日あたり売上を意識して業績アップ!製造現場の生産性向上のコツとは?
製造現場で「日あたり売上」を意識することの重要性
今回は、製造現場で働く一般社員さんが「日あたり売上」を意識することの重要性についてお話ししたいと思います。
売上を意識するのは営業部門だけではない
一般的に、売上を意識するのは営業部門だけで、製造現場の最優先は、品質と納期を守ることだけだと思われがちです。売り上げ目標を製造現場で掲げているという会社は結構少ないのではないでしょうか。
しかし、特に業績が低迷している会社では、現場の社員も売上を意識することが必要になります。
日あたり売上を目標として設定する
私がコンサルティングを行っている会社では、現場の一人ひとりの社員が、自分の日あたり売上を目標として設定してもらい、それを達成するための生産計画と進捗管理を行っています。
さらに、日あたり売上目標金額を達成するために必要な改善活動を行っています。
ここで具体的な事例を挙げてみます。
事例:仕事の分担と売上の関係
現場に、とある一定ロット数を加工する仕事が入ってきて、この仕事が工賃だけで20万円で受注していたとします。
また、この事例企業の現場では、一人ひとりの日あたり売上の目標額は4万円に設定されているとします。
この仕事を、治具などのセッティングと NC プログラムを準備する段取り担当者と、ワークの着脱とサイクルスタートボタンを押すセットマンに分かれて行うとします。下図のように、この3 名が 3 日間で対応したとします。

仮にこの3日間がこの仕事だけだったとしたら、 20万円÷3日÷3人=約22,222円となり、この3名はこの3日間は、目標の売上額に届きません。
この場合、作業に関わる人数を減らすか、これら3名は他の仕事も掛け持ちするなどの対応をする必要があります。
例えば、段取り担当者はこの仕事の段取りが終わったら、別の機械の段取りに移ることで自分の日あたり売上を増やすことができます。また、セットマン(自動加工オペレーター)は機械が動いている間に他の機械も操作することで自分の日あたり売上額を増やすことができます。
日あたり売上意識を高める仕組みの導入
このように、現場の一人ひとりが自分の日あたり売上を意識し、それに応じた生産活動を行うことで、会社全体の業績向上につながります。
品質と納期はもちろん最優先ですが、それだけでは、残念ながら不十分です。現場の日あたり売上意識が高まれば、生産性も向上し、ひいては顧客満足度も高まります。
では、どのようにして現場の日あたり売上意識を高めることができるのでしょうか。そのためには、この「日あたり売上」を管理していく仕組みを、現場に導入していく必要があります。そのステップは次のようになります。
日あたり売上の目標設定と管理方法
まず自社や部門にとって、一人ひとりが、一体いくら売り上げればよいかを確認します。
これは、会社全体や部門が目標とする年商や月次の目標売上額を、そこに所属する人数で割り算することで求めることができます。
一つ注意することは、売上額と表現していますが、実際には工賃分の売上を使った方が良いことです。工賃分の売上とは、売上額から材料費や外注費などの変動費を差し引いた金額のことです。この金額は、現場の努力によって変化する部分ですので、現場の生産性を測る指標として適しています。
材料費や外注費を含めた本来の売上金額を使うと、現場の努力以外の売上も乗っかってくることになります。例えば、昨今の鋼材など原材料費の高騰などにより、仕入れ価格が上がり、それを販売価格に転嫁できたとして、これにより売り上げた金額が増えたとしても、それは現場の努力によるものではありません。
今回の管理の趣旨は、現場の努力を促すものですから、そういった材料費や外注費による売上分を差し引いた「付加価値額」を用いた金額を使うことが望ましいということになります。
日あたり売上を高めるための現場の取り組み
さて、会社や部門の日あたり目標売上額が決まれば、次はいよいよ、現場と一緒に、この目標金額に達成するために取り組んでいくことになります。
目標金額ではなく、今現在、実際に売り上げている会社や部門の年商や月次売上額(付加価値額)を、所属する人数で割り算した、実際の「日あたり売上額」について、それを増やしていくために、現場としては、何をどのように頑張るかということになります。その日その日で取り込む仕事を多くして売上額を増やすか、所属する人数を減らす努力をするなどの取り組みが考えられます。
これらの取り組みは、自社のビジネスモデルによって異なります。
例えば、単品や小ロット品を扱う部品加工メーカーであれば、日々の受注活動によって売上を増やしていくことができます。その場合、現場の頑張りとしては、いかに受注キャパを増やすかといったものになります。
したがって、先ほどの事例の図でいけば、段取りをしたAさんは、もっと多くの機械の段取りを増やしていくことで、一人あたりの売上額を増やしていくことになりますし、BさんやCさんも掛け持ちする機械を増やしていくことで同様の成果を得ることができます。
一方、顧客からの内示情報によって、一定期間の売上額が決まっている量産メーカーなどでは、日々の受注活動で売り上げを増やすことは、基本的にはできません。そのため、一人あたりの日あたり売上を増やす取り組みとしては、いかに同じ売上額を今よりも少ない人数で対応していくか、ということが現場の基本パターンになります。
これらの努力をしばらく続けたのち、再び、会社や部門で実際に売り上げた金額(付加価値額)を、そこに所属する人数で割り算して計算し、その成果をモニタリングしていくことになりますが、この段階においては一つ注意することがあります。
現場の頑張りとしては、当然に個人差があり、一人ひとりの社員の思惑に着眼すると、頑張っている人とそこまでではない人に分かれることがあり得ます。
現場に日あたりの目標売上額を設定する目的は、あくまで個々の社員さんに、毎日自分がいくら売り上げているのかを意識させることで、モチベーションや改善意識を高めることです。ですから、最初に設定する会社や部門の目標売上額での計算はともかく、現場をモニタリングしていく段階で、一律の人数計算を用いることは、私は適切でないと考えています。
したがって、前述した下図のように、現場の作業者が実際にいくら稼いでいるかを確認するにあたっては、最小のグループや個人単位で計算することが効果的です。

ここで一つ注意することがあります。
仕事の案件ごと(もしくは機械ごと)に売り上げる金額を、作業にかかわったグループ単位の人数で割り算するにあたっては、製造にかかわった人数(直接部門)で売上金額を割ります。その際、間接部門のスタッフ、例えば、検査や管理部門の人数は、比率を使って製造にかかわった人数に加算します。

これを行う意義としては、間接スタッフの売上分は、製造スタッフが背負って稼いでいる、ということです。
例えば、これは比較的大きなロット生産を行う量産系の製造メーカーの現場の事例になりますが、とある工場全体においては、下図のような人員比率だったとした場合、

また、この工場において、日あたり売上目標を設定する機械加工グループに、次のような最小単位で、日あたり売上を計算しようとした場合、ここに段取り作業が1人、セットマン2人がいる場合には、次のような計算を行います。

最小単位のグループや個人の日あたり売上額を把握し、目標とする日あたり売上額に届いていない場合は、それを是正できるように対策を講じます。
それは前述したように、できるだけ多くの機械を掛け持ちしていくか、今よりも少ない人数で対応できるよう効率化を図っていくなどの取り組みを行います。
実際には日々の内示や受注状況によって、機械に仕掛ける仕事の種類や数量は異なってくると思いますので、毎日目標額を達成することは現実的ではありません。そういった場合は、週や月などの一定期間の平均で評価します。
一方、一品ものや小ロット品を扱う部品加工メーカーでは、前倒し生産が可能な現場もあります。その場合は、日々の生産計画に基づいて、一人ひとりの日あたり売上額を確認します。目標とする売上額に届いていない場合は、納期が先の仕事でも前倒し生産を行います。これにより、現場作業者は日あたり目標売上額を達成し、会社の営業部門は次の受注のためのキャパを確保できます。
以上、製造現場で働く一般社員が「日あたり売上」を意識することの重要性について述べました。
現場に「日あたり売上」を管理する仕組みを導入することで、現場の社員は自分の 貢献度をより実感しやすくなり、モチベーションの向上にも寄与します。さらに、生産性向上や顧客満足度向上にも効果が期待できます。
業績向上を目指す製造現場においては、ぜひ「日あたり売上」を意識した取り組みを 実践してみてはいかがでしょうか。
参考になれば幸いです。
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