【今さら聞けない】加工者・設計者など社員教育のキホン中の基本
最近、県の専門家派遣の仕事などで人材育成をテーマとしたアドバイス・指導を求められることが多いのですが、自分が新入社員になったつもりで、訪問した会社のOJTのやり方などを見ていると、やっぱりこの会社のOJTでは仕事を覚えづらいなぁと思うことが多々あります。
そこで以前のコラムにも書いたのですが、やはり金型メーカー・部品加工メーカーの加工者やハンドワーク作業者、設計者における教育のやり方の理想は、次の手順になると思っております。
- まず引き出し(選択肢)を教える
- 次に選び方(優先順位)を教える
なおこれは、都度作るモノや設計するモノが異なる、金型メーカーや単品部品加工業向けの考え方になります。
ちなみに、大きなロットで大量生産する業務での作業者教育の場合は、①作業の順序、②手順ごとの製品のあるべき状態、を示した作業標準書などを使って教育することが望ましいということになりますが、今回は、金型メーカーや単品部品加工業などで製造される個別受注品を扱う作業者教育のあるべき手順がテーマです。
引き出し(選択肢)を教える
やはり一人前にひとりで仕事ができる状態を想定したとき、必要なことは何かを考えると、仕事の要所・要所で必要になる「ジャッジ」が自分でできるようになることを考えます。
もし私が、先輩や上司から仕事を教えてもらう立場になったときを想定してみると、今目の前で教えてもらっている方法以外に、他にどんな方法があるのかな?と気になります。
そこで、「ひとりで仕事ができる状態」とは、次のような2つの段階を1人で実行できるようになった時のことになります。
- 判断が必要となった場面で、自分ひとりでジャッジができる(例:どの工具をどの条件で使うか、どんな段取り・順番で加工するか、ミスをした場合削り直すか・溶接肉盛り補修するかの判断をする等々)
- ジャッジした結果について、自分で処置できる(例:使うと決めた部品を使って設計する、深い加工を段取りを分けずに加工する、機械で仕上げず手で磨く等々)
いきなり全てのことができるようになるわけではありませんが、他にもやり方や考え方があると分かったうえで、今この方法を選択している、ということを知っておくことが「自分でジャッジできる人」になるための前提になると思います。
選び方(優先順位)を教える
前述した「引き出し(選択肢)」を知ったからには、必要になるのはその「選び方を知る」になるのは必然です。
わかりやすいのは、フローチャートのようなものの考え方です。
加工や設計をしていると、様々な分岐点にぶち当たります。
様々な加工材料、いつもとは異なる成形形状、厳しく入り組んだ溝形状など様々です。
そこで、自分が持っている「引き出し(選択肢)」の中から、どれを使おうかとなるわけです。
ここで、その引き出しの中からどのやり方を選定し、いざ目の前の加工や設計にどう使おうか、この状況に応じた優先順位を決められることが重要なポイントになります。
OJTでは、色々と存在する工具や部品、やり方などがある中で、なぜ今これを採用しているのかの理由まで伝えることが重要で、次からは「様々ある選択肢から正しい優先順位で物事を決められる」ことを、自分でやれるようになって欲しいというわけです。
経験年数って重要?
これも良く受ける質問で、加工とか設計とか、だいたい何年くらいで一人前になるもんですかね?と聞かれます。
続きを閲覧するにはログインが必要です。会員の方はログインしてください。 新規会員登録はこちら銀行振込でも可能です。また本サイトで本をご購入いただいた方も有料会員に登録できます。
詳しくはこちらをご覧ください。