特定課題に対する回答例のご紹介【小ロット・個別加工品の不具合対策】

目次

小ロット・一品加工品の不具合への対策

今回は、無料診断サービスの一貫として、当事務所にいただいた個別課題の質問に対する回答事例をご紹介します。

具体的な社名は伏せております。

いただいた質問は以下のとおりです。

当事務所にいただいた質問内容

当社は機械部品の製造を行っており、主に扱っているワーク材質はSUSやSS、銅やアルミなどです。

小ロットかつ多品種を扱っており大きなロットの加工は行っていません。
自社で設計は行わず、客先から提供される図面を元に、内製や外注にて加工しています。

自社で行っている機械加工、特にマシニングセンターやNCフライス、ワイヤーカット加工などでヒューマンエラー(ポカミス)や加工不具合が多発しており、担当者からの報告書を元に、不具合の集計・原因究明・対策立案などを行っておりますが、現状を改善させるには至っていません。

どこに焦点を当て、改善を図っていくのがよろしいでしょうか。

このような質問でした。

この問題の考え方のポイント

量産部品のように継続して流れる加工の場合は、試し加工を行いながら、寸法精度や外観品質などを調整していけるのですが、一品モノや小ロット品の多くは、試し加工を行わず一発勝負になることが多いです。

したがって、いざ加工してみた後に問題が発覚したとか、思い込みでミスをしてしまったという事例が多く発生しています。

ではミスや思い込みを予防するために、試し加工をするかというと、予算や工数的にも現実的ではないため、現実は一発勝負になるのが一般的だと思います。

当事務所から提案した対策手順

個々の案件の再発防止策を考えるよりも、社員共通で使える加工前ルールの整備を検討します。

その理由は、一品モノでリピート性の低い多品種の加工を行っているのにもかかわらず、個々の案件で不具合対策を作っていくと、出番が少ない対策だけがどんどん増えていき、形式上だけの処置になってしまうためです。

再発防止策を書き込んだ不具合報告書を書くなどの手続きをきちんと行っているわりには、社内の不良・ミスは一向に減らないという状況に陥ってしまいます。

そこで、私から提案した方針は、次のようになります。

  1. 危険予知・リスク管理をベースとした加工工程の検討を加工開始する前に必ず行う。
    ただし、安価な案件まで全て行うことは効率的ではないため、売値や材料費に応じて、検討にかける工数は判断します。

    例えば、薄い材料で大きなポケット加工を行うと、仕上げ後に歪みで寸法が狂うのではないか、したがって数ミリ残して一旦仮で仕上げて測定したのち本仕上げを行うなど、形状や材質に応じたリスク管理を行うことなどが該当します。

    とある会社さんでは、現場に製造手配を行う事務員さんが、都度過去のトラブルを検索し、加工指示書に過去の不具合事例を何件か図面とともに添付し、担当者に注意を促している事例もあります。
      
  2. 作業者のスキルに応じた関所を設定する。
    ここで言う関所とは、おおよそこの手順を踏めば、ほとんどのポカミスは発見できるという定形の確認手順のことです。

    この件については、別のコラムでまとめておりますので、こちらをご覧ください。
    機械加工現場のイージーミスを減らす方法について
      
  3. 全員が共通して使える「過去トラ・データベース」を整備する。
    「過去トラ」とは、過去に発生したトラブルのことです。
    その一覧を作りますが、データベースということですので、部品名や材質、加工内容などで、過去のミスや不具合を即座に検索できる仕組みを作ります。

    色々な材料を扱っておりますし、一過性でリピート性の低い加工品を扱っておりますので、リスク対応について個々の作業者の記憶に頼るのは危険です。

    また、この過去トラデータベースは、KYT(危険予知トレーニング)の社内教育や加工工程の検討、案件ごとの作業チェックリスト作成にも使用できます。
      
  4. ダメージ金額に応じて手作業とCAMの使い分けをする
    一定金額以上の加工品はCAMの使用を義務付けるということです。
    汎用機を使用した手加工は、CAMデータを作成しない分、加工に入るまでの時間を短縮できますが、寸法間違いなどのイージーミスが即、不具合につながってしまうというリスクをはらんでいます。

    そこで社内で取り決めた、一定額以上の工数がかかる・材料費がかかるなどに応じて、CAMを使って加工データ作成を行い、加工寸法や手順の履歴が残せる方法をとるようにします。

    さらに一定金額以上の加工品はダブルチェックを義務付けます。

    もちろんCAMを使用した場合にも関所の徹底をルール化します。

    とある部品加工メーカーでは、対話システムのついたマシニングセンターを使っていても、複数の人間で確認するという関所を設けるため、別のCAMオペレーターに加工データを作成させるというプロセスをとっています。

まとめ

多品種小ロット品や一品モノ加工の不具合対策は本当に難しく、「注意する」「図面をよくみる」などを対策としてルール化しても、なかなか撲滅には至りません。

もう少し踏み込んだ対処をしたいところです。

したがって、こうした加工現場での不具合対策として検討するべきことは、加工前に行うべきプロセス・ツールの整備になると思っています。

具体的な対策の導入については、私が直接赴き、コンサルティングを行うこととさせていただきました。

これを読んでいただいている他の皆さんにも参考になれば幸いです。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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