【今さら聞けない】フィーチャー設計、正しく行っていますか?

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3次元設計における「フィーチャー設計」正しく行っていますか?

今回のテーマは、これもコンサルの現場で指摘させていただくことが多い、「フィーチャー設計」の望ましいやり方についてです。

フィーチャー設計とは、私が使っている言葉で、3次元CADを使った設計作業にて、主に穴形状について、後工程のための加工属性を付与した設計を行うことです。

簡単な事例を使って見ていきたいと思います。

あるべきフィーチャー設計の作業(操作)とは

まず、望ましいフィーチャー設計の操作とは、

  1. 部品を配置する
  2. 穴形状をカットモデリングする
  3. 加工属性をつける

この3つの作業を一つの操作で済ますことです。

VISIという3次元CADを使って、ちょっと簡単な事例で見ていきたいと思います。

シンプルな形状の事例
シンプルな形状の事例

上図のようなシンプルな形状を事例として、望ましい作業を確認してみたいと思います。

取り付けの最初のプレート
取り付けの最初のプレート

まず最初のプレートをクリックで指定します(ピンクにハイライトされたプレート)。

取り付けの最後のプレート
取り付けの最後のプレート

間に1枚プレートを挟んで、次のプレートをクリックで指定し(ピンクにハイライトされている)、これら3枚のプレートをキャップボルトで締結したいと思います。

ボルトの位置を指定
ボルトの位置を指定

真上から見たビューで、キャップボルトを配置する位置を指定します。

ボルトが自動で選定され、配置される
ボルトが自動で選定され、配置される
正面から見た図
正面から見た図

後は、キャップボルトのサイズを指定すれば(今回はM8)、内部的に設定されている必要タップ深さと必要ザクリ深さの計算により、自動でキャップボルト長さが選定され(5ミリとび)、タップ加工の深さとザグリ加工の深さも自動で決まります。

CADによって操作は異なると思いますが、フィーチャー設計としては、概ねこのような操作を行っていると思います。

これらの操作を行うことで下図のようにキャップボルトが配置されます。

ボルトが配置された状態
ボルトが配置された状態

ここでのポイントは、配置される部品の長さ、ザグリやタップなど加工の深さが自動で決定してくれるかどうかです。

例えば、下図のプレス金型は私が設計した事例ですが、

プレス金型設計の事例
プレス金型設計の事例(左上が下型、右下が上型)

私は、3次元CADの設計においては、いきなり部品モデルを配置していくのではなく、まず下図のように、2D要素の円や線だけで下書きを行い、その後、部品モデルを配置していくことを推奨しています。

部品配置の作業
部品配置の作業

理由は、配置した部品モデルについて、部品同士の干渉やレイアウトバランスなどにより、修正のために移動の操作を行うと、内部処理のために待ち時間が発生するためです。

そうした待ち時間をなくすため、下書きを行い、その段階でプレートのサイズも含め、全てのレイアウトを決定し、その後に部品配置に入ります。

効率の良い部品配置作業ができていますか?

本題はここからですが、私は下書きの状態から部品配置が完了するまで、上記の事例の金型でしたら、上下型合わせて、作業時間は2時間ほどです。

しかしCADによっては、ボルトの長さなど、部品長さを自動で決めるのではなく、オペレーターが選定して配置するものや、金型のプレート構造ごとにテンプレートを作り、事前に設定登録しておかないと自動計算されないといったものもあります。

そういったCADを使った場合は、部品配置の作業は2時間では済まないと思っています。

そうした点から、プレス金型に限らず、どの種類の金型であっても、自社に合うCADの選定は重要だと思います。

おさらいですが、先ほどのように例えばキャップボルトの配置において、①どのプレートとどのプレートを締結するか、②平面上のどの位置に配置するか、③M8・M10などサイズはいくつにするか、などの設定をすれば、(A)ボルト長さ、(B)加工深さは自動で決定され、次の図のようにボルトが配置され、

ボルトが配置された状態
ボルトが配置された状態

そのボルトを外すと、

1枚目のプレート
1枚目のプレートはザグリ穴
2枚目のプレート
2枚目のプレートはキリ穴
3枚目のプレート
3枚目のプレートはタップ穴

このようにそれぞれのプレートに穴があき、また合わせて加工属性がつけられるといった、①部品モデル配置、②穴形状カット、③加工属性の付与、の3つの作業が同時に行われ、かつ部品の長さ・加工の深さがCAD内で自動で決定されないと、作業としては結構辛いと思います。

私としても、先ほどの事例の金型で、2時間では済まないと思います。

実際に、金型サイズや部品数にもよりますが、部品配置で何日もかけているという会社さんがおられます。が、想像力を必要とする本来の設計とは異なり、「作業」とも言える部品配置に何日もかけているのは問題だと思います。

御社はいかがでしょうか。

最後に取り付け方向を変えてリーマの場合もやってみたいと思います。

プレートの選択
プレートの選択

まずどのプレートからどのプレートまでか選択します。今回は側面からの取付を想定しています。

ノックピンが配置された
ノックピンが配置された

側面から取り付けるプレートの中心にノックピンを配置するよう位置指定したら、ノックピンが自動配置されます。

今回のサイズはφ10で、長さは40ミリを選択しました。

挿入量は自動で計算されます。ノックピン長さは自社の設計標準に応じて自動計算させることもできます。

加工属性も付与されている
加工属性も合わせて付与されている

上図のように、ノックピンが配置されました。

上図下の2枚の図のように、ノックピンを外して見ると、部品配置と同時に、青色のリーマ加工を表す加工属性が付与され、加工深さも自動で決められています。

まとめ

私が3次元CADを使った会社さんをいろいろ拝見させていただくと、望ましいフィーチャー設計が行われておらず、2次元CADを使った設計よりも大きく工数が増えてしまっている例を見かけます。

そこで少しでも効率的に3次元設計を行うため、

  • (A)2D要素による下絵を先に描き、編集処理による待ち時間を発生させない。
  • (B)部品配置の作業については、①部品モデル配置、②穴形状カットモデリング、③加工属性付与は、一つの操作で同時に行う。
  • (C)部品配置の際、部品長さ・加工深さはCAD内で自動決定される。

これらが適切に行われているべきだと思います。

御社の設計工数はいかがでしょうか。

特に、(B)のフィーチャー設計については、意外にハイエンドCADを使っている会社さんほど行われておらず、金型や機械設計など専用モジュールがアドインされたミッドレンジCADを使っている会社さんの方が実施されています。

最も上流の工程となる設計工数の2~3日のリードタイムの遅れは、下流工程になるほど大きく伝播し、3~4、5~6日と、どんどん大きな遅れに膨らんでいきます。

クリエイティブな構想設計や工程設計には、もちろん必要なだけ工数はかかりますし、時間が読みづらいところもあります。

しかしながら部品配置の作業については、どちらかというと、クリエイティブというよりは、標準化を行うことによりルーチン的な「作業」に近いものになります。

そうした「作業」は、①徹底した標準化と②便利なツールを用いることにより、より効率化を行い、工数削減を図っていくべきだと思います。

また、(A)の2D要素による下絵を先に描くという作業方法をとれば、そこまでを本来の設計担当者が行い、その後の部品配置については、CAD内の部品長さ・加工深さ計算処理が標準化されていれば、別の設計アシスタントに任せるといった分業により、設計案件の回転率を高めるという方法もあります。

(前述した私が設計した金型の事例では、下書きの2D要素は、部品ごとに色分けしております)

そもそも私からすれば、金型のレイアウトが決まった後の部品配置作業については、何日もかけてやるものではないと思っております。前述した金型の事例でしたら、2、3時間、もっと規模の大きな金型になっても、1日を超えることはないと思っています。

御社はいかがでしょうか。もし思い当たるところがある会社さんは、ぜひご確認されてはいかがでしょうか。

参考になれば幸いです。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
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