社内プログラマーは1人いると便利―VBでアプリを開発(型技術2023年1月号掲載)
筆者のマシニング加工現場でのコンサルティングでは、多品種同時多数個かけや、差し立てによる前倒し生産など上級レベルの取り組みができた後は、さらに次の最上級レベルの取り組みとして、昼間の有人加工と夜間無人加工で加工条件を変え、夜間は安全運転、昼間は最速の加工で一つでも多く加工するといった、メリハリある加工に取組んでもらっている。
ただし、この昼夜の加工条件の切り替えについては、マシニングセンターの対話ソフトを使っている場合はそれほどでもないが、CAMで加工データを作っている場合、その運用は一筋縄ではいかず難易度は高い。
その一つの手段として、すでにポストから出力しているNCプログラムについて、CAMオペレーターではなく機械オペレーターの方で、S値とF値を変換するという方法があるが、そのための変換アプリを作ることがある。
その変換アプリを作るために利用するのが、今回のタイトルにあるVB(ビジュアルベーシック)、プログラム言語である。
ただ、アプリを作るプログラム言語は無数にあり、それこそ他に何でもよいのだが、VBはよくVBA(Visual Basic for Applications)といって、EXCELマクロを実行する言語などで使われているため使っている人も多い。筆者もその一人である。
このプログラム言語を、NCプログラムの中のS値とF値を変換する自動アプリを作るために使うというわけである。
例えば、安全重視の夜間加工用の加工条件を、加工能率重視の昼間有人加工用の条件に変換したりする(もちろん変更箇所が少ないNCプログラムであれば手で変更しても全く問題はない)。
変換アプリを作る人の腕次第だが、荒取り切削加工のZ切り込み量を変換するという上級レベルの変換も可能かもしれない(3次元形状では厳しいが)。
筆者はスローアウェイカッターを使ってS50Cなどの荒取り切削をする場合、昼間で自分が機械の前で見ていられるのであれば、Z切り込み量6ミリなどで加工することがあるが、夜間など無人状態で加工するのであれば、とてもこの6ミリなどでかける勇気はない。もっと浅く削り安全を重視する。多少時間は伸びても、仕上げを含め朝までに終わっていれば良いためである(2、3日かかるような大物加工は別として)。
実際には、CAMで事前に加工データを作る場合、そのワークを有人でかけるか無人でかけるか、機械でかけるときになってみなければわからないため、加工条件を変えてNCプログラムを作ることは通常行われていない。一般的には無人加工に合わせた加工条件が使われていることであろう。
ところが、先ほど筆者の6ミリピッチで削る荒取り加工の例のように、昼間見ていられるなら高能率を狙った条件での加工も可能なわけで、これでは勿体ないと思われる。
したがって、筆者のマシニング加工現場のコンサルティングの最上級レベルの取り組みとしては、昼間と夜間の加工条件を変えるという取り組みを行ってもらっているというわけである。
一方、その変換アプリを誰が作るか?という問題が出てくるわけだが、筆者が訪問している会社には、大抵一人くらいVB使えますよという人がいたりする。
いない場合は外注することになるが、加工を知らないプログラマーに頼むことになるため、説明するのが結構大変な手間になる。
やはり加工現場や社内に一人くらい、このVBやプログラム言語を扱える人がいると、常に出番があるわけではないが何かと助かるものである。
筆者が支援をしている協和工業株式会社(静岡県湖西市 TEL053-579-0931)では、金型内製部門である技術部にVBAを扱える設計・加工エンジニアがおり、様々な場面で活躍している。
同社では設計や機械加工で使用するCAD/CAMソフトとしてシマトロンを使っているが、設計部門においては、そこから出力された金型材料の一覧データを自社で扱いやすいフォーマットに変換したり、一覧表内の材料寸法値を、加工代を加えた値に自動変換するなどの仕掛けを作るなどといった場面でEXCEL VBAを利用していた。
また、CAMから出力されたNCプログラム内の加工条件を、自動変換する改善の取り組みを検討した際においても、ササッとその仕掛けを同エンジニアの方は作ってくれたため、こうした現場の加工能率を上げる取り組みを行っていく際には、同社は非常に幅の広い取り組みを行うことができると感じた。
同じような仕掛けを別の会社で行おうとした際には、このようなエンジニアがいなかったため、アウトソース対応を検討することになったが、何十万円といった見積もり費用が提示されたので断念することになったが、こうした点においても、社内でそういったアプリを作れるプログラマーがいる会社と、そうでない会社には違いがあると感じた。
協和工業(株)の設計部門の活用事例においても、どのCAD/CAMシステムを使っていても、販売業者のサポートに依頼すると、ある程度はカスタマイズに対応してもらえるケースは多いが、筆者の経験において、やはり自社で細かなカスタマイズに対応できる方が時間的にも思いついたタイミングで手早く対応でき、またカスタマイズする内容においても、細かな頻度で気軽に改修していけるためクオリティーの高いものが作れると思っている。なお、材料表における寸法値の補正などの自動化については、ポカミス防止や人の作業工数削減に寄与することは言うまでもない。
また、筆者自身の経験においては、3次元測定機から出力される何百行の測定座標値の羅列から、異常値を発見するアプリを作ったり、CAMから出力されたNCプログラムを、攻める加工条件の昼間用と、安全を重視する夜間の加工条件用とに自動変換するアプリを作ったことがある。
NCプログラムの自動変換プログラムの中身を少し紹介すると、行数を増やさないような簡単なものであれば、加工前のNCプログラム(テキストファイル)を1行ずつEXCELに読み込みながら、変更が必要な行は変更して新しいテキストファイルに1行ずつ出力、変更がない行は変更をしないまま同じく1行ずつその新しいテキストファイルに出力していくといったものである。複雑な変換を要するものはこうはいかないが、簡単な変換であればこのような仕掛けをプログラムしていた。
(変換したNCプログラムを使って実際に機械加工を行う段階では、入念にチェックを重ねて使用する)
探せば、金型メーカーでの改善ネタとして、様々な場面で自動アプリは役に立つと思われる。
これを読んでいただいている御社はいかがだろうか。
まだVBを扱える人がいないという会社や、何か特別なスキルを身に付けたいという人はチャレンジしてみてはいかがだろうか。
参考になれば幸いである。
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コラム投稿者
金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054
