マシニング加工の人的ミスと対策の考え方
今回は私のコンサルティング先で出くわす、「マシニング加工の人的ミスのあるある」と、その対策の考え方について見ていきます。
まずマシニング加工の人的ミスですが、ざっと挙げてみると次のようなものがあります。
- 口頭の申し伝えの悪さによる受け手の勘違い
- アキューセンターによる心出し作業の5ミリずらし忘れ
- FAXで来た図面寸法のつぶれた数字を間違えて読んだ
- 工具径補正を入れ忘れた
- 加工するワークを取り違えた
などなど、挙げだしたらキリがありません。
これらの問題点について、新QC7つ道具の一つ、連関図を使って原因を分析してもらうと、途中で次のような要因が挙がってきます。
- 慌てていた
- 急いでいた
- 思い込みがあった
- 人に声をかけられて手順がとんだ
- 電話に出たあと、戻ってきたら手順がとんだ
- 体調が悪かった
- むしゃくしゃしていた
- 悩みがあった
これも挙げだしたら、本当にキリがありません。
さて、これらにどう対処していくかという話ですが、まずはチェックシートで、ということになります。
これにより、体調が悪かろうが、声を掛けられて手がいったん止まろうが、やるべき手順の目安ができます。
まず最低限、これは作るべきでしょう。
それと、クロスチェックも有効です。
クロスチェックとは、自分以外の別の人と一緒にチェックする手法を言います。
携帯ショップや銀行窓口などで見かける確認作業です。それだけ重要で絶対間違うことができないということでしょう。
我々製造業も同じではないでしょうか。
実際に、お客さんからお借りしたワークを加工したり、外国から輸入したワークで替えが効かないなど、絶対ミスができない加工現場では、段取り時に徹底したクロスチェックをルール化しているメーカーもあります。
まとめ(もしワークが1千万円したら?)
それと、これは私がいつも思うことですが、もし加工する材料の値段が、1,000万円したらどうなるでしょうか。
私だったら、怖くてマシニングセンターのスタートボタンを押すことができなくなると思います。
それこそ、第3者にクロスチェックをお願いし、一緒に入念なチェックを行ってようやくボタンが押せるくらいだと思います。
おそらく、これを読んでいる誰もがそのような状態になるのではないでしょうか。
実は、その時点で無意識にさじ加減をしているということになります。
普段の仕事では、そのような恐怖を感じることなく自然に段取りをし、加工プログラムをセットしてスタートボタンを押しています。
1,000万円の材料ならボタンが押せず、普段の数千円から高くとも数万円の材料であれば、ためらいなく加工ができる。
これは悪い意味ではありませんが、自分の中で材料の金額によって、掛ける手間のさじ加減を無意識にしていることになります。
いまいち自分はミスが多くなかなか改善されないという方や、そういった部下を持つ上司の方は、もし1,000万円の材料だったらどんな手順を踏むだろうかという想定で、加工が完了するまでの手順を考えてみるのはいかがでしょうか。
特に、一品モノや小ロット品の加工は、試し加工の機会がなく、一発勝負の場合が多いので、本当に難しい作業だと思っています。
もしよろしければ、参考にしてみてください。
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代表:村上 英樹(中小企業診断士)
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