金型メーカーでのスケジューラ活用法―3つの日程計画(型技術2022年10月号掲載)

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金型メーカーでのスケジューラ活用法―3つの日程計画(型技術2022年10月号掲載)

筆者が金型メーカーや単品部品加工メーカー向けのセミナーで、日程管理のことをお話しすると、よく受ける質問がある。

筆者は金型製造においては、大日程計画から中日程計画、そこから小日程計画と、段階的に詳細にしていく計画を立てることを推奨している。

しかしこれら3つをきちんと管理していこうとすると結構大変で、物理的に可能なのでしょうか、という質問である。

物理的にということであれば、筆者自身が現役で金型を作っていたときに実際にやっていたので可能であると思うが、ITツールを使う手段も推奨している。

具体的にはスケジューラーソフトを使うことであるが、ざっくり一言で言い表すと「中日程計画を作ると自動で小日程計画が作られる」と表現しており、セミナーやコンサル現場などでこのように説明すると、ほとんどの方に理解してもらえる。

この点について、実際に市販ソフトとして販売されているDr.工程PROを事例として、株式会社シー・アイ・エム総合研究所様にご協力いただき、サンプル画面をご提供いただいたため、次号に渡り具体的な例で、金型メーカーでのスケジューラーの便利な使い方を見ていきたいと思う。

金型メーカーや部品加工メーカーのあるべき日程計画

まず簡単に、金型メーカーや単品部品加工メーカーのあるべき日程計画とはどのようなものか見ていきたい。

大日程計画は、下の図1の例のように金型ごとの日程管理になる。図は4つの金型を製番ごとにガントチャート形式で管理している事例で、多くの金型メーカーでとられているのは、図のように設計や機械加工など、工程ごとに分けて納期設定する方式である。

図1 大日程計画のサンプル図

ここでのポイントは、各工程の負荷を加味した日程計画にするかどうかの判断である。

もし負荷調整を加味した日程を立てるのであれば、例えば図1の設計日程のように、過度に重複しないよう意図的にずらすなどした計画を立てることになる。

また、もし各工程の負荷まで考えないのであれば、金型の最終納期から各工程のリードタイムで逆算した工程納期ありきで日程計画を立てることになり、各工程の負荷は後述する中日程計画もしくは、小日程計画で調整することになる。

どちらのパターンにするかは、大日程計画を作成する担当者が、どこまで現場の負荷状況を把握できるかによって決めれば良いと思われる。

中日程計画は下の図2にあるように、大日程計画で扱った金型ごとの日程ではなく、金型を構成する部品ごとの日程計画になる。

図2 中日程計画のサンプル図

図2の例のように、部品それぞれに工程納期を設定していくのがポイントになる。

こちらも大日程計画と同じように、部品ごと各工程の負荷を加味した日程計画にするか、または加味しないかの判断が分かれる。

もし負荷調整を盛り込むのであれば、工程ごとに想定しているリードタイム(標準工数)を基準として、特定の機械又は人に、負荷が集中しないよう適度に分散した日程計画を立てる。

したがって、着手日の設定を特に重視することになる。

逆に負荷を考えずに中日程計画を立てるのであれば、各部品の工程納期から、材料手配やCAM、マシニング加工など各工程の想定工数から逆算した工程納期を立てていき、負荷調整は後述する小日程計画で行うことになる。この場合は、工程ごとの完了予定日(工程納期)を重視することになる。

これもどちらにするかは、後述する小日程計画と、中日程計画、どちらの精度を高くするかで決めれば良い。

最後は小日程計画で、こちらは下の図3のように個別の機械や人に対するスケジュールである。

図3 小日程計画のサンプル図

筆者は特に、マシニングセンターやワイヤー放電加工機については、夜間の無人運転の予定を事前に予約で埋めておく、新幹線の座席予約のような「座席予約方式」を推奨している。

夜間の無人加工で仕掛けられる長時間の加工は、昼間の隙間時間に差し込めないので、事前にきっちり隙間なく予約して決めておくべきだと考えているためである。

この差し立て板は、短ければ当日から三日目ぐらいまで、理想を言えば、2週間分くらいの事前スケジュールを立てられるのが望ましい。

これらの事例のように、日程計画を大中小と3段階に切り分け、金型を作る工程と納期を管理することを推奨している。

3段階の日程計画の課題とスケジューラーについて

これら3段階の日程計画について、現場の負荷状況を見ながら計画を更新していくわけであるが、3つの計画表全てを細かく状況に合わせて、計画表の中の部品の順番を入れ替えたり、工程納期を調整していくのは結構大変である。

そこで実際の負荷を加味し、細かく調整していくのはどれか一つの日程計画に絞る。

例えば中日程計画では、金型本体の納期から逆算して「これまでには終わっていて欲しい」という、それぞれの工程の最終納期だけを示しておき、実際の日々の着手計画は小日程計画の方で管理する方法である(この場合、中日程計画で設定する着手から完了までの日程は、できる限り許容される範囲で余裕を持たせた日数で計画する等)。

筆者が見てきた中では、この中日程計画による各部品の工程ごとの納期までしか管理されず、日々の着手計画は各作業者任せになっている現場が多かったが、やはり多能工化を前提として「人」に着眼した小日程計画、つまり各作業者がその日何と何をやるかを明確に管理すること(日々の着手計画)が、儲けるために重要だと考えている。

さて話を元に戻すが、この3つの日程計画のうち、特に中日程計画と小日程計画、それぞれ両方をメンテしていくことが大変で難しいという声をよく聞く。

それこそ専任の担当者がいて、EXCELで作った表を1日かかりっきりで触っているという人がいれば・・・という声も聞くが、仮にそういった人がいても、ある程度加工がわかったり、工数の見積もりができるという人でないと、日々計画表を管理するのは難しく、またそういう設計や加工がわかる人ほど、1日中生産管理に携わっていられないということが多いこともある。

そこで、そういった実状を聞くと「では費用はかかりますが、スケジューラーを導入してはどうですか」と助言している。

大日程計画・中日程計画・小日程計画の使い分けについてお話ししたのち、人が中日程計画を入力すると、その後自動で小日程計画が作られるソフトだとお伝えすると、大抵この説明でご理解いただいている。

具体的に「人が中日程計画を作ると、後は自動で小日程計画が作られる」という機能について、株式会社シー・アイ・エム総合研究所様のご協力により、市販の生産管理システムであるDr.工程PROの操作サンプル画像をご提供いただいた。 次号ではこの機能について実際にどのようなものなのか、具体的に紹介する。

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金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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