「今さら聞けない」汎用フライスとマシニングセンターの使い分けについて

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昨今の金型メーカーの課題

筆者が金型メーカーを無料診断させていただいたり、コンサルティングをさせていただく中で、まさにこの点について課題だと思うことが多々あります。

その課題とは、CAMデータ作成とマシニングセンターのオペレーション業務の分業化が進み、例えば、片手サイズのプレートにキリ穴を2、3か所加工するような内容のフライス加工についても、CAMオペレーターが加工プログラムと加工指示書の作成を行い、それを受け取ったマシニングオペレーターがワークとプログラムを機械にセットして加工を行うといった、コスト面からはやや過剰とも思える手順を踏んでいる点です。

こうしたプロセスはミスの発生防止には効果は高いですが、図面を見ながら汎用フライスで手早く済ませてしまう場合の工数と、CAMデータを作成し加工指示書まで作って加工者に渡す分業での工数とを比較すると、圧倒的に汎用フライスの方が早いと思われます。

もちろん汎用フライスはうっかりミス(ポカミス)のリスクがつきまといます。

しかし両者の工数の差を考慮すると、例えば片手サイズのプレートであれば、ミスした時のために材料を余分に買っておいたとしても、加工部品によっては汎用フライスの方が安くできるかもしれません。

そのくらい両者の工数には差があると考えています。

したがって加工コストの最適化のためには、CAMとマシニングオペレーターの分業について、その程度を少し抑えていくことが望ましいと思われます。

具体的には、マシニングセンターの手動機能を活用し汎用フライスのように利用する、簡単な穴加工や切削加工についてはハンドル送りで対応するなど、過度にCAMに依存しないことが、金型メーカーのフライス加工の工数削減につながると思われます。

もちろん、こうした作業を行うためには、これまでの段取りのみの作業には必要なかった、加工条件や工具選定に関する知識が必要になってくるため、教育によるオペレーターのスキルUPが必要になります。

汎用フライスとマシニングセンターのあるべき使い分け

では、汎用フライスとマシニングセンター、それぞれの持ち味を活かす使い分けとしてどのように考えれば良いのでしょうか。

そもそも、マシニングセンターの強みを発揮できる場面は、次のようなケースであると考えられます。

  • 同じものを複数個加工するとき。
  • 使用する工具の本数が多い加工のとき。
  • 荒取りの切削体積ボリュームが多い加工のとき。
  • 高送りカッターや超硬ドリル、チップ式ドリルなど、市販の高能率工具が使用できるとき。
  • 自由曲面など3次元の加工を行うとき。
  • 長時間の無人加工を行うとき。

逆に、上記のマシニングセンターの強みが発揮できるケース以外の加工では、汎用フライスの強みが発揮できると場面だと言えます。

例えば、次のようなケースです。

  • 試作品など、少量の加工のとき。
  • 多くても2、3本の工具で済む加工のとき。
  • 手動ハンドルによる手送りでエンドミル加工を行うとき。
  • 強くクランプできない異形ワークの加工などで、切削負荷を調整しながら加工したいようなとき。

これら汎用フライスの良さは、加工を始めるまでの時間がとても短いという点です。

ハンドル送りによる加工などは、段取りしてすぐに加工を始めることができます。

また手送りによるエンドミル加工では、とかくマシニングセンターでは送り速度やロードメーターなど数値でしか判断できない切削負荷について、実際に手に負荷としてかかってくる切削抵抗を肌で感じとりながら、送り速度の調整を行うことができます。

こうした点についても、汎用フライスの経験のない最近の若手加工者が加工条件の限界がわからないといった弊害につながっていると筆者は考えています。

まとめ

未経験で入社した社員さんについては、いきなりマシニングセンターを担当させるのではなく、あえて汎用フライスから担当させることで、加工限界を肌で理解した伸びしろのある加工者に育つかもしれません。

製造現場では、エース級の社員さんばかりでもなく、個人差の発生しない分業体制でできるだけ生産性を上げなければいけない事情も、非常に理解できます。

しかしながら、現場診断やコンサルティングをさせていただく中で、むしろ大中規模のメーカーさんの加工現場で、過度に「CAM分業」に依存した状況を見かけます。

適宜、機械オペレーターさんの成長に合わせながら、適切に汎用フライスとマシニングセンターの使い分けをしていただければと思います。

   

   

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

※ 本コラムは、型技術2019年4月号の記事から抜粋・編集しました。

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