【マシニング加工】スキルマップに出てこない能力とは

安く作るかと量を作るかの違い

【マシニング加工】スキルマップに出てこない能力とは

多くの会社の人材育成、能力評価、教育管理などのために使われているスキルマップですが、実はここに表れてこない(見えてこない)能力があることに留意すべきだというのが今回のテーマです。

例えばマシニング加工を例にとると、近年CAMと機械段取りが分業化されていることが多くなっている背景もあり、日中昼間と夜間無人加工で使う加工条件(S値・F値)が同じという会社さんが多いです。

そもそも私はマシニング加工における、日中昼間と夜間無人加工で使う加工条件(S値・F値)が同じなわけはないと思っています。

夜間無人加工の最優先は、「安全にトラブルなくゴールすること」であり、120%の安全条件を重視します。

一方、日中昼間の最優先は「生産性(時間・日あたりの出来高)」であり、できる限り多くの部品を加工することです。したがって途中で機械を止めてスローアウェイカッターのチップを交換してでも、速い加工条件を使いますし、使いかけの少々傷んだチップをそのまま捨てるのはもったいないので昼間の加工の途中で使ったりもします。

例えば、私はサンドビック社のスローアウェイカッター、コロミル390を使って荒取り加工を行うとき、日中昼間で被削材がS50Cであれば、深さ6ミリくらいかけて加工しますが、人の目から離れる無人加工では危ないので、とてもそこまで深くかけることはしません。S値・F値と共に、加工深さも変えて加工します。

ここにマシニング加工オペレーターの個人差(能力差)が出ると思っていまして、そもそも日中昼間と夜間無人加工の条件が同じという会社さんでは、オペレーターごとの生産性の違いは、段取りの要領の違いくらいしか出てきません。

一方、私のように、夜間と比べ日中昼間の加工条件は上げているという会社さんでは、攻める人と安全を見る人では、その出来高に違いが出てきます。

御社はいかがでしょうか。

百社以上の多くの加工現場を見てきましたが、やはりCAMと機械段取りが分かれている加工現場ほど、日中昼間と夜間無人加工は同じ加工条件という会社さんは多いです。

たしかにそれはそうだと思います。

機械段取りを行うオペレーター(セットマン)は、CAMオペレーターから提供されたNCプログラムを機械に入力して仕掛けることが仕事になりますので、その加工条件まで自分で編集することはリスクになりますし、そのためには切削加工についても、ある程度の知識が必要になります。

機械段取りオペレーターの方とお話しをさせていただくと、そもそも下図のようなS値の計算式を知らず、工具ごとの切削速度(周速値)を認識していないという加工者もおられます。

S値の計算式
S値の計算式

こうした状況であれば、機械段取りオペレーターにとって、他人の作ったNCプログラムを編集することは、ややハードルの高い作業となるでしょう。

CAMオペレーターにとっても、日中昼間と夜間無人加工、それぞれの加工条件を登録しておき、加工する部品が後工程において、日中昼間に仕掛けるか、夜間に仕掛けるか、どちらになるかを先読みし、それに合わせて加工条件を使い分けることはレベルの高い作業になります。

それはさておき、本コラムのタイトル「スキルマップに出てこない能力とは」ですが、自分では加工条件を意識せず機械にセットするだけの人であっても、また日中昼間と夜間無人加工の加工条件を変えているとしても、攻める条件の人・安全を見る条件の人どちらも、スキルマップのマシニング加工の項目には「作業(自体)はできる」としてがついていることでしょう。

これがまさに、「スキルマップに出てこない能力」になります。

ですが、こうしたことを踏まえ、マシニング加工の現場の生産性(出来高)を上げていくためには、次のような順序での取り組みが有効になるでしょう。

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