動画セミナー『儲かる現場は数字に強い!』制作に込めた、お伝えしたい本当の想い
先日、私のウェブサイトにて動画セミナー『儲かる現場は数字に強い! 現場リーダーのための『稼ぐ力』養成講座』の販売を開始いたしました。

本コラムでは、このセミナーに込めた私の想いを、より深く掘り下げてお伝えしたいと思います。
特に、日々会社の未来を案じ、現場の成長を願う金型メーカー・機械加工メーカーの経営層、部長職以上の皆様にこそ、私がこのセミナーを通じて何をお伝えしたかったのか、その真意をご理解いただければ幸いです。
私がこのセミナーで育成を目指すのは、単に「技術に強い、叩き上げの現場リーダー」ではありません。私が本当に育てたいのは、「経営層に刺さる現場リーダー」、すなわち経営者と同じ目線で会社の利益を考え、数字を根拠に現場を動かせるリーダーです。
技術力や経験則だけに頼るのではなく、経営層が納得する客観的なデータを示し、現場を改革できる。そんな次世代のリーダーを育成したいという強い想いが、このセミナーの根底に流れています。
セミナー各項目に込めた想い
①目標・出来高管理編:現場と経営、双方のジレンマを解消する「共通言語」
私の想いとしては、 多くの現場と経営層の間にある、根深く、そして見えにくい「壁」を取り払うことにあります。
現場は日々改善を重ね、5S活動や技術改善で「仕事が早くなった」と胸を張る。しかし、経営層からは「わかった、わかった」「よくやった、でもな…」と、どこか歯切れの悪い反応が返ってくる。
このすれ違いこそが、組織の成長を阻害する大きな要因の一つです。
基礎編(現場とお金のつながりを知る)では、まず、このすれ違いの本質である「2種類の原価」の認識問題に切り込みます。
現場が改善のターゲットにしているのは、多くの場合「単位あたりの原価」です。しかし、それが会社の利益に直結するためには、「期間あたりの原価」の削減や、生まれた余力を使った新たな受注増に繋げなければ意味がありません。
この本質を理解しないままでは、現場の努力は経営層に刺さることはありません。
次に、多くの経営者が抱える「労働分配率」のジレンマにも触れています。それは、「従業員の頑張りには、できる限り給与で報いたい。しかし、会社を存続・成長させるためには、その原資は無限ではない」という葛藤です。
この解決策は、分子の「総人件費」を削減することではありません。真の解決策は、現場の努力によって分母である「付加価値額」をいかに最大化するか、この一点に尽きるということを、現場リーダー自身に理解してもらう必要があります。
そして、「3つのチャージ」の話では、特に「実績チャージ」に重きを置いています。見積もり時の「売値チャージ」や社内コストである「原価チャージ」も重要ですが、最終的に「結果としていくら稼げたのか」を示す実績チャージこそが、現場の真の稼ぐ力を表します。
セミナーでは、稼働率や人員、設備数が変化したケースなど、様々なシミュレーション演習を用意しました。
特に、売上が下がったケースでは、実績チャージがどう変化するかを計算するだけでなく、その要因(例えば、手離れの悪い仕事が増えたのか、外注費が増えたのか等)は何かを、多角的に考察する演習も盛り込んでいます。
これにより、どんな状況でも実績チャージで結果を正しく評価し、その背景まで分析して経営層に報告できる力を養います。
さらに「納期管理だけでなく売上に影響する日程計画」では、ものづくりの最前線にいる現場リーダーが、どうしても納期遵守や品質確保に意識が傾倒しがちな点に警鐘を鳴らしています。
日々の生産計画は、単にお客様との約束を守るためだけのものではありません。実は会社の売上そのものに直結しているという事実を理解してもらう必要があります。
そのために、単品加工や量産加工といった業種ごとのビジネスモデルに合わせた『日あたり売上』の具体的な計算方法も取り扱います。
その上で、日程計画における現場の差し立て方には、2つの種類(前詰め・後ろ詰め)があり、それぞれが会社の利益や働き方に全く異なる意味を持つという、一歩踏み込んだ管理手法を学んでいただきます。
応用編(部下の個人別アプローチ:「稼ぐ」を見える化する)では、「数字で外堀を埋める」ことの重要性を徹底的に解説します。
そもそも金型メーカーや単品小ロット加工の現場では、一つひとつの仕事が違うため、一般的な生産性指標の扱いが非常に難しいのが現実です。
そこで本セミナーでは、本来の意味とは少し異なりますが、私(当事務所)が独自にアレンジし、多くの現場で成果を上げてきた『べき動率』という指標を詳しく解説しています。
これは、単に機械が動いていた時間を示す『稼働率』とは異なり、『本来あるべき(予定)工数に対して、実績の工数はどうだったか』を測ることで、個人の仕事の速さ・効率を可視化するものです。
さらに、この「べき動率」を活用し、個人別・チーム全体でどれだけの付加価値額を生み出したのかを計算します。これにより、受注案件ごとの売値単価に左右されない、純粋な現場の成果を『見える化』できます。
セミナーでは、具体的な事例を用いて説明するだけでなく、複数の演習を通じて、この一連の評価手法を深く理解し、実践できるレベルまで引き上げることを目指しています。
②不具合対策編:量産品と単品加工で異なる「品質への心構え」
私の想いとしては、 この不具合対策編の幹となる考え方、それは「大ロットの量産部品と、単品小ロット品の加工では、不具合対策の心構えと対応が根本的に異なる」という点です。
量産品であれば、統計的な品質管理やポカヨケの仕組みで工程能力を維持することが対策の中心になります。
しかし、一つひとつ形状が違う単品加工の世界では、そのアプローチは通用しません。そこでは、作業者一人ひとりが、目の前の一個に対して、いかにミスを予知し、防ぐかという、より個人的で高度なスキルが求められます。
このセミナーで紹介する「不具合日記」やKY(危険予知)は、まさにこの単品加工の世界で戦うための武器です。そして、「もし加工する材料が1千万円したらどうするか?」という思考実験ワークショップ は、この『一発勝負』の心構えを体に染み込ませるための、いわば究極のトレーニングです。
精神論ではなく、単品加工の現実に即した具体的な手法で、現場の品質レベルを底上げしたい。それがこのテーマでの私の想いです。
③部下を勝ち組に育てる処世術:対話を生み出す「考える道具」
私の想いとしては、 現場リーダーが一方的に教えるのではなく、部下と共に考え、成長していくための「対話のきっかけ」を提供することです。プレーイングマネージャーは多忙で、部下とじっくり向き合う時間を確保しにくいのが現実です。
そこで、「遅いけど丁寧、粗いけど早い、どちらが良いか」、「自分の市場価値を考えてみる」などの普遍的なテーマのワークショップを用意しました。
これらは、技術指導だけではカバーできない、「仕事へのスタンス」や「プロとしての在り方」を共に考えるための「考える道具」です。
こうした対話を通じて、部下一人ひとりが自律的にキャリアを考え、行動する「勝ち組」へと育っていく。その土壌を育むことが、このパートの最大の目的です。
④アイスブレイク:数字から離れ、組織の「体温」を考える
私の想いとしては、 ここまで数字や理屈の話が続きましたので、受講者様の頭も疲れてきた頃かと思い、ここでのアイスブレイク編では、一旦難しい話から離れ、より人間的・言語的なテーマを扱うことで、脳を休めていただくことを意図しています。
ただし、単なる休憩ではありません。ここでは、テクニカルな管理手法だけでなく、組織の「人間的な側面」に光を当てます。どんなに優れた仕組みも、それを使う「人」の心が離れていては機能しません。
例えば、多くの工場で壁に貼られているスローガン。それがなぜ形骸化するのか、そしてどうすれば生きた目標として機能するのかを、具体的な評価手法を交えて解説しています。
また、人のモチベーションタイプを4つに分類し、それぞれに響くアプローチ法を紹介しています。画一的なマネジメントから脱却し、部下一人ひとりの個性に合わせた関わり方をすることで、組織全体の「体温」を上げ、より強固なチームを築いていただくことを意図しています。
⑤総まとめ演習:知識を「使える武器」に変える実践体験
私の想いとしては、 セミナーで学んだ全ての知識が、実際の現場データとどう結びつくのかを体感し、「自社でもできる」という確信を持っていただくことです。
この最終パートでは、多くの現場で日々集計されている「作業日報」から演習をスタートします。この身近なデータから、応用編で学んだ手法を用いて「付加価値額」を算出し、最終的に現場の成果を「お金」で見える化するまでの一連の流れを、まずは具体的な事例で丁寧に説明します。
そして、その知識が完全に定着するよう、今度は受講者の皆さん自身に、演習を通じてそのプロセスを再現していただきます。これまで学んできた点と点が、この演習を通じて一本の線として繋がります。
「べき動率の改善が、労働分配率の改善、ひいては会社の利益向上に直結する」という流れを数字で追体験することで、知識は単なる情報から、現場を変える「使える武器」へと昇華します。
この成功体験こそが、現場に戻ってから実際に行動を起こすための、何よりの原動力になると思っています。
最後に
本動画セミナーは、単なるノウハウの詰め合わせではありません。現場のリーダーたちが経営的視点を持ち、自律的に考え、部下を育て、利益を生み出すプロフェッショナルへと成長するための、体系的な育成プログラムです。
最後に、今回セミナーで扱う事例や演習は、あくまで考え方を理解していただくためのモデルです。これらの内容をそのまま現場で実践してもらおうとは考えておりません。本セミナーで学んだ本質を元に、受講者の皆様がご自身の会社の実情に合わせて自由にアレンジし、活用していただけることを心から願っております。

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コラム投稿者
金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054
