【近況報告】HRC60のダイス鋼を荒取り加工し焼き入れ前加工を無くす取り組み
最近私が行っているクライアント企業への支援として、プレスメーカーさんで製作されるプレス金型内のパンチ・ダイで使用する鋼材の新しいダイス鋼、SLD-fをどのように使っていくか、そのお手伝いをしています。
詳しい技術情報は、日立金属さんのHPで見ていただくとして、私としてはHRC60の状態で切削加工ができるダイス鋼として、今後のプレス金型において様々なメリットが得られると思っています。
これまでも超硬コーティングエンドミルやCBN工具などにより、HRC60以上のダイス鋼の切削は行われてきましたが、従来のSKD11改良鋼と使い方が異なってくるのは、①荒取り加工から切削できること、②6F加工ができること、などでしょうか。
①について従来は、焼入れ前に0.3ミリ残しなどの荒取り加工を行っておき、焼入れ後に仕上げ加工を行うことが通例として行われてきましたが、実際に私も加工データを作ってSLD-fを荒取り加工してみたところ、長時間のスローアウェイカッターの加工ができたということで、今後は、焼入れ前加工→焼入れ後仕上げという部品製作プロセスは、穴あけ加工を含め、焼入れ後加工のみになるなど、変化してくると思います。
また②については、焼入れ後にバイスでクランプする・機械で平行をとるための基準面をつくるなどのため、研削加工(平面研磨機)により、角ブロック状に6面体加工(もしくは2面、4面のみ研削)を行ってきましたが、これをフライス加工によって行うことができています。
これまでも、研削加工が大変ということで、焼入れ後の歪んだ面をどうクランプするか、よく議論されましたが、今後はSLD-fを使うことで、普通に生材と同様、フライス加工してしまえば良いということになります。
この点についても今後、部品製作プロセスは変わってくるものと思われます。
もう一つプレスメーカーにとって、プレス生産している途中でのパンチやダイの欠損トラブルによる、部品交換時でのメリットが考えられます。
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