【今さら聞けない】使っていますか?「小ポケットの制御」

使っていますか?CAMの「小ポケットの制御」機能

今回は過去に取り上げたテーマ、小径エンドミルがどうしても折れてしまうといった課題について、実際に3次元CAMを使った対策を見ていきたいと思います。

問題となった形状は下図のとおりです。

事例のモデル形状
事例のモデル形状

正面から見た断面図でわかるように、底部に向かって幅の狭い円弧形状になっており、ここに入りこんでいくボールエンドミル加工が厳しそうです。

この形状部分の幅については、一番広いところで8ミリでした。

束のようになった軌跡の中から危険な動作を見つけ出すのは困難?

まずは問題となったNCプログラムの軌跡をビューワーでみてみます。その状態が下の図です。

工具はφ3ボールエンドミルです。

事例の形状の荒取りプログラム
事例形状を削る荒取りプログラム

底部が円弧状になっているところを荒取りするプログラムです。

この束のようになった軌跡の中に、工具を異常摩耗させてしまった問題となる軌跡が紛れています。

そこで、この細かな軌跡の束の中から、問題となる軌跡を取り出してみました。それが下図の軌跡です。

問題となった軌跡
問題となった軌跡

ここでもう一度、異常摩耗してしまったボールエンドミルを見てみたいと思います。

異常摩耗したボールエンドミルの先端
異常摩耗したボールエンドミルの先端

どうやら先ほど取りだした軌跡、工具中心がほとんど左右に動けないまま直進に近い状態で、底部に向かってアプローチした動きにより、このように先端のみが異常摩耗したのだとわかりました。

このように、加工する前、複雑で束のようになったNCプログラムの軌跡の中から、問題となる動作を見つけられず、工具が折れてしまったり、異常摩耗してしまうというトラブルが多く、よく私の方へ相談を受けます。

そこで今回のテーマ、「使っていますか?CAMの小ポケットの制御機能」に触れていきたいと思います。

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