本当に今さらなんですけど・・・ここで5W1Hが出てくれば

金型メーカー・部品加工メーカーにおける、最小限で済まそうとする人と最大限全てを会得しようとする人の違いとは?
目次

本当に今さらなんですけど・・・ここで5W1Hが出てくれば

コンサルティングの現場で、現場リーダーや管理者の方々から「ここがまさにマネジメントの見せ場だ!」と感じる場面に度々遭遇します。

今回は、具体的なエピソードを交えながら、現場で本当に必要とされるマネジメントのあり方についてお話ししたいと思います。

「技術がわからないから」では済まされない?

まず一つ目のエピソードは、あるプレス加工メーカーの金型内製部門でのことです。

その部署の部長は、金型製作の各工程に一定の経験がありながらも、いわゆる職人型の経歴ではなく、管理職が不在となったタイミングで責任ある役職に就任されました。

ご本人は、現場での作業よりも事務的な業務を好まれる傾向があり、部長職への就任も二つ返事で引き受けられたとのことです。

私はこの部長さんと共に、様々な設計や現場の改善をお手伝いしてきました。その取り組みの中で、部長さんから「現場を歩きながら、望ましくない状況ややり方、他社よりも劣っていると気づいたことがあれば、どんどん指摘していってほしい」という依頼があり、しばらくの間、この会社でそれを実践していました。

ところがその最中、この部長さんは、現場を一緒に歩いていると、数分もすれば、まるで現場の担当者に任せたとばかりに、ふいっといなくなってしまうのです。

ご本人にその理由を尋ねると、「あまり込み入った話は技術的によくわからないため、居ても仕方ない」とのことでした。

しかし、現場の担当者からは「忙しいからやむなく放置していた」「わかってはいたけど、理由はわからないがウチではこうやれと言われてきたから今さら変えられない」といった抵抗意見が出てきます。

コンサルタントの立場からすると、会社の生産性のため、あるいは自身の評価のためにも、課員に前向きに取り組むよう説得説明するのは、ぜひこの部長さんにお願いしたいと思うところです。

ここで必要となるのは、単に「このやり方は他社よりも劣っているので改善しましょう」と決めるだけでなく、「誰が、いつから、どのように改善を進めるのか」をその場で決め、その後の進捗をモニタリングしていくことです。

例えば、いつから誰が何を担当し、どんなスケジュールでいつまでに完了させるかといったタスク表やガントチャート表を作成し、その場で明確にすることが考えられます。もちろん、こういった点は、後にアドバイスもさせていただきました。


「忙しい」を言い訳にしない!進捗管理でのエピソード

進捗管理と言えば、もう一つ別の会社で感じたエピソードがあります。こちらの会社は、主にアルミなどの精密部品を機械加工する部品加工メーカーです。

マシニングセンターやNC旋盤のオペレーター数名を対象に、個人差の大きい作業手順を標準化するため、動画撮影により現状把握と分析を行いました。その後、最良と思われる手順を取り決め、マニュアル化し、それを各メンバーに共有して習得してもらうことになりました。

そして、日時を決めて「リベンジ会」と称し、マニュアルで決められた手順通りにできるか、また時間内にできたかをテストすることになったのですが、リベンジ会の実施までは1ヶ月ほどの時間があったにもかかわらず、これもいつものことと言えばいつものことでしたが、なかなか仕事が忙しく、隙間時間を見つけて練習を実施することが行われませんでした。

課員である当事者たちも、納期に追われた実務仕事を優先する意識が強く、「赤信号、皆で渡れば怖くない」ではないですが、リベンジ会の日の前の週に進捗を確認しても、「来週には何とかします」という返答ばかりでした。

この場合のマネジメントとしては、当事者たちに練習の実施回数と時間内での成功回数を記録するカードを配布するべきだと考えられます。

例えば、各当事者に、練習を実施した日と、その時成功したか否かを○×で記入するカードを配り、成功の「○」が3つになったらリーダーに持って来るように伝えます。

これにより、管理者は進捗を管理しやすくなりますし、当事者たちとしても「当日までにどこかのタイミングで練習しなければ」という意識がグッと高まり、モチベーションも向上するはずです。

リーダーがプレイングマネージャーであったとしても、このくらいのカードを作るのに大した時間はかからないと思います。


マネジメントの基本中の基本「5W1H」

さて、これら二つの事例から見えてくるのは、「本当に今さらなんですけど…」と前置きしたくなるほど、マネジメントの現場で基礎中の基礎でありながら、意外と実践されていないこと、それが5W1Hの重要性です。

  • When(いつ):いつから改善を始めるのか、いつまでに完了させるのか、いつ練習するのか。
  • Who(誰が):誰が担当するのか、誰が練習するのか。
  • What(何を):何を改善するのか、何を練習するのか。
  • Where(どこで):どこで改善を行うのか、どこで練習するのか。
  • Why(なぜ):なぜその改善が必要なのか、なぜその練習を行うのか、なぜ今やるのか。
  • How(どのように):どのように改善するのか、どのように練習するのか、何回成功させるのか。

要所要所で、サッとこの5W1Hが実践できれば、必要となる管理が「息を吸うように」できるようになります。

5W1Hは管理者教育や生産管理の本などでは当たり前に出てくるので、「本当に今さら?」と思われるかもしれませんが、ポイントを絞って見ていくと、必要となる場面で意外と実践できていないのが現状です。

これについて私個人としては、現在の管理者の仕事が定型化されすぎているために、応用やアレンジが効かなくなっているのではないかと感じています。

会議への出席、報告すべきこと、提出する書面の様式、事務手続き、部下の残業申請管理など、管理の行動や流れが固定化されすぎているため、普段と異なる業務の際に、パッと5W1Hによるマネジメントが出てこないのではないかと思っています。

ちなみに、先ほどの2事例のリーダー職の方が勤めている会社は、いずれもISO9001の認証を受けており、そのシステムの仕組みで言えば、教育の記録の文書化はマストなので、当然のようにできて当たり前だと思われます。

しかしこれもやはり、定型化されているものには対処できるが、普段の業務にはなかったイレギュラーなケースには対応が難しかったのではないか、と私は考えています。

マネジメントの効果は、部下の人数が多ければ多いほど、アウトプットとして効果が効いてきます。それがマネジメントというものです。

「自分はそういうタイプではないから」と言われるリーダーの方もいらっしゃるかもしれませんが、およそ部下を統率する限り、5W1Hは必ず必要になるフレームワークだと考えられます。


「息を吸うように」5W1Hを使いこなすためのアファメーション

先ほど「息を吸うように」と表現しましたが、普段とは異なる場面でも、やはりいつでも5W1Hを意識しておいて、いつでも自分の引き出しから出して使えると良いと思います。

そのための方法として、アファメーションを活かした方法をオススメしたいと思います。

アファメーションは専門的なお話は他のサイトや書籍に譲るとして、ここでは簡潔にご説明しますが、アファメーションとは、自分が「こうありたい」「こうしたい」と意識する状態や目標を、言葉に出して繰り返し自分に言い聞かせることで、無意識のうちに思考や行動がその方向に向かうように働きかける手法のことです。

具体的には、意識したいことを常に目に付くようにしておくことで、無意識に体が動くようにしたり、頭に思い浮かんだりするようにすることです。

少し古い話ですが、昔、プロ野球で巨人の桑田真澄投手が、帽子の中に注意点などを書いておき、試合中に都度それを見ていたそうですが、それも一つのやり方ではないかと思います。

私の場合は、自分のタスク管理で毎日見るGoogleカレンダーの予定の中に、意識したい言葉を混ぜ込んで、自然に目に入るように仕掛けています。例えば、仕事で接する何人かの人に対する注意点、気を付けることなどです。

今回の事例で言えば、「5W1H」というキーワードを入れておけば良いと思います。


まとめ

さて今回は、本当に「いまさら」な内容を書いてしまいましたが、事例で登場した方々のように、もし「5W1H」を上手く使えていないというリーダーの方が読者でおられましたら、今回の内容が少しでも参考になれば幸いです。

マネジメントは、現場を動かし、成果を出すための大切な「見せ場」だと思います。ぜひ、5W1Hを意識し、効果的なマネジメントを実践していきましょう。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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