加工現場における【課長】という仕事の大変さ
金型メーカーや部品加工メーカーにおける【課長】というお仕事は本当に大変だと思います。
ある課長さんが言っていた言葉がとても印象的でした。「もう一段上の「部長」になってしまえば楽になるんだけど・・・」
「部長」という立場が楽かどうかは置いておいて(私は楽だとは全く思っていませんが)、「課長」という立場は一つ上の部長よりも密接に、直接現場を指揮しなければならない点で大変さがあると思います。
この「部長になってしまえば」と言っていた課長さんは、生産管理の仕事だけをメインにやってきた人で、現場加工のことは全くわからない人でした。
そのため現場の作業者から突き上げを食らうことが多く、そのうえ具体的な技術面でのアドバイスをすることもできないため、とても悩んでいました。
一方、上の部長からは「業績が悪いから何とかしろ!」と言われ、一方現場は中々思うように改善意識を持ってくれない、・・・といったように、金型メーカーや部品加工メーカーの【課長】は、とかく部長と現場からの板挟みになることが多いようです。
加工をやっていない課長の苦悩
そんな大変な課長というお仕事ですが、私が特に一緒にお仕事させていただくのが多いパターンが、前述した「加工現場をよく知らない」課長です。
会社がこういった方を課長に任命する主な理由としては、加工現場に元からいる職人肌の人たちに、管理やコミュニケーションに長けた方がいないため、しぶしぶ機械加工を実務で経験したことのない他部門から連れてくることが多いようです。
抱えている課題としては、持ち前の管理とコミュニケーションスキルで、大きなトラブルは発生させないものの、色々と取り組むわりには、業績が振るわない・上向いていかないといった悩みを抱えています。
そうなる要因として、自分で解決策をアドバイスできない苦しさがあります。
また職人気質の人からは、軽く見られてしまいがちといった面もあり、大変苦労されている人もいます。
私がこのような企業のコンサルティングをする場合は、やはりその課長が苦手とする技術面を補完するような役割でサポートしています。
また管理面についても運用としては問題ないことが多いのですが、やはり専門家の視点から、管理のやり方について改善点を指摘させていただくこともあります。
現場肌の課長さんの場合
一方、逆に技術・技能はあるのだけども、人を使うのは苦手、コミュニケーションがうまくとれないといった課長さんもおられます。
こういった方に私は、技術・知識の通訳係としてお手伝いさせていただくこともあります。部下に伝えていくための標準化も行ったりします。
また日程管理や原価管理についても、やり方がわからないといった声を聴くことが多く、こうした点についてもサポートさせていただいております。
また一方では、この加工についての技術や知識があるタイプの課長さんで、多少コミュニケーションがうまくとれなくとも、モノづくりと並行して管理もうまくできる人については、きちんと現場が回っており、業績も伴っているという加工現場もあります。
いわゆる「鬼軍曹」タイプの課長さんです。
この現代社会においては嫌われるタイプと思われがちですが、私が見てきた中では意外にもこの「鬼軍曹」タイプの課長がいる加工現場は、ある意味生産性が最も上がっていました。
まとめ
このように、加工現場における【課長】という立場は、直接作業者を指揮しなければならない点では、本当に大変な仕事かと思います。
また最初に挙げたように、課長という立場に「マネジメントができる」人材を当てようとすると、どうしても現場のたたき上げという人は該当しにくいという実状があります。
そのような事情のなか、加工技術を良く知らないまま課長になった人は、EXCELでの日程表は立派なものがすぐに作れるのですが、そもそも個々の案件の工数がよくわからない、また実際に現場で作っている工数そのものが早いのか遅いのかよくわからないといった問題があったりします。
よくある対処として、外注メーカーとの比較で評価しようとしますが、そもそも本当のことを教えてくれなかったり、私のような専門家から見ると、そもそも外注メーカーの加工も100点なのかな???という疑問もあります。
また外注メーカーの事業戦略として、もし私だったら本当の工数は絶対に教えません。質問されたのが取引先であれば、絶対にゲタをはかせた工数を伝えると思います(それよりも社内の方が遅いようであれば、それはそれで問題ですが・・・)。
少し話が脱線しましたが、このように加工現場を管理する【課長】の苦悩は様々なものがあります。
それぞれタイプに応じた解決策を考えていかなくてはならないと思います。
ぜひ色々と取り組んでみてください。参考になれば幸いです。
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コラム投稿者
金型・部品加工業 専門コンサルティング
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