【金型・部品加工業の管理職の育成ルーム】 第7話 ミドルマネジメント人材に必要となる姿勢とは?

一般オペレーターとスペシャリストの違いについて
目次

第7話 ミドルマネジメント人材に必要となる姿勢とは?

すみません、ずいぶん久方ぶりのコラム更新となってしまいました。

私事ですが、今現在コロナ渦により出来る限りのステイホームをということですので、それなら逆にこの機会を利用し、何か自分の付加価値向上につながる取り組みをしようと思い、すでに持っている中小企業診断士の資格に加え、社会保険労務士の資格にチャレンジしておりました。

コンサルティングの仕事及びその準備・調査、食事・睡眠その他公私以外の時間のほとんど全てを勉強時間にあてており、できるだけコラムやメルマガは休まないつもりでおりましたが、想定以上に学習範囲が広かったため、ホームページの一部更新等をお休みさせていただいてました。

ようやく8/22をもって試験が終わりましたので、また再び不定期ではありますが、随時ホームページやコラム等の更新をしていきたいと思います。

ミドルマネジメント人材のあるべき姿勢・考え方とは?

私が普段訪問させていただく会社には、様々な風土の会社があるのですが、その中でも、大きく会社の業績や変革に影響を及ぼしているのが、ミドルマネージャー、いわゆる部長や課長に位置づけられる方々の姿勢や考え方についてです。

具体的には、会社の中長期的な経営目標・方針を社長(トップマネジメント)、いわゆる経営者や事業のトップが考え、それを実現するための具体的な手段・対策を考え、実践していくのが、下図のように位置付けるミドルマネジメント層ということになります。

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そこで私が実際に訪問する会社では、次のようなパターンのミドルマネージャーに遭遇します。

  1. 社長の打ち出した方針に従い、その方針に沿った対策を部下に伝え実行させる。
  2. 社長の指示した方針は無理だと反発し、部下と一緒になって従わない姿勢をとる。

それぞれどのようなことなのか、個別に見ていきたいと思います。

パターン① 社長方針に同調し、言いづらいことも部下にきちんと伝えるミドルマネージャー

まずパターンの一つ目、これが理想のあるべき姿勢ですが、社長の打ち出した中長期的な経営方針に対し、これにきちんと従い、その厳しくも大変な目標について、それを実践させるべく、社員にそれを伝え、具体的な対策を持って実行させる役目を担う部長や課長のタイプです。

はっきり言いまして、この役目、かなりシンドイです。

社長、つまりトップマネジメントは大きく分けて、①少しでも多く儲けること、②企業が永続できること、を目的として様々な方針を立てています。

それは時に「働きやすい・リラックスできる職場」という理想とはトレードオフ(反対)の取り組みに向かわなくてはならないときも出てきます。その部下に嫌われるかもしれないことを、社長の代弁者となって伝えなくてはなりません。

私は、管理職手当とは「部下に言いづらいことを言う手当」だと思っており、この部下に言いづらいコトを社長に代わって伝える役目、その大変なストレスに報いる手当が管理職手当だと思っております。。

ちなみに、私がコンサルティングをお請けする際、最もうまくいくのは、こういった姿勢のミドルマネージャーがいる会社です。

理由は、コンサルタントの打ち出した実践策を、社長だけでなく、その下の部長・課長が味方となり、強力に押し進めてくれるためです。

パターン② 部下と一緒になって社長方針に反発するミドルマネージャー

今度は、これも「あるある」なのですが、部下である一般社員と一緒になって、経営方針に反発したり、または何らか理由を付けてスルーしようとするミドルマネージャーのパターンです。

このタイプのミドルマネージャーは、自らも現場実務を持っているプレーイングマネージャーが多く、直近の短期的な現実を重視する(又は、せざるを得ない)ため、トップマネジメントが考える中長期的な方針について、反発したり、わかってはいても着手しないといった場合があります。

しかしながら前述したように、短期的な目標(受注した仕事の納期等)と、中長期的な目標(会社を永続させるため主に財務面から体質強化すること)は、それぞれ別の視野で対応しなくてはならないため、どちらも無視することはできません。

ところが両方を推進する役目であるミドルマネージャーが、トップマネジメントの方針に反発してしまうと、特に中長期的な方針への対応が停滞してしまうことになります。

私がこれまで見てきた中では、このパターン②に当てはまる会社は、やはり業績が良くないところが多かったです。

また、前述した管理職手当は「部下に言いづらいことを言う手当」だという定義に当てはめると、厳しい言い方になりますが、その分の仕事をしていないということになりますし、部下に嫌われながらも言いづらいことを言う必要がないので、パターン①のミドルマネージャーよりは仕事は楽だと言えます。

ただ、このホームページを読んでいただいているような前向きな方で、実際にミドルマネージャーの立場についておられるような方に、そういった方はおられないと思います。

【オマケ】社長まで一緒になって反発する会社もあった

まとめに入る前のオマケとして、驚きの姿勢の会社さんがあったので、少しご紹介します。

前述したパターン②のミドルマネージャーの姿勢について、経営者である社長までが、儲けるための経営方針を考えない、またそれを後押しする外部の意見に反発するという驚愕の経営者さんもおられました。

もちろんこの会社の経営は債務超過の状態であり、従業員に満足に給与・賞与も払えないような状況になっていました。いかに、目の前の仕事のやりくりだけでなく、中長期の経営方針も同時並行して考えていかなければならないことがよくわかります。

ただし、私も現場の仕事を20年以上やっていましたので、この事例の社長さんの言い分も大変よくわかります。

しかしながら、最低でも誰か一人は、会社の経営・財務状況も尊重した意見を言う人がいないと、そもそも何のために仕事をしているのかわからない状況に陥ってしまいます。

最低限、やはり経営者(トップマネジメント)は、中長期目標・経営方針を優先した意見を、現場に言っていくべきだと思います。


【まとめ】反発するなら必要なのは「代替え案」

私がいつもアドバイスしているのは、本来、会社経営という影響力のあるトップマネジメントの方針には従うべきですが、パターン②のようにもし反発するのであれば、「代替え案」を言うべきだと思います。

例えば、「社長の望むことはこうこうこういうことですね、それでは、その実行策として先ほど言われていたことは、みんなが反対してしまうので、私が考えたこちらの実行策で進めるのはどうでしょうか。それによって、社長の経営方針である〇年後の利益率〇%は実現できると思うのですが。」

こんな具合です。

前述したイラストの例で言えば、「来期、月〇型の受注は難しいですが、他の部品加工の受注の方を増やし、売上高としては目劣りしますが、利益率は同程度になると思います。設計者の育成が間に合わないので、社長の案の実行は来期は厳しいですが、代替え案として私の案はいかがでしょうか。」

といった具合です。

もし「代替え案」がないのでしたら、厳しい言い方ですが、反発する資格はないと言っていいでしょう。単に近視眼的な見方しか出来ない人がわがままを言っているということになってしまいます。

ぜひ反発する人は、「代替え案」を持って、社長を上回る提案をしていきたいものです。

参考になれば幸いです。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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