【自己啓発シリーズ④】金型メーカー・部品加工メーカーの処世術(勝ち組社員になるために)
【テーマ】自分の意見を通したい人は早く偉くなりましょう
今回の内容を読んだ後に取り組める実践ワークは次のものになります。
- あなたは今お勤めの会社の制度・規定に何らか提案したいこと(不満に思っていること)はありますか?もしあれば何でもいいので挙げてみてください。
(例:出勤時間、休憩時間・回数、評価制度、給与体系・手当など、退職金制度、営業方針、等々) - 役職者になるために必要となる知識は何だと思いますか?
- 役職者になるために必要となる能力はどのようなものだと思いますか?
今回のタイトルですが、このコラムの読者の方で、ご自身がお勤めの会社の制度設計や管理の仕組みについて、「自分の考えがある」「意見を通したい」といった強い前向きな想いを持つ一般社員の方もおられると思います。
そうは言いましても、近年社内の風通しの良さが求められ、一般社員の方々からの貴重な意見もできるだけ聞くといった風潮になってきており、「意見を通したいなら早く偉くなろう」という、この言葉も以前よりは聞かれなくなってきた感じもあります。
それでも、一般社員の方と「長」が付く役職に就いている方とは一体何が違うのかですが、まず「決定権」を持っている点が異なります。
今は一般社員さんでも色々と意見が言える時代です。ですが、それを採用するかどうかの決定権については、経営幹部の方や部長級、課長級の方々などが握っています。
わかりやすいのは、工具などの消耗品や備品などのモノが買える金額が、役職の序列によって決済できる金額が変わっていくのが一般的です。一般社員の方は、これを買って欲しいと提出したり稟議を上げることになります。
したがって、会社に役立つ工具や治具を自分の判断で購入決済したいとか、もっと大きなことでしたら、会社の制度設計や管理の仕組みなどについて、直接自分の考え方を経営幹部に伝え、変革させていきたいと思えば、やはり「偉い」立場になることが必要になってくると思います。
昇進していくために望ましい考え方
ある会社で部長に昇進された方がおっしゃっていた言葉が印象的でした。「30年かけてようやくここまで来れた。これでようやく自分のやりたかったことができる」と。
具体的に何をやりたかったかまでは聞いていませんが、これはとても素晴らしい考え方だと思います。
部長になるまで実直に上司の期待に応えながら実績を積み重ね、時には言いたいこと・やりたいことを我慢して、本当にやりたいこと・実現したいことは、自分に権限が付くまで抑えておく。そしてそこに昇進するまでは、そのときの自分に要求されている成果をひたすら積み上げていく。
逆に、別の会社さんで、ちょっとモンスター的な社員さんと言いますか、前向きな提案は一切ないのですが、とにかく会社の制度に文句ばかり言っている人がいて、その人がある日、「経営幹部の皆さんがやっている会議に出させてほしい!自分の知らないところで自分のことが色々と決まっていくのは嫌だ!」と言っていました。
どこまで本気で言っていたかはわかりませんが、私は極めてソフトに冗談っぽく、「じゃあ国会にも怒鳴り込んでいかないといけなくなるね。消費税のこととか社会保険料のこととか、勝手に決められちゃうもんね~」と、諭しました。
今さら私が言うことではありませんが、世の中は自分の思い通りになることの方がむしろ少なくて、税金のこととか、自分の生活に大きくかかわるようなことでも、清いけど極めて微力な一票で、願いを込めて選んだ議員さんに一任して、少しでも生きやすい世の中の制度設計をしてもらわないといけません。
これは会社も同じだと思います。一般社員全員それぞれ個別の意見や要望すべてを聞き入れ、全部採用することは不可能で、老若男女様々な人が仕事をしている会社組織の中で、最大公約数的に少しでも全員の仕事環境が良くなるよう、選ばれた役職者の方々によって運営・マネジメントされています。
ですから、一般社員の方がそういった運営やマネジメントにかかわっていきたいという熱い想いがありましたら、先ほどの事例の部長さんのように、まずは自分が今できることの範疇で、知識やマネジメント能力があることを、示していくことが必要になると思います。
先ほど出てきた、経営会議に出させてほしいと言っていた若手社員さんにも、「会社の制度を変えたいと思うのなら、早く偉くなろうよ」と、ソフトに伝えました。
「偉くなる」ために望ましい2つの行動
こういった自己啓発的な内容は、書籍などでも多く書かれていますが、当事務所が考えている金型メーカーや部品加工メーカーで「偉くなる」ために望ましい行動は、次の2つだと考えています。
- 身の回りで結果を出すこと
- フォロワーシップを身につける
まず、①の「身の回りで結果を出す」ですが、もちろん実務で他の一般社員さんよりも着実に結果を出していく、これも大事なことですが、前述したように、役職者になれるまでの知識を持っていることや、マネジメント能力を持っていることをPRするには、例えば、5Sで常に身の回りの整理整頓が教科書通りにしっかり出来ているとか、工場管理の本などに載っている知識を使って、自分が使う工具や消耗品などの保管について、FIFOの仕組みやダブルビン法などの仕掛けで管理しているなど、さりげなく見えるようにすることなどが考えられます。
また、わかりやすくマネジメント能力をPRする方法として、ハブ的な役割になることが考えられます。全てそうとは限りませんが、金型メーカーや部品加工メーカーにおいては、末端で仕事をする人よりは、前後と自工程から問い合わせを受けるハブの役割になっている人の方が昇進している印象があります。
例えば、最近のモノづくりの現場で言えば、3次元データを扱うオペレーターさんでしょうか。ある訪問先メーカーのCAMオペレーターのAさんは、後工程である機械オペレーターから段取りについての問い合わせを頻繁に受け、また3次元CADを扱えない組み立てや型保全担当者から、ちょっと画面を見せて欲しいとばかりに問い合わせをいつも受けており、また何名かいる同じCAMオペレーターのうち最も機能に詳しいため、操作についての質問をしょっちゅう受けています。
こういった問い合わせ対応は、本当の意味でのマネジメント(采配)とは異なりますが、一般社員がハブ的な役割を自らすすんでやることは、自分の身の回りの範疇で出来る、マネジメント能力をアピールする一つの手段になると思います。
さて次に、②の「フォロワーシップを身に付ける」ですが、フォロワーシップという言葉をネットで検索すると、「リーダーを補佐するための能力」などと出てきます。
そもそも「昇進する」とは、自分の力だけでのし上がっていくのではなくて、上の人が引っ張り上げてくれるイメージになると思います。
このことに立ち返れば、上の人にとって便利だったり、助かるという人でなくては、そもそも引き上げてもらえないということは、容易に理解できると思います。
したがって、フォロワーシップという上司を助けるための能力が必要となり、しかも「こいつとぜひ一緒に仕事をしたい」と思ってもらえることが大事だということです。
これも「あるある」ですが、間違っても下から「会社のあるべき論」などで突き上げて、上の人をこき下ろしているようでは、なかなか引っ張り上げてもらえないということになります。
また、あまりに媚びて上の人ばかり見て、周りや後輩を軽んじていると、自分が昇進できたとしても、部下になった人たちや同僚などに疎まれるケースがあります。
私がこれまで見てきた中で、昇進しても周りから疎まれずに上手く立ち回っている人の例として、周囲の人が納得できるほど、嫌な役回りをなるべく引き受けてきたという人が何人かいます。
例えば、顧客企業への出向とか、誰も取りたがらない取扱責任者の資格・免許をすすんで取るとか、雑用的な仕事もすすんでやっていたというケースを見ました。
疎まれないために狙ってやっていたかどうかはわかりませんが、こうした行動をとっていると、いざ辞令が発表されたときに、「まぁ、あの人ならそうだよね」と思ってもらいやすくなっていました。
やはり対外的なコミュニケーション能力は必要か?
もう一つ、「偉く」なったときに、やはり対外的なコミュニケーション能力は持っていた方が良いと思います。言葉どおり、社内だけでなく、社外の人とも話す機会が増えてくるためです。
社内で簡単に取り組める、能力を鍛える方法は、次のようなものがあります。
- 部署にかかってきた電話は、なるべく自分が出る。
- 工作機械のトラブルなどの際、メーカーへの問い合わせは自分がすすんでやる。
- 工具の発注係など、外部業者との窓口は、なるべく自分が担当させてもらう。
- なるべく展示会などに出向き、ブースで素朴な質問をする。
自分の経験談ですが、これらのことをしていれば、割と自然にコミュニケーション能力は身についてきます。
近頃、なるべく電話には出たくないという若手社員さんが多いですが、コミュニケーション能力の良い練習と思えば、勿体ないことだと思います。
外部業者さんとのコミュニケーションで必要になることは、次の2つだと考えています。
- 不快にさせない。
- 嫌なことも言えるようにする。
この2つは相反するように見えますが、実は違います。
①の「不快にさせない」とは、延々と自慢話をするとか、相手は急いでるのに引き止めて無駄話を続けてしまうとか、そういった普段の人間関係でもやってはいけないことを、当然にまずはきっちり守り、相手の感情を感じ取りながら会話できる人を目指します。
②の「嫌なことを言えるようにする」とは、もっと安くして欲しいとか、相見積もりをくださいなど、あくまで「ビジネス」上で相手が聞きたくないということも、自社の顔として、今度は嫌な顔をされても気後れせず、言えるようになることを目指します。
ある意味、①の「不快にさせない」ことによって、②の「嫌なことも言える」ビジネス関係を構築しておくことが、必要なのかもしれませんね。
まとめ(勝ち組社員になるために)
さて、今回の内容をまとめますと、
- 近年は、ボトムアップで一般社員の意見も、風通し良く聞き入れる風潮になっているが、役職者と一般社員の違いとして、役職者は一定の決裁権を持っており、意見の採用・不採用を決める権限を持っている。
- 会社の制度設計などに関わっていきたいという想いがある人は、早く昇進して「偉く」なった方が良いと思われる。
- 「偉く」なるためには、自分の身の回りの範疇で結果を残していくこと、フォロワーシップの能力を身につけることが望ましい。
- 「偉く」なるまでに、対外的なコミュニケーション能力も身に付けておく方が望ましい。
と、いうことになります。
最後になりますが、自分個人のことだけでなく、他の社員みんなのために、会社の制度設計や管理の仕組みをよりもっと良くしていきたいという発想はとても素晴らしいことだと思います。
「偉くなる」と、一定の権限を持てる代わりに、自分のことだけでなく、部署や会社、部下に対しての責任もついてまわり、このことがそれなりに負担に感じるかもしれません。
ですが、そのマイナス部分だけを見るのではなく、ぜひご自分の目標を実現するため、一日でも早く「偉く」なっていただければと思います。
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コラム投稿者
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代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

