金型・部品加工業専門コンサルティング

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FAQ

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金型メーカーにおける「多能工化」の真の目的

金型メーカーにおける「多能工化」の真の目的

こちらのコラムでも多能工化については、何度も触れてきましたが、私が金型メーカーでよくお話しをさせていただく「多能工化」の本当の目的についてまとめてみたいと思います。

 

まず前提として、金型メーカーでよく言われるのは、下図のように、依頼される仕事量について山谷があるという事です。

仕事に山谷がある_1

「仕事量に山谷がある」とは、忙しいときにはまとめて一気に仕事が来ることが多く、仕事が無い時期が交互に来て、平準してコンスタントに自社にとって適度な量で仕事が来るという状態には、なかなかならないという意味です。

 

そして、これもよくあることですが、図中に示す、社内で対応できるキャパ量を超えると、外注の金型メーカーに協力を仰ぎ、一般的には社内で作る原価よりも、外注に支払う金型費の方が高くつき、損益における利益率が低下することになります。

 

具体的な多能工化の方法

そこでどのような対応をとっていくかの方法として「多能工化」が出てきます。

 

多能工化を行うことで、下図のように対応できる製造キャパを引き上げることができれば、山谷における「山」の状態、つまり引き合いが多く来たときに、できるだけ多くの型数を受注する、もしくは外注に出す金型を少なくするという対策ができます。

仕事に山谷がある_2

具体的な多能工化として、例えば、

  • 設計工程では、機械加工や金型組み立て担当者であっても、自分の工程が忙しくなる前に、設計アシスタントとして、金型設計を手伝ったり、部品図バラシなどを行う。
  • 機械加工では、組み立てや仕上げ担当者であっても、自分の工程が忙しくなる前に、マシニング加工や放電加工の機械オペレーターとして、少しでも機械稼働率を高めるサポートを行う。また、設計担当者がCAMでデータ作成を行うなどもあります。
  • 組み立てや仕上げ作業では、機械オペレーターが無人運転の最中に、加工後の仕上げを行ったり、サブアセンブリ状態までの組み立てを行うなどがあります。

 

まとめ

まとめますと、山谷におけるの状態のときに、しっかりOJTやOFF-JTによる準備を整えておき、の状態が来た時に「多能工」という瞬発力を発揮して、来た仕事をできるだけたくさんこなすことが、金型メーカーにおける「多能工化」の真の目的になります。

 

これについては、私自身実際に、設計・CAM・機械加工・組み立て・仕上げ・トライ・保全などを、いつでも実務レベルで参画できるよう実践しておりましたので、自信を持って実現できると思っています。

 

金型を製造できるキャパは、設計や機械加工、組み立てなど工程ごとに分解し、投入できる人工や工数を使って計算されますが、それによれば、多能工化を行うことで、完全な分業体制をとっている金型メーカーよりも、各工程にフレキシブルに人工を投入できる、多能工化が進んだ金型メーカーの方が当然に多くなることがわかります。

 

最後にこれもよく言われることですが「多能工化、わかっちゃいるけど、その教育をやる時間が取れないんだよね」とおっしゃる企業さんは多いです。

 

これについて、どこもまとまった時間が取れないのは同じです。

この忙しい現代社会においては、「隙間時間」を制した者が勝つと私は思っています。

 

そこで、行き当たりばったりにならないよう、カリキュラムとスケジュールを事前にしっかりと組んでおき、毎日もしくは、週2や3回で1時間といった、定期的な勉強や練習でも充分に効果は出せると思っています。

 

ぜひ取り組んでみてください。お役に立てれば幸いです。

 

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金型・部品加工業 専門コンサルティング

代表:村上 英樹(中小企業診断士)

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マシニング加工における荒取りと仕上げは機械を分けるべきか

来たる11/25のセミナーに申し込みいただいた企業さま、ありがとうございました。

申込みいただいた中でご質問をいただきましたので、当日に先駆け、予習というわけではありませんが、気になった内容についてこちらのコラムで私の所感を書かせていただければと思います。

 

マシニング加工における荒取りと仕上げは機械を分けるべきか

この内容についてはコンサルティングの際、よく受ける相談でもありますし、マシニング加工がボトルネックになっている場合は、対策としてよく提案させていただく手段でもあります。

 

これまで多くの加工メーカーをみてきた私の所感としては、分けているメーカーは多いです。

 

理由は機械の回転率を高め、たくさんの仕事をさばくためです。また、焼入れ後に仕上げ加工を行う場合は、必然的に分けることになります。

また途中で焼入れ処理を行わない場合でも、荒取りと仕上げ、機械を分けることで、荒取り後の歪み抜きを兼ねることもあります。

 

どちらかと言えば、剛性よりも高精度な動きを求める仕上げ用途のマシニングでも荒取り加工はできますが、長年使用し輪郭精度が落ちているなど荒取り用として使っているマシニングで仕上げ加工は避けたいという場合、どうしても仕上げ用のマシニングに渋滞が起こりがちです。

 

そこで仕上げ用のマシニングの渋滞を避けるため、荒取り加工は他のマシニングでやっておき、仕上げは仕上げ加工専用のマシニングで行い、仕事の回転率を高めるという金型メーカーや機械加工メーカーを多く見かけます。

 

1台の加工機で荒・仕上げ加工を行うのは機械へのダメージを考えた場合避けるべきか

これは加工の内容によると思います。

大きなワークの加工で、しかも起伏の大きな形状があり、高送りカッターよりも、太い直径の工具を使い、一回の切り込み深さを多くとる重切削をやりたい場合は、滑りガイドの剛性の強いマシニングに限定されると思います。

こうした形状の荒取り加工においては、高送りカッターを使った浅い加工深さで高速に削る軽切削の荒取り加工よりも、前述したような重切削で加工した方が能率は上がると思います。

 

実際に私は、滑りガイドではなくリニアガイドのマシニングセンターでスローアウェイを使った重切削を行い、機械を痛めてしまった経験があります。

 

CAM側での配慮

それと、仕上げ用のマシニングで荒取り加工を行う場合は、加工深さ方向を薄く削る軽切削になりますが、加工データを作るCAMソフトは慎重に選んだ方が良いと思います。

 

例えば、工具直径の半分以下の幅方向で、薄く高速に削る荒取り加工の軌跡においては、絶対に工具直径の幅(以下、1Dと表現します)のパスが出ないCAMを選ばないと機械を痛める可能性があります。

この点について、私が使っているhyperMILLでは2つの指針の荒取り機能が選べます。

 

  1. 加工軌跡の中で、1Dのパスが出ることを許容するが、そのときのF値を指定できる(送り速度を下げられる)
  2. 絶対に1Dのパスが出ない軌跡で出す(トロコイド加工)

 

特に、3次元モデルを使った3D加工では、加工データの生成はCAM任せになってしまうため、CL計算においてこのように明確に管理がされていないと、やはり機械を痛めてしまうか、加工軌跡に含まれる一部の加工負荷の高い箇所のために、送り速度を下げて加工する羽目になってしまいます。

 

まとめ

以上、11/25の日刊工業新聞社さま主催の技術セミナーの申し込みでいただいたご質問について、他の金型・機械加工メーカーも抱えている課題かと思い、先行してご回答させていただきました。

 

今後も普段のコンサルティングの中で、こうした課題があれば取り上げていきたいと思います。

 

お役に立てれば幸いです。

 

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【金型メーカー・機械加工メーカー】従業員の力量をどのように評価するのが正しいのか

従業員の力量評価

金型や機械加工メーカーでは作業者の力量をどのように評価するのが正しいのか

今回のコラムは、これも当事務所に多く相談をいただく、金型メーカーや機械加工メーカーにおいて、従業員の力量をどのように評価するのが正しいのかについてです。

 

一般的に多くの加工メーカーにおける従業員の能力開発については、OJTや外部研修などOFF-JTを中心とした研修などによって教育が行われ、スキルマップなどによりその力量は評価されています。

 

しかし実際に、計画通り進めてみても、実態としての日々の出来高になかなか現れてこないのが実状ではないでしょうか。

 

私はその原因として、先ほど挙げた、OFF-JTを中心とした教育とスキルマップを使った力量評価のやり方に問題があると思っています。

 

では、どのように金型や機械加工メーカーで働く社員さんの力量評価を行うことが成果につながるのでしょうか。

 

私は次の2つによって、評価を行うことが望ましいと考えております。

  1. 知識面:ペーパーテストにより社内で直接使う知識の確認
  2. 技能面:実際にどこまでのものが作れるのかの確認

 

では、具体的にそれぞれ見ていきたいと思います。

 

知識面:ペーパーテストにより社内で直接使う知識を確認

実際に、私が企業の中で研修をやらせていただくと、例えば、茶髪でピアスをしたような若者でも、後でペーパーテストを行うことを伝えると、かなり真剣に講義を聞いてくれます。

これについては、複数人で共通した指標を使い、点数という統一したもので評価されることに一定の危機感を感じるためだと思っています。

 

したがって、まずは社内で共通したペーパーテストを作って、知識面の評価を行うことをオススメします。

 

また、ポリテクセンターや工作機械メーカーなどで実施される基礎・応用研修についても、とても効果のある研修ではあるのですが、実際にそれを受けた社員さんのその後の仕事ぶりをみて見ると、その知識を活かしてバリバリものづくりができているかというと、必ずしもそうとは言えない状況があることも事実です。

 

これについては、外部研修で学んできたことを、自社の仕事の実務内容に、結び付けることが苦手な人が多いためだと思っています。

 

そこで、実際に自社のものづくりで使う知識について、ペーパーテストを作り、それを教育も兼ねて実施する方法がオススメです。

 

実際のテストの内容の事例としては、次のようなものがあります。

ペーパーテストの事例_1

 

こちらの例は、プレス金型における曲げ型に使われる金型材料の種類を問うペーパーテストの事例です。

実際の金型の製造現場では、生産ロット数や製品の硬さだけでなく、機械加工の手順などによって、企業ごとに用いる金型材料が異なります。

 

外部研修で学ぶごとはあくまで基礎として、実際に本業で用いる知識はペーパーテストで補完するという一例です。

 

次の事例も同様です。

ペーパーテストの事例_2

こちらについても、一般的な外部研修では成分や強度などの講義は受けますが、実際に社内ではどう使い分けをしているのか、例えば、SS400は構造部にCO2アーク溶接で部品を直接溶接する場合に用いる、S50Cは、SS400では切削加工で百分台の精度が出せない場合に代替えするなど、自社都合で材料を使いわける事例は多々あります。

 

OFF-JTの外部研修だけ行い、そこまでつっこんだ知識については個人任せになっているという企業が多いです。

御社はいかがでしょうか。

 

やはり、こういったペーパーテストを作り、自社に合った認識で業務を行っているのか、力量評価とその補正となる教育を行っていく必要があります。

 

その他、次のような確認テストも考えられます。

ペーパーテストの事例_3

 

実際に金型部品が入ってくるプレート部品に対し、どのような手順で加工を行うか認識を問うペーパーテストです。

 

こうしたテストにより、表には出てこない認識の個人差を是正することにもつながってくると思います。

 

 

技能面:実際にどこまでのものが作れるのかを確認

次はスキル、技能面の評価方法ですが、加工現場でお仕事をする社員さんについては、「どこまでの難易度のものを加工できるか」で評価します。

 

例えば、次の図のような加工品があった場合、段取り方法や加工工程を考える能力、工具選定、NCプログラムを作れる能力によって、どこまでのものが作れるか、明確に差が出ると思います。

力量評価サンプル1

力量評価サンプル2

力量評価サンプル3

力量評価サンプル4

 

上図のサンプルは、私が使っているhyperMILLのトレーニング用モデルからお借りしたものですが、上から順に難易度が上がっています。

 

下のものになるにつれ、段取りや順番からして、どのように切削したらよいか難易度が上がっています。

 

このように、実際の加工現場においては、何の研修を受けてきたか、何年会社にいたかという情報は、力量評価においてあまり役に立たず、「実際のサンプルを元に、どこまでの難易度のものが正確に作れるのか」という評価の方が実務上役に立ちます。

 

もちろん、完成するまでの工数も評価対象になります。

 

これらのサンプルについては、部品加工メーカー寄りのサンプルになっておりますが、金型メーカーにおいても同様で、段階ごとの難易度に応じた評価用サンプルを用意することで、自社に合った力量評価を行うことができます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

私が日々、金型や機械加工メーカーでコンサルティングを行っていると、外部研修や社内教育は結構やってきたんだけど・・・なかなか仕事の成果に現れてこないといった言った悩みを多くお聞きします。

 

また、これは必須の前提となることですが、知識面で紹介したペーパーテストの内容についても、技能面で紹介したサンプルの加工方法にしても、社内で標準化し統一しておくことが望ましいです。

 

教える先輩ごとにやり方が異なるようでは、教えられる部下や後輩に個人差が出来てしまうことになるため、気をつけたいところです。

 

もしよろしければ、試してみてください。参考になれば幸いです。

 

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「今さら聞けない」CAM加工の工具突き出し長さについて

意外に多くのメーカーが対応できていない工具突き出し長さの問題

今回は、すでに対応できている加工メーカーにとっては、当たり前の話なのですが、私が多くの金型メーカーや機械加工メーカーを診断していると、例えば10社訪問したとすると7社くらい、およそ7割くらいのメーカーが対応できていないと思われる、CAM加工時の工具突き出し長さの考え方について言及していきたいと思います。

 

今回で言う「CAM加工」とは、主に3次元CAMで作成したNCプログラムを使って、マシニングセンターやNCフライスで加工を行うものを指しています。

 

今回問題視していることは、下図のような状況において、本来望ましい工具の突き出し長さは左側の図の状態になるのですが、CAM機能上の問題からか、右の状態の長さで機械オペレーターに指示され、実際に加工が行われていることです。

工具の突き出し長さの状態_1

 

実際に多くのCAMオペレーターがとっているやり方としては、形状や、出力されたパスの最も低い(深い)Z値をもとに、例えば上図で言えば、形状の深さが65ミリなので、工具の突き出し長さを66ミリとか67ミリとし、加工指示書に記載しているやり方です。

 

ワークへの干渉を考慮すると、図のイメージのようなスリムタイプのミーリングチャックが使い勝手が良いので、常時このタイプのミーリングチャックを使うというセッティングはよく行われているのですが、それでしたら、左の状態のようにできるだけ突き出し長さを短くし、加工精度や出せる送り速度を上げることに配慮すべきかと思います。

 

また、工具径にもよりますが、図のような長い突き出しのまま加工するということであれば、下図のような剛性のあるミーリングチャックを使い、少しでも工具の逃げや倒れ、加工ビビリが起こらないよう配慮することも考えられます。

工具の突き出し長さの状態_2

最後にまとめますと、自由曲面などの3次元形状のCAM加工については、

  1. できるだけ短い工具突き出し長さでツールセッティングを行う
  2. 可能な限り剛性のあるミーリングチャックを使う

これらに配慮することで、加工面品質・加工寸法精度・送り速度を良くしていくことにつながると思います。

 

具体的には、CAMの機能やシミュレーションソフトによって突き出し長さを算出するか、アナログ的にCADで図を書いて確認するなどの方法になると思いますが、この作業にあまり工数をかけてもいけないので、少しでも効率よくしたいところです。

 

今回のお話しについては、すでにやっている企業さんにとっては当たり前かもしれませんが、私も意外だったのですが、本当に多くの加工メーカーさんが対応できていません。

 

御社はいかがでしょうか。参考になれば幸いです。

 

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金型加工と部品加工、それぞれCAMに求める機能の違いについて

金型加工用と部品加工用、それぞれのCAMの違い

素材は6面フライスした材料が多く荒取り加工では切削ボリュームは多い金型加工と、3次元加工は2次元加工の後に行う場合が多く素材形状は何らかの加工形状がついた状態になる部品加工では、CAMに求める機能は違ってくるはずです。

 

そこで、金型加工と部品加工、それぞれの用途において、CAMに求める機能の違いについてまとめてみました。

 

そもそも、一般に市販されている3次元CAMは、金型加工用とか部品加工用といったように定義して販売されているわけではありません(中にはそういったソフトもあるかと思います)。

 

ここで、金型加工用とは、主に自由曲面で構成される金型意匠面を加工するためのCAMで、部品加工用は、主に金型の周辺部品や金型以外の構造部品でも加工できる汎用的な機能を持つCAMのことを想定しています。

 

加工メーカーが、それぞれのCAMに求めている機能は、次のようなものがあります。

 

金型加工用のCAMに求める機能

  1. 素材形状は、6面フライスした材料などシンプルな形状が多く、そのため荒取り加工では切削ボリュームは多い傾向にあり、高効率化と工具の長寿命化を両立させられる機能、例えば局所的な負荷の低減など、高度な荒取り加工パスが要求される。
  2. ボールエンドミルによる仕上げ加工パスにおいて、加工後に意匠面を磨く場合には、三角パッチの目が浮き出てはいけない、微細なトレランス設定が必要など、仕上がり面品質が重要になる場合がある。
  3. 小径ボールエンドミルの加工がある場合は、前工具で削り残った領域を参照した加工パスが計算できる「削り残り部加工」は必須である。
  4. その他、①各荒取り工程後の素材形状を、次行程の加工領域に活用できる機能、②工具の突き出し長さの計算、③工具の突き出し長さごとに加工領域を切り分けられる機能などがある。

 

部品加工用のCAMに求める機能

  1. 3次元加工は、2次元加工の後に行う場合が多く、3次元加工を行う前の素材形状は、何らかの加工形状がついた状態になる。そのため、自由度の高い素材定義ができる機能や、素材と工具の干渉を簡単に見つけられる機能が求められる。
  2. すでに仕上がっている2次元加工が終わっている部位に、3次元加工の工具が触れない加工パスが簡単に作成できることが望ましい。
  3. 金型用の3次元CAMで使用する工具は、ボールやラジアスエンドミルが主体になるが、部品加工用CAMで使用する工具は、フラットエンドミルや、ドリルやタップなども加わり、汎用的に色々な種類を用いる。このため、2次元と3次元の加工を簡単に併用できる操作性が求められる。
  4. その他、①ダミー用サーフェース面の簡易なモデリング機能、②2次元から3次元を分け隔てなく使える加工シミュレーション機能などがある。

 

まとめ

実際には、金型加工用・部品加工用、それぞれに特化して販売されているわけではありませんが、明らかに2次元加工で使うには使いづらく、3次元の曲面加工をメインにしたCAMや、その逆の用途のCAMもあります。

 

こうした使い分けの適正の良し悪しは、金型や部品加工の製造原価や受注キャパに、じわりじわりと効いてくるので、あながち無視はできません。

 

しかしながら、特に金型メーカーにおいては、設計工程、例えば、2次元設計なのか3次元設計なのか、また部品図を2次元で作図しているのか、3次元モデルで現場に回しているのかなど、前工程からのプロセスによっても、どのようなCAMの使い分けが望ましいのか変わってくると思います。

 

ぜひ一度、設計から加工まで、全工程を見渡した中で、改めてCAMのあり方を検討されてみるのもよろしいかと思います。

 

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※ 本コラムは、型技術2016年5月号の記事から抜粋・編集しました。

無料診断で見えてきた、金型メーカーが陥る「〇〇〇病」について

あるメーカーのマシニングセンターを使う金型メーカーに共通した病

日々のコンサルティング業の合間に、お問い合わせいただいた金型メーカーや部品加工メーカーの皆さんに行っている無料診断ですが、全国の色々な金型メーカーを診断させていただく中で、生産性に関わるある共通した現象があることに気づきました。

 

病(やまい)ということですので、本来は望ましくない現場のある特徴になります。

 

その病とは特に、あるメーカーのマシニングセンターを使っている金型メーカーに発生していました。

 

病にかかった金型メーカーにおける具体的な現象

そのあるメーカーのマシニングセンターには、近年多くのマシニングセンターの制御盤に装備されている対話ソフトがありません。

そもそも対話ソフトとは、マシニングセンターの制御盤に添え付けられたCAMのようなソフトで、MAZAKさんのマザトロールが有名です。

 

タップやリーマ穴などの加工において、センター穴・下穴加工・面取り・タップ(リーマ)などといった複数の工具を使う加工においても、「M10 タップ」など加工種類と、座標位置を打ち込むだけで、簡単に一連の加工プログラムを作ることができます(Gコードプログラムを出力するものもあります)。

 

しかし、この対話ソフトが装備されていないマシニングセンターについては、元々、金型意匠面など倣い形状(3D形状など)を高精度に切削するための機械というコンセプトであったのだと思います。

 

しかし、プレス金型、プラスチック金型、ダイカスト金型など、金型種類を問わず、どの金型も2D加工、つまりプレート部品などの穴あけ加工やポケット加工など、3D加工以外の構造部の切削加工が多く存在します。

 

もちろん、加工現場ではそういった2D加工も同じマシニングセンターで加工しなければならないのですが、対話ソフトのない機械では、ジョグ送りを使った手動による加工もしくは、Gコードプログラムを手編集して対応するしかありません。

もしくは、加工条件や加工する座標位置を入力するだけで済むような、Gコードによるマクロプログラムを打ち込んで利用するということもあります。

 

しかし、そういったスキルを持った機械オペレーターがいない加工現場では、例えば、たった2、3か所のキリ穴をあけるようなプレート加工においても、別のCAMオペレーターにより、加工プログラムと段取り図、条件表、工具一覧表などを作ってもらい、それを使ってマシニング加工を行うという分業体制をとっています。

 

また、複雑でもなんでもない軌跡のエンドミル加工についても同様です。

プレートの厚みや段差の切削など、一本線で済むような軌跡の加工でも、CAMでプログラムを提供して加工している場合があります。

 

このような加工であれば、手動送りやジョグ送りを使った加工で充分です。また、きれいな仕上がり面が必要ない加工であれば、ラフィングエンドミルを使えば何回もスライスせずに一回の切り込みで済んだりします。

 

したがって、簡単な加工にまでCAMデータを提供するプロセスは、非常にムダな間接コストがかかっていると言わざるを得ません。

特に、設計に工数をかけて部品図を作成し、それを現場に渡しているにもかかわらず、別途CAMでデータを作成しているという金型メーカーについては、特にそう思います。

 

こうして余剰にかかった間接工数は、金型ごとの原価に現れてきます。

 

当事務所が行う現地診断でわかったことは、〇〇〇というメーカーのマシニングセンターを使っている、特にプラスチック金型メーカーに多く見られた症状でした。

ですから私はこれを、「金型メーカーにおける〇〇〇病」と呼んでお伝えしています。

 

私は金型メーカー以外にも、部品加工メーカーの無料診断も行っていますが、金型メーカーに比べるとこの症状は多くは見受けられません。

やはり、3D加工など金型意匠面の倣い加工をメインに行うために、〇〇〇社のマシニングセンターを導入している金型メーカーに見られる症状です。

 

部品加工メーカーでは、むしろ汎用的に加工ができる対話ソフトのついているマシニングセンターを導入していることが多いためだと考えられます。

 

いかがでしょうか。

もし思い当たるところがある金型メーカーさんについては、ぜひご注意ください。

 

※ 諸事情によりマシニングセンターのメーカー名までは書けませんので、もし気になる方はお問い合わせください。

 

 

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「今さら聞けない」汎用フライスとマシニングセンターの使い分けについて

昨今の金型メーカーの課題

筆者が金型メーカーを無料診断させていただいたり、コンサルティングをさせていただく中で、まさにこの点について課題だと思うことが多々あります。

 

その課題とは、CAMデータ作成とマシニングセンターのオペレーション業務の分業化が進み、例えば、片手サイズのプレートにキリ穴を2、3か所加工するような内容のフライス加工についても、CAMオペレーターが加工プログラムと加工指示書の作成を行い、それを受け取ったマシニングオペレーターがワークとプログラムを機械にセットして加工を行うといった、コスト面からはやや過剰とも思える手順を踏んでいる点です。

 

こうしたプロセスはミスの発生防止には効果は高いですが、図面を見ながら汎用フライスで手早く済ませてしまう場合の工数と、CAMデータを作成し加工指示書まで作って加工者に渡す分業での工数とを比較すると、圧倒的に汎用フライスの方が早いと思われます。

 

もちろん汎用フライスはうっかりミス(ポカミス)のリスクがつきまといます。

しかし両者の工数の差を考慮すると、例えば片手サイズのプレートであれば、ミスした時のために材料を余分に買っておいたとしても、加工部品によっては汎用フライスの方が安くできるかもしれません。

 

そのくらい両者の工数には差があると考えています。

したがって加工コストの最適化のためには、CAMとマシニングオペレーターの分業について、その程度を少し抑えていくことが望ましいと思われます。

 

具体的には、マシニングセンターの手動機能を活用し汎用フライスのように利用する、簡単な穴加工や切削加工についてはハンドル送りで対応するなど、過度にCAMに依存しないことが、金型メーカーのフライス加工の工数削減につながると思われます。

 

もちろん、こうした作業を行うためには、これまでの段取りのみの作業には必要なかった、加工条件や工具選定に関する知識が必要になってくるため、教育によるオペレーターのスキルUPが必要になります。

 

汎用フライスとマシニングセンターのあるべき使い分け

では、汎用フライスとマシニングセンター、それぞれの持ち味を活かす使い分けとしてどのように考えれば良いのでしょうか。

 

そもそも、マシニングセンターの強みを発揮できる場面は、次のようなケースであると考えられます。

  • 同じものを複数個加工するとき。
  • 使用する工具の本数が多い加工のとき。
  • 荒取りの切削体積ボリュームが多い加工のとき。
  • 高送りカッターや超硬ドリル、チップ式ドリルなど、市販の高能率工具が使用できるとき。
  • 自由曲面など3次元の加工を行うとき。
  • 長時間の無人加工を行うとき。

 

逆に、上記のマシニングセンターの強みが発揮できるケース以外の加工では、汎用フライスの強みが発揮できると場面だと言えます。

例えば、次のようなケースです。

  • 試作品など、少量の加工のとき。
  • 多くても2、3本の工具で済む加工のとき。
  • 手動ハンドルによる手送りでエンドミル加工を行うとき。
  • 強くクランプできない異形ワークの加工などで、切削負荷を調整しながら加工したいようなとき。

 

これら汎用フライスの良さは、加工を始めるまでの時間がとても短いという点です。

 

ハンドル送りによる加工などは、段取りしてすぐに加工を始めることができます。

また手送りによるエンドミル加工では、とかくマシニングセンターでは送り速度やロードメーターなど数値でしか判断できない切削負荷について、実際に手に負荷としてかかってくる切削抵抗を肌で感じとりながら、送り速度の調整を行うことができます。

 

こうした点についても、汎用フライスの経験のない最近の若手加工者が加工条件の限界がわからないといった弊害につながっていると筆者は考えています。

 

未経験で入社した社員さんについては、いきなりマシニングセンターを担当させるのではなく、あえて汎用フライスから担当させることで、加工限界を肌で理解した伸びしろのある加工者に育つかもしれません。

 

製造現場では、エース級の社員さんばかりでもなく、個人差の発生しない分業体制でできるだけ生産性を上げなければいけない事情も、非常に理解できます。

しかしながら、現場診断やコンサルティングをさせていただく中で、むしろ大中規模のメーカーさんの加工現場で、過度に「CAM分業」に依存した状況を見かけます。

 

適宜、機械オペレーターさんの成長に合わせながら、適切に汎用フライスとマシニングセンターの使い分けをしていただければと思います。

 

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング

代表:村上 英樹(中小企業診断士)

愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

 

※ 本コラムは、型技術2019年4月号の記事から抜粋・編集しました。

金型設計における3次元CADの選び方

金型設計における3次元CADの選び方

金型設計で使われている3次元CADの種類

今回は、金型の意匠面モデリングだけでなく構造部の設計に用いる3次元CADを対象として、その種類と選び方について見ていきたいと思います。

まず、金型の構造設計で用いる3次元CADには、大別して下記の2つの方式があります。

  1. ヒストリー型
  2. ノンヒストリー型

 

ヒストリー型CADの特徴とメリット

ヒストリー型のCADは、「パラメトリック方式」とも呼ばれ、設計していく過程が履歴として記録されます。

これにより、はじめは大雑把に設計し、徐々に履歴の中にある細部の寸法や位置を微調整していくという設計手法をとることができます。

 

これによるメリットとしては、まずはイメージから形にしていくといった自然な流れに沿った設計ができ、モデルを作り終えた後でも自由に編集ができ、またパーツや構造を微調整し、のちにモデルを使いまわすといったリピート設計にも寄与する点があります。

 

金型設計で使われている代表的なヒストリー型の3次元CADとしては、CATIAやNX、Creo、SolidWorks、シマトロンなどがあります。

 

ノンヒストリー型CADの特徴とメリット

一方、ノンヒストリー型は、ヒストリー型の逆のような機能を持ち、設計操作の履歴は持ちません。

そのため、部品のサイズや位置を後から寸法で動かすといった操作はせず、ダイレクトに位置や大きさを直接編集しながら部品をモデリングしていきます。

 

これにより、部品を構成する要素間の依存関係を意識することなく、自由な操作でサクサクとモデリングを進めることができます。

 

したがって、同じような形状を繰り返しリピート設計する金型よりも、新しい構造や形状の金型を新規に設計する際には、迅速かつ軽快に作業を進めていくことができるというメリットがあります。

 

金型メーカーによく用いられている代表的なノンヒストリー型の3次元CADとして、VisiやTopSolid、SpeedyMILLnextなどがあります。

 

金型メーカーにおける3次元CADの選び方

3次元設計をはじめる際のハードルとして、2次元設計では省略することができる部位についても、きちんとモデリングする必要があり、そのため作業負担が重たくなることが指摘されます。

 

そこで、市販部品など標準的に使う部品は、登録しておき呼び出して配置することはもちろん、長さやサイズなどを自動計算させて配置させるなど、定型作業については特に効率的に作業できる機能が求められています。

 

また最近では、部品配置を行うと同時に、ザグリ加工やタップ、リーマ加工などの加工属性まで合わせて付与する「フィーチャー設計」ができることも、3次元CADを使う際の必要要件となってきています。

 

前述した3次元CADの中には、ヒストリー型・ノンヒストリー型問わず、フィーチャー設計が出来るソフトがあります。

 

ではどのような視点で3次元CADを選ぶべきか、それについては自社で製作する金型が、ヒストリー型・ノンヒストリー型、いずれのシステムであればそのメリットが活かせるかで判断すべきです。

 

例えば、金型を用いて生産する製品が大方決まっており、寸法は微妙に変わりますが形状は大きく変わらず、製作する金型の構造やレイアウトは大きく変わらないとします。

その場合の金型設計は、部品サイズや配置、数量などを編集していく作業がメインになるため、こうしたケースは、リピート設計に強いヒストリー型の3次元CADが向くと思います。

 

逆に、全く新しい形状の製品の金型を設計する場合は、構造から新しく見直す必要があるため、以前作った構造レイアウトや、部品同士の位置関係を再利用することはかえって手間がかかり、設計工数が増加してしまうことも考えられます。

 

したがって、新しい構造をイチから構想していく設計が多いといった金型メーカーは、ノンヒストリー型の3次元CADの方が適していることも考えられます。

 

まとめ

以上、金型メーカーで使われている3次元CADの種類と、選び方の指針についてまとめてみました。

 

私は、ヒストリー型・ノンヒストリー型、それぞれの両方のCADを使って設計を行った経験がありますが、それぞれに長所・短所があると思っています。

 

自社の設計業務において、それぞれの長所をフル活用できるかどうかは、業績にも大いに影響してくると思いますので、ぜひ適切なCAD選びとその活用をしていただきたいと思います。

 

参考になれば幸いです。

 

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※ 本コラムは、型技術2018年6月号の記事から抜粋・編集しました。

 

「今さら聞けない」プレス金型の見積もりの効率性と精度について

金型の見積もり精度と効率性

プレス金型メーカーの抱える見積もりの悩み

金型の見積もりを取り巻く現状

近年、金型の受発注においては「事前見積もり」が当たり前になっており、かかった費用を後から請求する「後見積もり」はほとんど見られなくなっています。

 

そこで金型を受注する前、プレスの製品図を元に金型費を見積もりし、場合によっては同業他社との競合により受注を勝ち取ったうえで、ようやく金型の製作に入るという流れになることが多いと思います。

このため多くの金型メーカーが、煩雑な金型の見積もりにいつも悩まされています。

 

とり取り扱う金型のボリュームにもよりますが、週に何十件も見積もりをしなくてはいけない担当者もおります。

 

見積もり金額においては一定の精度が必要であり、企業収益のためには赤字受注にならない金額を見積もらなければなりません。過度に高い見積もりでは、競合他社とのコスト競争に負けてしまうといった事情もあります。

 

また、過去の類似金型との金額に乖離があってもいけません。そうした乖離は継続的な顧客との信頼関係にも影響が出てしまいます。

そこで計算した見積もり金額と過去の実績との入念な比較検証なども必要になります。

 

金型の見積もりのあり方

そもそも「金型の見積もり」とは、プレス製品からその生産ツールである金型になった状態を予測し、その金額を積算する作業を指します。

 

したがって、最も精度の高い「金型の見積もり」とは、完全に金型になった状態から、材料費・外注費・購入部品費・工賃などを合計した金額であると言え、また最も迅速な見積もりとは、プレス製品図だけの情報から金型状態を予測し、見積もり金額を出すことになります。

図2 見積もり精度と要する時間の関係

 

金型の見積もりで用いられている方法

金型の見積もりで用いられている方法を整理すると、次に挙げる3つがあります。

  1. 積算方式:材料費・外注費・購入部品費・工賃などを合計した金額になります。
    最も精度が高いですが、簡単に済ます場合は金型のポンチ図などを描き、精度良く見積もる場合は、CADを使ってストリップレイアウトを作図したり、金型構造をレイアウトして、材料サイズを割り出したりワイヤーカット周長を積算したりします。
  2. 類似比較方式:過去に製作した金型の中で類似したものを検索し、違いを加算または減算し補正して計算する方式です。
    実際には最も多く使われている手法になります。
    この方法では、実績の管理や補正などもポイントになります。
  3. 統計計算方式:重回帰分析という統計手法を使った計算方法です。
    プレス製品から読み取れる情報を変数として計算式を作ります。最も迅速な見積もり手法になりますが、精度を高めるには多くの金型サンプル数が必要になります。
    重回帰分析による計算の変数には、例えば抜き型であれば、プレス製品の板厚・材質、ピアス穴径・数量、製品輪郭の周長などを使います。

 

実際の実務では、全くの新規の形状の製品の受注の場合、形状は同じで寸法が少し変わる場合のリピート受注など、ケースバイケースで、上記の積算方式と類似比較方式を使い分ける方法が多くとられています。

しかし、さらなる効率性を図っている金型メーカーでは、統計計算で概算見積もりを行う仕組みを作ったり、積算・類似比較・統計計算方式、全てを併せ持った仕組みを作ったメーカーもあります。

 

いずれにおいても、自社が目的とする、見積もり作業の効率性・金額精度に応じて、適した見積もり手法を選択していくことが重要だと思います。

 

以上になります。もしよろしければ、参考にしてください。

 

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※ 本コラムは、型技術2018年8月号の記事から抜粋・編集しました。

「今さら聞けない」3次元データ加工の手順のセオリー

教科書がない3次元データ加工

当事務所が金型メーカーや部品加工メーカーを診断させていただく際、3次元データ加工の手順がうまくまとまっておらず、よく指摘をさせていただくことがあります。

 

このようになってしまう原因として、切削加工の基礎や理論に関する市販図書は多く存在するのですが、自由曲面などの金型意匠面を加工する、3次元データ加工については手引きとなる本は、筆者が知る限り存在しないためだと思っています。

 

したがって、企業それぞれ我流となっていることが多く、それ以外では、CAMを購入したベンダからの導入教育やサポートの際に、他社事例などを元にした手順を教えてもらうなどの手立てしかありません。

 

そこで、筆者が倣い加工機からスタートし、各種のCAMやマシニングセンターを操作してきた経験や、多くの企業事例を見てきた経験などを踏まえ、今回3次元データ加工の手順のセオリーをまとめてみました。

ぜひ参考にしていただければと思います。

 

実際の手順と根拠

形状の複雑さや狙いの加工精度により、手順は増えたり減ったり、入れ替わったりすることもありますが、大まかな手順は下の表のとおりです。

 

No. 加工名 目的 残りしろ 使用するCAM機能
1 大荒取り加工 出来るだけ大きな工具で、時間あたり切り屑排出量の大きな加工を行うこと 0.5~1ミリ 荒取り加工
2 中荒取り加工 No.1の大荒取り加工の取り残した狭小部位などの荒取りを行うこと 0.5~1ミリ 荒取り加工(ストックを使用)
3 全体中仕上げ加工 次の全体仕上げの加工負荷を均一にするため、取りしろを一定に残すこと 0.1~0.2ミリ 等高線&走査線加工
4 全体仕上げ加工 先端と直径部の周速差を許容できる、可能な限り大きな工具径のボールエンドミルを使って全体を仕上げ加工すること 0ミリ 等高線&走査線加工
5 削り残り部・中仕上げ加工 No.4の全体仕上げ工具では入りきれなかった、狭小部位を小径工具で加工する。その中仕上げを行うこと 0.1~0.2ミリ 等高線&走査線加工
6 削り残り部・仕上げ加工 No.5の狭小部位の仕上げ加工。最終的に使用する工具径が小さい場合、No.5と6は段階を踏むことになる 0ミリ 等高線&走査線加工

 

各工程の具体的なポイント

表に記載されている各工程について、具体的なポイントを見ていきたいと思います。

 

No.1 大荒取り加工

この加工の目的は何と言っても「効率性」になります。

 

この工程では、できるだけ大きな直径の工具を使うことを意識しますが、もし狭い凹部があるような形状で大き過ぎる径の工具を使いますと、次のNo.2の「中荒取り」工程に加工残りを多く残してしまうことになってしまうため、そこに配慮しつつ、できるだけ時間あたりの切りくず排出量を多くできる加工を心掛けます。

 

使用する工具はラジアス工具が中心となります。

ただし、大きな工具は加工負荷が高いため、クランプ状態や機械剛性を考慮する必要があります。

 

使用するCAMの機能では、「荒取り加工」機能を使うことになります。

年々進化するCAMにおいて、この荒取り加工パスは、軌跡や加工条件の調整・補正する機能が優れてきており、この優劣がCAM選定の決め手になる場合もあります。

 

No.2 中荒取り加工

この工程で使われる機能は「ストック」と呼ばれる、前工程が終わった後の素材形状に合わせて加工軌跡を計算する、追加の荒取り加工になります。

かつて昔は、この機能の有無がCAM選定の決め手になった頃もありましたが、現在ほとんどのCAMがこの機能を備えています。

 

逆にこの機能がないと、大規模な切削量を必要とするワークであっても、狭小部位が一部存在するだけで、そこに侵入できる小さな工具で全体を荒取り加工しなくてはならなくなるため、そういった部品を加工することが多い場合には、この機能が無いCAMは選ばないことです。

 

なお、指定する残り代は、No.1の大荒取り加工より小さくすると、再度全体を削るような軌跡が計算されてしまうため、加工時間の冗長化につながる懸念もありますので、残り代は同じが望ましいと思います。

 

中荒取り加工のCAM作業でのポイント

中荒取り加工では、これ以降の加工で工具に過度な負荷をかけないため、狙いの残り代以上に取れ残っている部位が無いか、しっかりと確認する必要があります。

この手間をかけるかどうかが、加工後の食い込みキズや、ボッキリと工具が折れるといったトラブルを未然に防げるポイントになります。

 

具体的には、切削シミュレーションを使った確認を必ず行い、カラーマッピングの機能を使って必要以上に取れ残っている箇所がないか目視確認をします。

 

荒取り系のパスの機能は、狭い凹部や溝部を、工具に負荷をかけないで削ることに優れているので、「後の仕上げで取れればいいや」と考えるのではなく、できるだけ中荒取り工程できちんと除去しておくことが大切です。

 

No.3 中仕上げ加工

この工程の意義は、この後に来る最終仕上げの前に、全体の取れ残り代を均一にしておくことです。

これにより、最終仕上げでの切削負荷を均一にすることができ、加工精度や仕上がり品質を狙い通りに近づけることができます。

 

したがって、この中仕上げ加工で手を抜いてしまい、必要以上に多く取れ残っている部位があると、最終仕上げ加工の際、エンドミルがグビッと深く食い込むような場所が存在してしまい、そこで食い込みキズやビビリキズの発生確率が高くなります。

 

具体的なCAM作業としては、先に最終仕上げ加工のCLデータを作っておき、その設定を前工程にコピーして、残り代・工具条件・カスプハイトの設定を変更することが多いと思います。

 

中仕上げ加工のCAM作業でのポイント

この工程でのポイントは、中荒取り加工のときと同じく、切削シミュレーションを使って、最終仕上げの前に、しっかりと全体が狙いの残り代まで取れているかを確認をすることです。

方法としては、やはり切削シミュレーションのカラーマッピング機能などを使います。

 

No.4 全体仕上げ加工

この工程はまさに形状全体を、目的の寸法精度、表面粗さに仕上げる工程となります。使用する工具は、自由曲面に倣って加工できるボールエンドミルや、平面を仕上げるラジアスエンドミルが中心となります。

 

ポイントは、どの径の工具を使うかになりますが、形状内にある最小凹Rの大きさに合わせて工具径を選定すれば、実質この工程で加工は完了することになります。

 

しかし例えば、形状にある最小凹Rが1ミリなど小さいRである場合、それに合わせたφ2のボールエンドミルで形状全体を仕上げるかというと、それは現実的ではありません(加工するワークのサイズによります)。

 

あまりに小さい径のエンドミルを使い、目的のカスプハイトで仕上がる送りピッチで加工した場合、工数が無駄に増加します。

そのため、ワークのサイズにもよりますが、φ10~20のボールエンドミルが使われることが多いです。

 

また、この工程で使われるCAMの機能は、基本的に「等高線加工」と「走査線加工」になります。最近のCAMは、この2つを組み合わせ、一つの機能で出力できるものもあります。

 

どちらを先に使ったらよいかという質問をよく受けますが、まずは「等高線加工」を使うべきです。その理由は、工作機械の加工精度の問題です。

例えば、3軸マシニングであれば、XYZの3つの座標軸をもって可動しますが、同時に動かす軸の数が多ければ多いほど、その動作精度が落ちる要素が増えます。

 

3軸が同時に動く軌跡が多くなる「走査線加工」を行うとき、マシニングセンターは各軸の速さや加速度などを微小コントロールし、動作のタイミングを寸分たがわず一致させなければなりません。

 

そのため、同時に動作するのは、XY軸だけの「等高線加工」と比べると、「走査線加工」は動作精度が落ちることへの影響因子は増えることになります。

 

したがって例えば、山のような形状を加工する場合、登頂部やふもとなど平坦部や緩やかな傾斜部は「走査線加工」で行うとして、それ以外の傾斜部(角度90°から30°~40°くらいまで)は「等高線加工」を使うことになりますが、加工精度を優先する場合は、できるだけ多く「等高線加工」を使うことが望ましいということになります。

 

No.5、6 削り残り部加工

この工程は、No.4の全体仕上げ加工で、取りきれなかった凹R部があった場合、目的形状にある最小の凹Rを除去できるサイズの工具を使って加工を行います。

 

CAMの機能のうち、「削り残り部加工」や「隅取り加工」などと呼ばれる機能を使用すると、凹R部に限定した軌跡が出力されます。

そのため、前工程で使用した工具の形状とサイズを指定します。

 

それと、No.4の最終仕上げでR5のボールエンドミルを使って全体を仕上げ、さらに形状の中に最小凹RとしてR1の部位があった場合、この工程でいきなりR1のボールエンドミルを使うかというとそうではありません。

 

R5のボールエンドミルで取りきれなかった箇所を、一気に直径2ミリのボールエンドミルで削ることになり、この細い工具に対し非常に切削負荷が高くなってしまいます。

そこで段階を踏み、徐々にサイズダウンして加工していくことになります。

 

削り残り部加工のCAM作業でのポイント

ここでのポイントは、工具を段階的にサイズダウンしていくときの考え方についてです。

 

具体的には、「半分以下の径の工具を選ばない」ことです。

例えば、φ6のボールエンドミルの次に使う工具として、φ3はダメで、φ4であれば正解ということです。

 

なぜφ3がダメかと言うと、もし中荒取り加工や最終仕上げで、パスが入っていないポケットや溝があった場合、半分より小さい径の工具を使用し、仕上げ系のパスを出力すると、ポケットや溝の真ん中に、リンゴの芯のような取れ残りが発生し、そのあとの加工が非常に危険な状態になってしまうためです。

 

もちろん、狭いポケットや溝が無い形状まで、こうした配慮をする必要はないかもしれませんが、ヒューマンエラーやうっかりミスを無くすのに最も効果があることは、普段からリスク回避ができる習慣をとっていることですので、いつもこうしたセオリーで工具径をサイズダウンしておけば、後々大きなトラブルが発生することを未然に防げます。

 

したがって、このようなサイズダウンの考え方を推奨しています。

 

 

以上になりますが、今回は皆さんもうすでに長年やられている、3次元データ加工の手順についてまとめてみました。

 

まさに「今さら聞けない」ことかもしれませんが、企業の現地診断をやらせていただくと、完璧にセオリーを押えられているとまでは言えない現場が多いのも、また事実です。

 

もしよろしければ、今回の内容を参考にしていただければと思います。

 

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