分業によりドリルやエンドミルの寿命判定が難しくなった
今回のテーマは、CAMとマシニングセンターの作業オペレーターが別々になる、いわゆる分業体制になったことで、多くの加工メーカーや金型メーカーで聞かれる、ドリルやエンドミルの寿命判定が難しくなった件について書いてみたいと思います。
これはどのような状況なのかと言いますと、マシニングのオペレーターがワーク交換の段取り時に、引き続き次のワークの加工で使用するエンドミルやスローアウェイカッター、ドリルなどの摩耗状態について、交換や再研磨の時期が来ているかどうか判断することが難しいということです。
その原因として、機械オペレーターが必要な知識を持っていない、または別のCAMオペレーターがNCデータを作成しているため次の加工内容・ボリュームがわかりにくい、常にベテランに確認しないといけない、判断に時間がかかる、まだ使える状態なのにすぐ交換してしまうなど、業務に様々な支障が出ているという声を多く耳にします。
理想は、限界ギリギリまで使いきりたいというのが、皆さんの本音だと思います。
ですが、もう少し行ける、もう少し行けるとそのまま次のワークの加工で使用して、結果最後までもたず、工具が破損し、ワーク自体も加工不具合になってしまうという例が後を絶ちません。
どのように対処していくべきか
では、どのように対処していくべきでしょうか。
実際に加工が終わった後の工具刃先の状態を見てみると、様々な状況が見てとれます。
ある工具では、コーティングが剥がれ少しカケが見られるものや、刃先の角だけが摩耗しているもの、先端がつぶれるように摩耗しているものなど色々な状態が見られます。
これらの工具について、一体あとどのくらい使えるのか、この判断が最も難しいと思います。
そこで、本来は次に加工する内容とボリュームによって判断し、摩耗状態によって使い分けるのが望ましいと思うのですが、私は次のように3段階の作業パターンによって使用済み工具を引き続きどう使用するか判断するのが良いと思っています。
- 日中昼間など、オペレーターが機械に張り付いて作業している状態
- オペレーターが機械付近で別の作業をしているが、張り付いて加工を見ているわけではない状態
- 夜間など完全な無人で自動加工している状態
まず①のパターンですが、最も限界ギリギリまで工具を使用できる作業形態です。わかりやすい例で言えば、スローアウェイカッターを使って荒取り加工する場合です。
私は日中の昼間で他の機械の段取りがなく、荒取り加工している機械に張り付いて見ている状態であれば、一部コーティングが剥がれ少し摩耗が進んでいるチップでも、もう少し使えるようであれば、加工中に音が大きくなったり、加工面がひどく荒れてくる手前のところまで使い、経済性を優先します(途中で止めます)。
もしくはCAMデータを使わず、手動やMDIの操作で加工するような場合も同様です。
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