どうしても思い込みミスやイージーミスが減らないときに行うワークショップ
今回は、金型メーカーや機械加工メーカーの現場などにおいて、作業者による思い込みやイージーミスによる作り直しなど、不具合が頻発し、どうしても減っていかないというときにとる対処について考えてみたいと思います。
量産メーカーなどでは、自動化設備を使ったり、いわゆるポカヨケなどが施されますが、とかく一品ものが多い金型現場や単品小ロット品を扱う機械加工の現場では、なかなかそういった対処もとれず、問題を根絶できない現場は多いです。
そこで今回は、具体的な対策案というよりも、何としても不具合を発生させないという方策を、現場のメンバーみんなで導き出していく方法をご紹介したいと思います。
実際に私のコンサル先でやってもらっているのが、「もし材料が1千万円したら、あなたの作業手順はどうなりますか?」というワークショップです。
具体的には、金型内製部門や機械加工部門の作業者全員に集まってもらい、もし今から加工する部品の材料が、一つで1千万円するような超高価な材料だったら、あなたはどのような作業手順に変わるかを、一人ひとりに書いてもらい、それを順番に発表してもらい、皆で共有するというものです。
この、どのような作業手順に「変わるか」というところがミソで、例えば、私でしたら、本当に怖くなって、マシニングセンターの加工でしたら、怖くてもう簡単にサイクルスタートボタンは押せなくなると思います。
隣で作業している同僚オペレーターを捕まえてきて、「いいよね?いいよね、俺、勘違いしてないよね?向きとか間違えていないよね?」など、シンプルな穴あけ加工だったとしても、超が3つは付くほど、慎重な作業になると思います(隣の人を捕まえてくるとかは、もはや「手順」でもないですが・・・)。
と、このように普段は流石にそこまでしないよね、という作業のやり方に変わるわけです。
したがって、これは無意識に普段の作業では手加減していると言えなくもありません。
数千円から高くて数万円の材料であれば、一通りのルーティーンチェックはするとしても、怖くておいそれとボタンは押せないとまではいきません。ですが、1千万円の材料になると、とたんに怖くてボタンが押せなくなる。
これは無意識に、作業にかける慎重さを使い分けていると言わざるを得ません。
ですがこれは、悪いことではないと思います。
当然コストによって投入するべき工数は変わってくるでしょうし、数百円など、例えば超短納期の仕事で予備の材料を余分に買っておけるくらいの安価な材料であれば、ポンポンと慣れに任せて作業していくことでしょう。
ですが、今回のコラムタイトルにあるような、「どうしても思い込みミスやイージーミスが減らないとき」のような状況においては、一旦立ち止まって、超ビビッてボタンが押せなくなるくらいの超高価な材料をイメージした手順をとっても良いのではないでしょうか。
つまり一旦、スピードや効率性は棚に置いておき、まずはミスのない加工実績を当面積むことを優先するということです。
そのための作業手順を導き出すために、もし材料が1千万円したらどのような作業手順になるだろうかを、一人ひとりに考えてもらうというのが、このワークショップということになります。
ほんの一例ですが、プレス金型の現場では、次のような案がありました。
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