金型・部品加工業における「いくらで作るか」という意識の重要性
金型メーカー・部品加工メーカーの経営を左右する「いくらで作るか」という意識
私は金型・部品加工業専門のコンサルタントとして、多くの金型メーカーやプレスメーカーなどの金型内製部門、マシニングセンターや放電加工機などを扱う部品加工メーカーと接してきました。
その中で、特に現場で作業される方とお話しをするときに、いつも気になっている、金型メーカーや部品加工メーカーにとって重要な「いくらで作るか」という意識について、今回は掘り下げてお話してみたいと思います。
金型・部品加工業は、競争が激しく、常にコスト削減が求められる業界です。その中で、「いくらで作るか」という意識は、企業の存続を左右する重要な要素となっています。
金型内製部門における「いくらで作るか」という意識が欠如する傾向
私のクライアント企業様には、プレスメーカーなどの金型内製部門や売り型メーカー、部品加工メーカーなどがありますが、この中で、特に金型内製部門において、「いくらで作るか」という意識が弱い傾向が見受けられることがあります。
極端な事例では、マシニング加工において、ほとんど超硬製の工具を使用せず、ハイスエンドミルやハイスドリルを使い続け、例えば本来10時間で済む加工を100時間近くかけているといったケースも見られます。
一方、マシニングセンターや放電加工機などを扱う、単品・小ロットの部品加工メーカーでは、逆にこの意識が強い場合があります。
これは、一点一点の部品の値段が現場に知らされていることがあるため、自然とコスト意識が働くことが考えられます。
「いくらで作るか」意識を持つことの重要性
プレスメーカーなどの金型内製部門だけでなく、売り型メーカーにおいても、「いくらで作るか」という意識が弱い金型メーカーは経営が苦しくなっていることが多いです。
金型製造には材料費や部品購入費がかかりますが、それ以上に重要で、金型原価のうち大きなウエイトを占めるのが「工賃」です。
工賃は時間単価×工数で算出されますが、この工数をいかに短縮できるかが鍵となります。
「いくらで作るか」の意識が弱い、売り型メーカーや金型内製部門の現場においては、納期に間に合いさえすれば、より品質の良いものを作るために、多くの時間をかけてしまう傾向があります。
金型における面品質や寸法精度は付加価値になるとはいえ、受注金額からかけ離れた工賃をかけ製作していては、ビジネスとしては成り立たなくなってしまいます。
現場では、「いくらで作るか」という意識を持つことで、ものづくりを効率化していこうとする意識が生まれます。
この意識があるかどうかは、金型メーカーや部品加工メーカーの経営状況を大きく左右します。
従来の金型製作の現場では、「いくらで作るか」という意識は軽視されがちでしたが、コスト競争が激化する現代においては、この意識を持つことは不可欠です。
どのように「いくらで作るか」の意識を高めるか
では、どのように「いくらで作るか」という意識を高めれば良いのでしょうか。
そのためには、やはり現場が、そもそも「いくらで受注しているのか」を知る必要があります。
ただし、現場は「時間」を物差しとして動いています。金額を基準として動いていません。
この認識の違いが、これまで現場が「いくらで作るか」の意識を持つことを阻害してきたと言えるでしょう。
したがって、会社や部門が受注した「金額」を、時間単価×工数の計算を使い「時間」に変換し、目標として共有していく必要があります。
まずはここからがスタートになります。
例えば、会社が4万円として受注したマシニング加工は、その会社の売値の時間単価が4千円だった場合、現場は最低でも10時間以内で終わらなければ、会社が目標とする儲けは出なくなります。
一方、必ずしも会社が求める金額で受注していない場合もあるでしょう。いわゆる赤字覚悟で泣く泣く、安く受注した場合です。
こうした場合において、そのままを目標工数に変換すると、現場としては初めから負け戦と決まっている時間を目標にしなくてはなりません。
こうした状況は、現場のモチベーションを下げることにつながりかねません。
この場合は、あくまで現実的な時間に補正します。ただし、出来れば多少なりチャレンジングな時間までに留めておきたいところです。
あくまで、この「変換」の目的は、現場に目標を持たせることなので、必要以上に精密に数字を立てる必要はありませんし、わざわざモチベーションを下げてしまい、逆効果になることを避けるためです。
まとめ
「いくらで作るか」という意識は、売り型メーカーや金型内製部門、部品加工メーカーなどの経営にとって非常に重要です。
これからの現場は、「いくらで作るか」という意識を高め、企業としての経営体質を強化していく必要があるでしょう。
これを読んでくださっている読者企業の皆様の現場はいかがでしょうか。
おそらく、良いものを納期通りに作るという意識は十分に持っていると思われます。
さらにプラスアルファ、「いくらで作るか」「利益が出ているか」までを意識して、日々の設計や加工に取り組むことができれば、真の真味での、会社の収益向上に貢献できるエンジニアだと言えるでしょう。
また、「いくらで作るか」という意識を高め、効率的なものづくりを実現していくことは、企業の収益向上に貢献するだけでなく、真のエンジニアとしての成長にもつながります。
いかがでしたでしょうか、参考になれば幸いです。
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コラム投稿者
金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054
