金型メーカーや機械加工メーカーを取り巻く最近の転職動向について
私は、製造業の中でも様々な業態の企業にお伺いしておりますので、各社の採用の近況を俯瞰して見ることができます。
その中でも、やる気のある人材の採用、特に転職での人材採用に成功している企業、逆にうまくいっていない企業、それぞれの共通点を見ていきながら、どのような方針の企業の採用がうまくいっているのか、今回分析してみたいと思います。
採用がうまくいっていない企業
あくまで私がかかわっている企業でという限定した中のでお話しですが、新規採用というよりも、転職による求人への応募がほとんどない企業の共通した仕事のスタイルとして、「ものづくりを最初から最後まで一人で任せてもらえる職場」というのがあります。
かつては「任せてもらえる面白さ・やりがい」などと企業側から業務内容を紹介・PRされ、自分で考えて動きたいタイプの人からはとても人気のある仕事内容でしたが、私から見て今はほとんど人気が無いようです。
また、そういった仕事をマネジメントしたいというタイプの人は、製造現場を目指さなくなっているのかもしれません。
具体的に、製造業の中で「最初から最後まで任せてもらえる」仕事としては、図面をもらって材料取りから加工順序、加工方法や最終的な検査まで全てを自分で担当したり、部品加工メーカーでは、営業的に見積もりや受注手続きから自分で担当し、外注手配や社内工程まで全て自分で担当するなどといった作業内容が考えられます。
さながらひと昔で言えば、将来の独立も視野に入れた動きが取れることもあり、自立したタイプの性格の人からすれば、大変ですがシビれる仕事ができるとも言えます。
ですが、こういった内容を自社のホームページに掲載していても、なかなか応募が無いのが昨今の現状だと私は感じています。
採用がうまくいっている企業
一方、採用がうまくいっている企業、特に求人に対する応募が来ている企業の共通点を見てみると、「みんなで一つの仕事をクリアしていこう」とする、とにかくチームみんなで仕事をやりとげようとする姿勢を、ホームページなどで謳っている企業に人気があるようです。
先ほどのうまくいっていない企業に共通した仕事のスタイル、「1人で最初から最後まで任せてもらえる」とはある意味、真逆のスタイルとも言えます。
これについては、責任を負いたくないとか、大きな仕事を任されて長時間残業や休日出勤になってしまうのが嫌だ、といったネガティブな感情からではなく、現代人の働き方のスタイルがそうなってきたのだと思っております。
とかく「組織」の中で働くには、ある程度の処世術が必要になり、誰しもが必ず通る学校生活では、必要以上に目立たったり、自分の好きなことばかり自慢してたりすると、いじめの対象になったりしますが、きちんと組織で働けるタイプの現代人は、自然とそういった必要以上に出しゃばらないことを身に付けているのではないか、というのが私の見方です。
そうした中で、チームみんなで大きな仕事にトライしていこうなど、前向きなスタンスを示している企業には特に人気が集まっているようで、このコロナ渦の景気が悪い中、転職採用に成功している企業もあります。
まとめ
以上、簡単ですが、転職採用がうまくいっている企業とそうでない企業の違いを見てきました。
そもそも採用がうまくいっているかいっていないについては、会社の期待に応えてくれる人材を採用できて初めてうまくいったと言えるわけで、人間関係や不満タラタラで会社を渡り歩く人がたまたまハローワークで応募してきても、それは採用に成功したとは言い難いところもあります。
ですから、会社が望む人材からどう応募が来るようホームページなどでPRしていくか、ここが重要なポイントだと思います。
うまくいっていない企業のところで書いたように、会社の働き甲斐をPRしているつもりが、今の社会人の働き甲斐ニーズに合致しておらず、うんともすんとも応募の問い合わせが来ない会社については、何とかしたいところだと思います。
しかしながら採用のために、会社の仕事のやり方・プロセスまで変えるのは、色々な意味で難しいと思いますので、最初から最後まで一人が担当者するような仕事のスタイルの会社については、今後自社の社員の働き甲斐をどのように想定していくか、考えるきっかけになるかもしれませんね。
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金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
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