【ストーリーで学ぶ!金型・部品加工業の管理職の育成ルーム】 第2話「機械加工現場の班長や主任になったら何をするべきか」

目次

機械加工現場の班長や主任になったら何を管理するのか

【ストーリーで学ぶ!金型・部品加工業の管理職の育成ルーム】 第一話「管理職としての心構え」では、これから管理職になる人のために持つべき心構えを紹介しました。

第2回の今回は、機械加工現場での仕事を題材に、班長や主任になったらどのような役割を担うべきか、私自身の経験も踏まえ、具体的に見ていきたいと思います。

管理対象となる機械は全て扱えることが望ましい

まずは、自分やその部下が扱う工作機械、例えばマシニングセンターやワイヤーカット、ラジアルボール盤など、管理対象となる機械について、全て自分が扱えることが望ましいです。

もちろん私もそのようにしてました。

理由としては、次のようなことがあります。

  • 部下に欠勤が出た場合にいつでも応援に入れるため
  • 保守点検を行う際、機械操作と保守内容は密接に関係しているため
  • 後述する差し立てを行うため、各機械の工数を正確に見積もりするため
  • 難易度の高い加工品を部下にやらせる際、指示に説得力を持たせるため
  • その他

これらの理由のため、自分が管理するよう指示を受けた機械は、全て自分が操作できることが前提となります。

常に最善の状態で扱えるよう機械の保守点検をルール化する

これも班長や主任の仕事になります。

まずは、機械ごとの取扱説明書を元に、定期点検を行う内容を精査することから始まります。

特に、冷却ファンや潤滑油供給関係など、故障に直結する点検項目は、優先的に管理する対象になります。

また、毎日の点検項目や週に一回、月に一回など、内容によって点検頻度は異なりますが、いかに抜け漏れなく、部下に定期的に点検させるか、仕組みを整えることも仕事になります。

「気がついたときにやってます」・・・これは仕組みがきちんと機能しているとは言えません。

きちんとルールを整備し、仕組み化しましょう。

最善のリードタイムで仕事ができるよう差し立てを行う

私は、この差し立てがどのくらいできるかが、最も班長や主任の力量が問われるスキルだと思っています。

自分が管理するよう指示を受けた機械や人について、下図の事例のように、それぞれ毎日のスケジュールを計画します。

小日程計画

この事例は「マシニングA」という機械を例に、2週間分のスケジュールを計画した差し立ての例です。

複数台のマシニングセンターやワイヤーカット放電加工機について、加工工程ごとのリードタイムを意識しながら、自分が管理する機械それぞれに対し、差し立てを行います。

これをできるだけ正確に行うためには、図面を見て、各工程に必要な工数を見積もりできなければいけません。

見積もりする工数は、①段取りするための工数と、②加工に要する工数です。

この差し立てにより、人と機械が、最善の稼働率と出来高を発揮できるようスケジューリングします。

自分が最も得意とする機械については模範オペレーターになる

まさにタイトル通りのことなのですが、部下に対して知識だけ教えても、生産性はすぐに上がるというものではありません。

きちんと標準化された手順を、間違えなく正確に、かつ迅速に作業できる人こそが、機械オペレーターにおける「上級者」と呼ばれる人になります。

自社にある全ての機械で、誰よりも早く、正確に作業できるということは難しいと思いますが、自分が担当し、最も得意とする機械については、部下の手本となる作業オペレーションができるようにしておきたいところです。

自社にある最も高度な最先端設備については自主的に担当する

これも私は、班長や主任の重要な業務の一つだと思っています。

私の現役時代では、5軸マシニングが該当しました。

自社で最も高度な最先端設備について、班長や主任自身が自分でやっておかないと、例えばこれまで自社では経験のない高度な仕事の引き合いを受けた際、スキルがまだ未熟な一般職の社員がこうした高度な設備を担当していた場合、その低いレベルがイコール自社の技術レベルの水準になってしまうためです。

もちろん、自分の技術者としての市場価値を高めることになりますし、会社の最も進んだ最先端設備については、責任ある班長や主任が率先して担当するべきだと思っています。

最善な5Sの状態を維持する

金型メーカーや機械加工メーカーに限らず、全ての業種で必要となる5S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)の管理です。

特に我々の業種においては、①安全面、②品質面、③効率性、④客観性という順番で着手するのがオススメです。

順に詳しく見ていきます。

①安全面

まず自分や部下が作業するにあたり、環境としてケガや事故の発生確率をゼロにするよう整備することが重要です。

重たい鋼材を持った状態で段差を登る作業や、いつも作業着がひっかかる出っ張り、立てかけた鋼材が倒れてきそうな通路、重たいツールや治具が頭より高いところに保管してあるなど、危険な箇所はありませんか。

金型・部品加工メーカーの5Sの現場事例_5
金型・部品加工業の5S事例1

管理職としては、こうした危険な作業場が発生しないように、定期巡回を行ったり、そもそもそういった危険な方法をとらせないよう、部下に教育を行っていく必要があります。

②品質面

安全面からの5Sが整ったら、次に着手するのは品質面からの5Sです。

高精度なものづくりが要求される機械加工において、治具や工具が切り屑まみれになっているとか、エンドミルが折り重なるように引き出しに入れられ、ガラガラと当たりキズができるような保管方法だったりすると、とても百分台の精度を加工する製造現場とは言えません。

金型・部品加工業の5S事例4
金型・部品加工業の5S事例3

班長や主任となった人は、「この会社では高精度な加工品ができています」と胸を張って言えるだけの説得力のある加工現場を作り上げ、それを日々維持するための管理の仕組みを作っていきましょう。

③効率性

ものづくりのために最低限必要な安全面・品質面の5Sが整ったら、次は効率性を考えた5Sを行います。

指示書や図面、工具などを取りに行くために、ウロウロと工場の中を歩き回っていませんか?

私はコンサルティングの際、「一度段取り作業に入ったら、目安として4メートル四方以内の動線で済むくらいに、道具を手元化してください」とアドバイスしております。

御社はいかがでしょうか。

効率性の高い作業現場になっていますでしょうか。

④客観性

安全面・品質面・効率性、これらの面から5Sが整ってきたら最後の段階として、外部の人、特にお客さんから見て、「この会社の製品の品質は高いぞ」と思ってもらえるよう、対外的な見た目を意識した5S活動を行います。

すなわち、「自分たちはわかっているから必要ない」と思っていても、外部の人から見て「この会社の管理はしっかりされているな」と思ってもらえるよう、棚にラベルを掲示したり、工場内の通路や作業エリアの明示、もちろん床のライン引きや立ち入り禁止・頭上注意などの注意喚起を行います。

また、未着手・仕掛かり中・加工済み、検査待ち・検査中・検査済みなど、品物の状態を明示し、混入・間違いを防ぐ「識別管理」も重要な客観性に配慮した5S活動の一つです。

「ウチの5Sは自信ありますから、ぜひ工場見学に来てください!」と言えるくらい、客観性に配慮した5Sが出来れば本物です。

部下のトラブルに対応する

最後は、実はこれが一番多い業務になるであろうトラブル対応です。

金型製造や機械加工の仕事は、常にトラブルと隣り合わせです。

空いているはずの穴が空いていない、来ているはずの材料が来ていない、CAMデータとおりにかけたはずの加工品が、なぜか図面と違っているなどなど、毎日のように何らかのトラブルが発生します。

良くない事例

班長や主任になったら、自分だけでなく部下からのこうした問い合わせに対応していかなければいけません。

班長や主任という立場であれば、ほとんどの方が自分も何らかの機械を受け持つプレーイングマネージャーだと思います。

したがって、自分のその日のスケジュールをこなしながら、部下のトラブルにも対応していかないければならないということになります。

つまり、一定以上のスキルがなければ務まらないというお仕事になります。そういった意識を持って日々自分の技術を磨いておきたいものです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

こうして挙げていくと意外と多いなぁという印象だと思います。

班長や主任という立場は、まだ管理職としてのスタートラインに立ったに過ぎません。

今後昇格し、さらに広い視点での管理を任されたときには、どのようなスキルが必要になるのか、また別の機会でまとめてみたいと思います。

まずは、機械加工現場の班長や主任になった方たちのために、何を管理するべきかをまとめてみました。

参考になれば幸いです。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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