トロコイド加工の意外な盲点
危険な事例
今回は、CAMを使った荒取り加工でよく使われるトロコイド加工についてコラムを書きたいと思います。
トロコイド加工は、近年の高速で動くマシニングセンターの特性を利用した切削方法で、下図右の工具を正面から見たイメージ図のように径方向を薄めの切り込み量とし、かつ加工深さを深めにとり、とにかく下図左に示すような工具直径をフルに使うような溝加工をしないことで、軽切削かつ高速に荒取り加工を行う手法のことを言います。
この極めて工具欠損リスクを減らし加工できるトロコイド加工ですが、もしCAMの設定をまったく気にしないで使うと、隠れた危険があるということについて、今回は見ていきたいと思います。
下の図は、島形状のあるポケット加工を行う事例ですが、ポケット内にある円筒突起の脇にある隙間を削るにあたり、危険な軌跡が出力されることがあります。
下の図は、CAMの設定を気にせず出力したパス軌跡です。
円筒突起の脇のパスを拡大したものが下の図です。
円筒突起の脇は、工具がギリギリ入るかどうかの狭いエリアになっており、細く尖ったような軌跡になっていることです。
トロコイド加工は高速切削ができる反面、①薄く削る・②後退し離れる、を交互に繰り返しながら切削しており、従来の工具直径フルで削る(以下「フルカット」と言う)軌跡と比べると、工具軌跡の総距離は伸びる傾向にあります。
そこで、軽切削であるためにF値を上げることで切削総距離が長くなることを相殺するのが一般的だと思います。
したがって、マシニングセンターの自動加減速はかかってくるとはいえ、図のような狭い箇所に入り込み、極めて小さな円弧で動作するトロコイド加工は、フルカットの状態に近く、工具が折れるリスクをはらんでいると思われます。
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