金型・部品加工業専門コンサルティング

金型・部品加工業専門コンサルティング(加工コンサル)は、金型メーカーや、マシニングなどの機械加工業を専門とする経営コンサルタント事務所です。

TEL.0566-21-2054

〒448-0853 愛知県刈谷市高松町5-85-2

(株)愛工金型製作所のコンサルティング事例【後編】(8月号掲載)

(株)愛工金型製作所のコンサルティング事例【後編】(8月号掲載)

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

今月号も引き続き、愛知県の(株)愛工金型製作所(愛知県小牧市 TEL 0568-54-1981)を取り上げ(以下、「同社」と言う)、ラベルシール・カードで有名なエーワン合同会社とタイアップして行ったラベル活用5Sコンサルティングの具体的な事例を紹介する。

5S導入の目的

今回のラベル活用5Sコンサルティングのメインテーマは、「粗利益にインパクトのある5S改善」である。

粗利益とは売上-製造原価であり、今回は特に製造原価と5Sとの関係に着眼したい。製造原価は主に材料費+労務費+購入品+外注費などであるが、これらの費用と5Sとの関係性は次のようなものがある。

① 材料費と購入品

これらの費用は変動費として概ね受注数量に比例するが、製造コストを増加させない管理として、欠品と過剰在庫を発生させないことが5S導入のポイントになる。

② 労務費と外注費

労務費を売り上げに比例しない固定費と考えると、外注費が社内製造現場の稼働率の影響を受ける。つまり、社内の生産能力をオーバーした分が外注対応になり、もし稼働率が低下するとその分外注費が増加し粗利益を圧迫する。そのため、製造現場の5S導入は稼働率を高めることがポイントになる。

5S導入の際の留意点

では、どのように進めると良いのか。一般的に5Sは、まず「整理」として不要品の廃棄から始めるとされている。

今回エーワン社と取り組んだ方法は課題抽出を入り口としたことである。「何が稼働率低下の障害になっているか」に着眼し検討を進めた。

この切り口で同社の技術者の方々にヒアリングを行い、そこでどのような問題が発生し、どのような改善を行うことで、探す・待つ・歩くなどのムダを減らせるのかを一緒に検討した。

このように、5S導入にあたっては教科書どおりに進めることも間違いではないが、特に中小企業については、道具が見つけやすい、仕事が楽になる、疲れなくなるといった従業員が自らやりたくなるような目的がなければ、そもそも定着が難しい。

具体的な導入事例の紹介

それでは、エーワン社と取り組んだコンサルティング事例を紹介する。

【事例1】作業エリア:測定具置場

発生していた問題点:

同社の強みとして、精密で小型な金型から大型の金型まで幅広く扱っているという点がある。そのため、測定具の種類が多くなり、特に大型ノギスやマイクロメーター等は共用工具であるため本数が限られており、誰かが使用中になると、それを探し回ったり、空くのを待つ等のロスが発生していた。

改善策(写真1):

写真1 測定具置場の改善後

a.棚の名称とその責任者を明示し、整頓状態を維持するための管理責任者を明確にした。

b.測定具と棚板それぞれに測定具名を記載したラベルを貼り、置くものと置く場所を一対一で明確にし、使用中かどうか・どこに戻すかをわかりやすくした。

c.作業者ごとの氏名ラベル(マグネット仕様)を用意し、測定具を持ち出す際に持ち出す測定具のあった棚板に貼ることで誰が使用中かをわかるようにした。

使用したエ-ワン社のラベル:

屋外でも使えるサインラベルシール(油面にも貼れるハイグレードタイプとマグネットセット)を使用。測定具に貼るラベルは、マシニング等の機械油や放電加工機の水・油などの汚れにも強いラベルを使用。棚板にはマグネットタイプを使用し、変更や移動が簡単にできるようにした。

【事例2】作業エリア:各種金型置場

発生していた問題点:

同社の強みとして金型製造だけでなく、量産成形も隣接する工場で行っているため、保全がしやすく稼働率の高いプラスチック製品の量産成形を行うことができる点がある。ところが、扱う製品種類が多いためメンテナンスを行う金型も多くなり、新規の金型もあることから同社の金型置場は大混雑していた。このため作業に入る際に着手する金型を探す手間があったり、入荷してきた金型に気づきにくいといったロスも発生していた。

改善策(写真2):

写真2 金型の処置段階に応じた置場の明示

用途・処理段階に応じた金型置場の区分けと明示を行った。具体的には、入荷してきた金型、出荷できる金型、まとめて分けて置いておきたい大型の金型などが一目で見分けがつくよう、金型置場の種類が記載されたプレートを掲示した。

使用したエ-ワン社のラベル:

屋外でも使えるサインプレートセットを使用。耐水・耐光性に優れたフィルムラベルとプラスチック板のセットで構成されており、油汚れしやすい金型工場内でも問題なく使用できる。さらにこのプラスチック板は紙の穴あけパンチでも容易に穴をあけられるなど利便性が高い。

【事例3】作業エリア:各種掲示板

発生していた問題点:

同社の強みとして、多品種かつ超短納期対応を行っている点がある。そのため、日程表や掲示版には連日追加・変更が繰り返されている。ところが、その掲示場所は使用用途が明確に区分されていなかった。このため、各作業者が目的の情報や書類について、探す・見落とすといったロスが発生していた。

改善策(写真3):

写真3 月次・週次日程表の明示と注意喚起する付箋の活用

d. 2つあったそれぞれの掲示板に「月次日程表」「週次日程表」といった明示を行い、何の情報を掲示するのかを明確化した。

e.「緊急」「変更あり」といった印刷した付箋紙を使い、即時対応や設計変更のある図面を一目でわかるようにした。ポイントは白色を基調とし、いかに赤など注意喚起させるための色を目立たせるかである。

使用したエ-ワン社のラベル:

屋外でも使えるサインプレートセット、ポスト・イット®ラベルシールを使用。ポスト・イット®ラベルシールは糊つき付箋紙として簡単に貼ったり剥がせるので採用した。裏面には「剥がしやすい加工」がされており作業性も良い。

以上が今回のラベル活用コンサルティングの事例紹介である。

ラベルの印刷については専用アプリケーションにより、手軽に作成でき、負担なく追加・更新できる。筆者は多くの企業の製造現場を拝見しているが、やはり手書きマジックの掲示よりも、印刷文字による見た目に引き締まった掲示の方が厳密な品質管理をしている印象を受ける。

5S改善によって伸ばせる強み

今回の取り組みによって、企業としての強みである金型・量産・品質部門の一体生産をさらに強化できる効率的なオペレーションが可能になる。それは製造現場の稼働率向上であり、今回の5Sへの取り組みを量産成形部門や品質管理部門へ横展開することにより、さらなる効果が期待できる。

新社屋移転により、同社はQCDに対し理想的な動線を実現できる工場レイアウトを構築し、金型製造については顧客からも高い信頼を得ている短納期対応をさらに強化していく。トライ回数を最小化できる設計や精度の高い機械加工技術を高める取り組みを行っていく同社の今後の成長に大きな期待をしている。

 

 

« »

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA