スローアウェイのチップの種類はどのような基準で選んだら良いですか?

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「スローアウェイのチップの種類はどのような基準で選んだら良いですか?」

これは、クライアント先でのコンサル中に、機械加工の担当者さんから受けた質問です。

これは、 株式会社タンガロイさんのスローアウェイ、TEC MILLを使うにあたって、この工具で使用するインサート材種を選ぶ時に出た質問です。

このときは、S50Cの金型部品を切削する際の条件で検討していました。

このTECMILLで、S50Cを切削する際のインサートの材種を見てみると、次の種類があります。

  • 第1選択:AH725
  • 耐欠損性重視:AH140
  • 耐摩耗性重視:T3130

こちらのインサートの条件表には「標準切削条件」のところに、選定アドバイスとして、「第1選択」・「耐欠損性重視」・「耐摩耗性重視」と書かれています。

では他の工具も含め、そもそも、どういった基準で、選べばよいのでしょうか。

次の表を見てください。

http://carbide.mmc.co.jp/application/files/2414/4134/7883/tec_grades_comparison_ja.pdf

三菱マテリアル株式会社の技術資料「工具材種対応表」サイトより (最終閲覧日:2016年2月27日)

今回事例に挙げているインサート材種のひとつである、「AH725」は、「PVDコーティング材種」の「フライス」のところにあります。

(今回は、フライス加工を対象としております)

マシニング加工コンサルにおける工具材種対応表

タンガロイの列を見ると、JISで定められている「鋼」用の工具材種である、「P」種の中の、P20とP30のところにあります。

このPに続く数字は、超硬工具における特性をあらわしており、数字が小さいほど、磨耗に強い材種になり、数字が大きいほど靭性に富み、実際には、超硬母材の結合材であるコバルト(Co)の含有量が多くなり、耐欠損性が向上します。

ただし、コバルトの含有量が増えると、単純には硬さが低下することになり、耐摩耗性が低下します。

ですから、耐摩耗性と靭性、どちらを取るか、ということになります。

さて、上記の表でいくと、

  • AH725は、P20~P30
  • AH140は、P30~P40

となっており、

AH140というインサート材種は、耐欠損性向きということになり、例えば、断続切削が多いとか、工具の突き出し長さが長いなど、劣悪な条件の中で加工するうえで、ビビリなどによる刃先のチッピングが懸念される場合などに適します。

ただし、超硬母材としては、コバルトの含有量が多いため、刃先の耐熱温度は下がります。したがって切削速度は下げて使うことになると思います。

ここで、タンガロイのTECMILLのカタログに記載してあるメーカー推奨条件を見てみます。

マシニング加工コンサルにおけるタンガロイTECMILLインサート標準加工条件

どうでしょうか。

AH725の切削速度は、100~230

AH140は、80~180 と、なっています。(かなり幅はありますが)

やはり、耐摩耗性(耐熱温度)を下げ、耐欠損性を重視したAH140の方が、推奨条件は低いですね。

このように、実際の加工現場の状況において、どのような性能を重視するのか、これを判断基準として、上記のような表を使い、定量的に選定したいものです。

それと、TECMILLの3つ目のインサート材種である「T3130」は、三菱マテリアル株式会社さんの技術資料「工具材種対応表」の中では、「CVDコーティング材種」のところに出てきます。

このCVDコーティングの詳しい説明は、別の機会にしますが、PVDコーティングよりも高熱で処理され、密着性の高い被膜となっており、高い耐磨耗性が得られます。

PVDコーティングと比較すると、PVDの方が靭性は高く、CVDの方が耐摩耗性が高いようです。

また、CVDコーティングの方が、膜厚が厚く、工具刃先はプリホーニングされたような状態になるため、切れ味は、膜厚の薄いPVDコーティングの方が高いということになります。

したがって、最近の傾向としては、まずPVDコーティングのインサート材種から使い、長い連続加工など、高い耐磨耗性が欲しい場合に、CVDコーティングのインサート材種を使われてはいかがでしょうか。

他の工具メーカーのスローアウェイを使う場合も、同様に選ぶことになるかと思います。

※ 実際の加工においては、工具材種だけでなく、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の加工においては、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

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