コラム「やる気のコントロール」、ワークショップとして実際にやってもらいました
以前このコラムでご紹介した「金型・機械加工メーカーにおける人のタイプ別、やる気のコントロール方法」について、今回はとある機械加工メーカーの現場リーダーの方にワークショップとして取り組んでいただきました。その結果がとても参考になりそうでしたので、この場で紹介したいと思います。
従業員のモチベーション管理は、組織全体のパフォーマンスに大きく影響します。本稿では、従業員をタイプ別に分類し、それぞれのタイプに合わせた効果的な動機づけの方法を提案するワークショップについて、具体的な事例を交えて紹介します。
なお、プライバシーに関わるデリケートな内容が含まれているため、一部内容を改変させていただいていることをご了承ください。
さて、このコラムの内容について改めて説明します。このコラムでは、金型・機械加工メーカーにありがちな従業員のタイプを4つに分類し、それぞれに合わせたやる気のコントロール方法を解説しています。
従業員のタイプは、①仕事自体が好きかどうか、そして②お金や評価をモチベーションとしているかどうか、この2軸のマトリックスによって分類しています。
4つのタイプの概要
Aタイプ(仕事が好きで、お金や評価もモチベーションになる)
最も成長意欲が高く、マネジメント能力も秘めているタイプです。明確な目的がなければ最大限のやる気を発揮できないことがあり、仕事の受注段階から参画させ、マネジメントできる立場に育てるのが効果的です。
職務充実(権限を増やす)と職務拡大(担当工程を増やす)の両方を通じて、お金や評価といった目的を満たす機会を与えることが、このタイプのやる気を高めるポイントです。ただし、力量の見極めも重要で、いきなり難しい仕事を与えてしまうと「火傷」するリスクもあります。
Bタイプ(仕事は好きだが、お金や評価は求めていない)
モノづくり自体が好きで、改善や創意工夫に意欲的なタイプです。納期という制約によってモチベーションが低下しやすいため、仕事の「手段」の改善などにおいて自由度を与え、前段取りの改善などを任せることで、本来のモノづくりへの興味を活かすことが、このタイプのやる気を高めるポイントです。
Cタイプ(仕事内容は好きではないが、お金や評価は求めている)
生活のためにお金を稼ぎたいというタイプで、技術面からの創意工夫や改善にはあまり意欲的ではありません。日程計画を作り、適度なノルマを与えることで効率的に動いてもらえる場合があります。また、整理整頓など5S関係には意欲的な場合があります。
モラルサーベイなどで本人の希望を事前に聞き取り、その目的に合わせて気持ちよく働ける環境を整えることが、このタイプのやる気を高めるポイントです。技術面でのチャレンジにはあまり過度な期待を押し付けず、適材適所で役割を見極めるのが良いでしょう。
Dタイプ(仕事内容への関心もなくお金や評価も求めていない)
最も対応が難しいタイプです。小さな目標をクリアさせることで承認欲求を満たし、少しずつやる気を起こさせる必要があります。大きな課題や強制的な指示は反発を招くため、大きすぎない本人の能力の120%程度の課題を与え、根気強く見守ることが重要です。
離職率が高いタイプでもあるため、人手不足の状況下では特に丁寧なマネジメントが求められます。アメとムチの使い分けも重要で、彼らにとってのアメ(承認)を見極める必要があります。最終的にはCタイプやBタイプへの成長を期待し、長期的な視点で育成していくことが望ましいです。
このコラムでは、従業員のタイプに合わせた適切なマネジメントを行うことで、それぞれのやる気を引き出し、組織全体のパフォーマンス向上に繋げることを提案しています。
特に、各タイプに見合った動機付けの要素(自由度、目的、ノルマ、承認)を理解し、それらを日々の仕事の与えかたの方針に活用することが重要だとしています。
ワークショップをやってもらった事例
さて実際に、とある企業の現場リーダーに取り組んでもらったペーパーワークが下図です。
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