念密な原価計算、それ本当に必要ですか?

念密な原価計算、それ本当に必要ですか?
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念密な原価計算、それ本当に必要ですか?

最近、巷で開催されているセミナー内容をふと見ていたところ、製造業や加工業者向けの原価計算や原価管理、コストダウンなどのセミナーが増えてきたなぁと感じました。

コロナ渦ということもあり、昨今の厳しい経営環境の中で、より切り詰めた管理や取り組みが求められているのだと思います。

ですが、金型メーカーや単品部品加工メーカーを専門とするコンサルタントの私が一刀両断してしまいますが、念密な原価管理や見積もり計算は、実はあまり必要がないと思っています。

と言いますのは、私のクライアント企業の中には、従業員規模20名や30名で、法人税を何千万と払っている会社さんがあります。つまりそれだけ、設備投資などを行っても、使いきれないほど儲かっているということになります。

こうした会社さんに共通しているのは、わざわざ念密な原価計算をやっていないということがあります。

それより大事にしているのは、駆け引き戦略です。

駆け引きは、相手(取引先)があって成り立つことです。例えば、とにかく短納期モノだけを狙って、高い見積もり価格で仕事を受注しているという例があります。

戦略は、自社がとる方針です。例えば、同業他社が受注を嫌がる仕事だけを狙って、高い見積もり価格で受注している例があります。

どちらも共通しているのは、駆け込み寺的なビジネスを行っているというところでしょうか。

また、あるプレスメーカーでは、取引先の発注先グループに属している同業他社が、例えば、10工程かかるとしたプレス製品の金型を3、4工程で作り、見積もり価格は、10工程の金型よりも安く受注するため、お客さんに喜んでもらっている会社があります(一方、自社は3、4工程分の金型製造原価しかかかっていないのでかなり儲かっている)。

これらのクライアント企業は、共通して多くの純利益をあげているのですが、共通して、緻密な原価計算はしていません。

具体的に言うと、一件一件の仕事の案件の原価集計をして、次の引き合いが来たときに、積み上げ式の念密な見積もり計算をして、自社に欲しい利益分を上乗せして、見積書を提出する・・・といった流れの作業はしていません。

前述した儲かっているクライアント企業では、目安となる工数は想定しているでしょうが、それよりも重視していることがあります。

それは価格相場です。

この業界の優れた営業マンとは、普段から同業者の情報収集を行い、いざ見積もり金額を作る時には、お客さんに一発で「ウン」と言わせない、ギリギリ想定価格の少し上の見積もり価格を提示して、「うーん、仕方ないなぁ」という感じで仕事を受注できる人だと言われています(見積もりで一発OKをもらうと悔しがる)。

ところで先ほどから出てきている「積み上げ方式の見積もり」とは、引き合いのあった案件に対する、材料費と市販部品、外注費と工賃を足し合わせた価格になります。また、工賃はその案件での、チャージ(アワーレート)×予定工数で計算するものです。

そもそも、多くの金型メーカーや部品加工メーカーを見てきた私からしますと、加工方法や設計手順なども、どの会社もマチマチで、そのうえで自社のやり方による積み上げ方式(特に、チャージ(アワーレート)×予定工数)で作った見積もり価格に、あまり明確な競争力や根拠があるとは思っていません。

またこの業界の加工では、かける機械によって速い機械と遅い機械もあって、現場がどれで仕掛けるかによって工数も変わってきますし、昼に人がついて加工する場合と、夜に無人で安全運転する場合とで、また工数は変わってきます。

したがって、前述した儲かっているプレスメーカーの社長さんは、「社内の原価計算なんか、チマチマやってたってしょうがない」と、明確に言い切ります。

それよりも、駆け引きと戦略的な見積もり価格を作ることに頑張っています(それで実際に大きな利益をあげています)。

下の図は、これも駆け込み寺的なビジネスで儲けているクライアント企業のホームページで、当事務所が提供したイラストです。

これらの図は、こうしたニーズにお応えしますというPRです。

最後にまとめになりますが、とは言え前述した儲かっているメーカーも、全く原価を把握していないというわけではなく、予定よりも工数がかかった、いわゆる手離れの悪い案件などもきちんと把握しており、次回からの見積もり価格にはその点はきっちり反映させるなどの手は打っています。

重要なのは、金型や部品加工メーカー以外、この業界以外にも横断共通して提唱されている緻密な原価集計、そして緻密な積み上げ式の見積もりをやっているのは、あくまで私の統計ですが、この業界ではむしろ儲かっていない企業の方が多い感じです。

儲からないことをわざわざ時間をかけて、緻密にやるのはいかがなものでしょうか。

むしろ儲かっている企業がやっているのは、キャパの管理です。こういった企業は「原価⇔製造キャパ(原価が増えると製造キャパが減る)」と考えているようです。こう考えれば、しっくりくるのではないでしょうか。

ですが、この業界の専門コンサルタントの私からすると、一概に「原価⇔製造キャバ」とも言い切れないところもあります。これについてはお時間のある時に下記のサイトを読んでいただくとご理解いただけると思います。

今回のお話しは、すでにかなり儲かっているという企業さまには関係の無いお話しかもしれませんが、「ウチは今一つ」といった企業さまにとって参考になれば幸いです。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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