AIという「伴走者」と形にした、オススメの「進捗管理」
かなり前になりますが、担当者ごとの設計進捗を客観的に把握するための手法として、「達成率による進捗管理」をご紹介したことがあります。

この手法が生まれた背景には、現場における「作業ボリュームの捉え方」への気づきがありました。
設計担当者に「あと何日遅れているのか」と尋ねても、正確な日数を即答するのはなかなか難しいものです。
一方で、「全体の何パーセントまで進んでいるか」という問いであれば、私の経験からも、担当者は自分の抱える仕事量に対してどの程度の山を越えたのかを直感的に把握しやすく、回答もしやすくなります。
ポイントなのは、「何日遅れているか」という結果ではなく、まず「作業ボリューム(%)」を正確に捉えることです。
主観的な「順調です」という報告を排除し、計画日数と達成率(%)を掛け合わせることで、進み具合や遅れを「日単位」で可視化できる。この方法は、非常に効果的な進捗管理手法だと考えています。
ただし、これをExcel上で実現しようとすると、土日祝日の除外計算や、進捗率に応じてセルを自動で塗り分けるVBAマクロの作成が必要となり、相応の手間と時間がかかります。
「いつか実物を作って、エビデンス(証拠)として提示したい」と思いつつも、プログラミングに没頭する時間はなかなか取れず、これまで手法だけを紹介しただけで、実物をお見せできていないことが、私の中でもずっと「心残り」としてあったのが実情でした。
意図を伝えるだけで、実務が動き出す
その「長年の心残り」であった課題を、私の隣にいるAIに手伝ってもらうことにしました。今回も私がやったことは、いたってシンプルです。
かつてのコラム「設計のあるべき進捗管理の方法について」の後半部分、つまり私が理想として推奨する、進捗管理の手法が書かれた箇所をPDFファイルにしてAIに読み込ませ、「この内容通りに動くエクセルを作りたい。土日祝日も考慮してほしい」と伝えただけです。
かつてなら、まず外観となるエクセルシートを作り、動作部分の構想を練り、さらにVBAマクロを組んではトライ&エラーを繰り返す──。私自身、ブランクもあって今は少し不慣れになっていることもあり、こうした作業だけで数日は必要だったと思います。
ところが今回は、AIという強力なサポートを得たことで、その一連の工程がまさに“片手間”で完了してしまいました。
複雑なロジックの構築や、細かいコードの記述をAIが担ってくれる。この「実務が圧倒的に加速する」感覚は、多忙な身として、驚きというよりも「本当に助かる」という、心強い安心感でした。
せっかくなので、具体的な操作を少し説明します
今回作成したツールがどのようなものか、少しだけ操作をご紹介します。
まず、エクセル上に「計画」「実績」「評価」の3行を1セットにした表を準備します。
今回の事例では、「工程設計」「組図設計」「部品図作成」という三段階の設計工程をモデルにしています。ここに各工程の「着手日」と「完了予定日」を入れると、AIが書いたマクロが土日や祝日を自動的に判別してくれます。

あとは、現場担当者がその日の「達成率」を%で入力するだけです。
すると、その数値に基づいてオレンジ色のバーが伸び、さらに「今日」を示す赤い太線との差から、「何日遅れているか(あるいは進んでいるか)」が自動で計算されます。



AI活用の「練習台」として使ってみませんか
この進捗管理の仕組みは、製造業や設計現場で、すぐに実戦投入できる実用的なものだと考えています。
もし、このコラムを読んでいる皆さまの中に「VBAやAI活用には興味があるけれど、まだ一歩踏み出せていない」という方がいらっしゃれば、ぜひこの事例を“練習台”として使ってみてはいかがでしょうか。
「こんな進捗管理シートを作りたい」とAIに相談し、実際に動くツールを手にしてみる。その過程で、AIがどれほど自分の意図を汲み取り、形にしてくれるのかを体感できると思います。
そしてぜひ、ご自身の業務に合った管理システムを作り、実際の現場で使ってみてはいかかでしょうか。AI活用の第一歩として、きっと良い経験になると思います。
現場の知恵を、もっと手軽に形にする
専門家に依頼するほどではないものの、自分一人で取り組むには腰が重い──。そんな「現場の小さな不便」を解消することこそ、AIが最も力を発揮できる領域だと感じています。
完璧な指示書は必要ありません。手元の資料や、普段使っているエクセルを見せるだけで、あなたの隣にいる相棒は、その中にある“現場の知恵”を形にしてくれるはずです。
もし、まだこうしたAI活用に踏み出せていない企業様がいらっしゃれば、まずは今回ご紹介した進捗管理の仕組みのような、身近で取り組みやすいテーマから始めてみてはいかがでしょうか。
AIという強力な相棒とともに、自社の「当たり前」を今日から少しずつアップデートしてみてください。きっと大きな変化の第一歩になると思います。
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コラム投稿者
金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
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