌跡を調整するパラメーターが多ければ多いほど助かる。

 

特に、3次元CAMにおけるデータ作成の場合、その切削軌跡はコンピューターに委ねる部分が多いため、あまり人間の手で細かな調整を行うことは少ない。

 

こうした操作性はユーザーにとって、運用できるまでの時間を短縮させ、誰でも簡単にデータ作成がしやすくなった効果をもたらした点はあるが、加工面にわずかなにできるアプローチ痕の除去や、切削軌跡の違いによる美観の向上、局所的な加工負荷の抑制など、部分的に、人間のノウハウを入れ込みたい加工があっても、それができるソフトとそうでないソフトが存在する。

 

同社が使用しているHSMワークスは、こうした細かな調整が可能で、それが荒取りから仕上げ加工まで細かなパラメーターが用意されており、同社の繊細な加工の調整に応えることのできるソフトウェアであった。

 

また、今回の研修にも適していると感じた点として、このHSMワークスのように多くのパラメーターは逆にデメリットとして、ユーザビリティを低下させる一因となることも多い。

 

しかしながら、HSMワークスの場合は、デフォルト設定される各パラメーター値は、事前に登録されている固定値ではなく、都度、工具や条件に合わせた数値に自動計算され、特に必要がなければ、そのまま入力・編集しなくても支障ないように作られている。

 

前述したように、同社の技術者育成の方針は、応用性・創造性を養い伸ばす方針であり、これはまさに、オペレーターそれぞれの扱い方に応える適正なCAMである。

 

とかくCAMシステムに切削軌跡の作成を依存しがちな3次元CAMにおいて、自分のこだわりたい部分にこだわってデータ作成ができるシステムだということである。

 

このような研修方針において筆者は、HSMワークスがアドオンされているSolidWoksを用いた3次元モデリング研修、HSMワークスによるCAMデータ作成研修の最中、3D加工のセオリーや工具選定指針などの講義も織り交ぜながら、それぞれを計8回で行い、最後は各自、自由に題材を決め、実際にマシニングを使って加工を行うという演習までを行い、昨年の研修は終了した。

写真2 研修課題のモデリングとCAMデータ作成を行っている様子

 

支援の効果と今後の同社の取り組み

前述したように、同社が扱う加工品のほとんどは、チタン合金やインコネルといった耐熱合金であり、こうした素材の切削加工は、単にロックウェル硬度が高いから加工条件をどうするといった対処だけでは済まない。

 

「ねばい」ということでその切削抵抗は上がり、素材の熱伝導性から切削点や素材にこもる熱も考慮しなくてはいけない。

 

こうした特殊な切削性に対応していくためには、金属・非鉄金属に対する正しい知識や、切削メカニズム、工作機械などに関する幅広い知識が必要になる。

 

筆者は、今年度も新たなメンバーと研修プログラムで構成される講師を担当させていただくにあたり、単にCAD/CAMの操作だけではなく、包括的に同社の技術者の底上げにつながるサポートをしたいと考えている。

 

高度な成長分野を支える同社において、その基盤となる技術者を、独自の方針で育成を図り、また自社の持つ加工ツールを最大限に活かし、最善の効率化・高品質化を図る同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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