差し立て板が機能するようになった、その次は?

目次

「差し立て板が機能するようになった」その次に考えることは?

以前お伝えした「金型メーカーのあるべき日程計画の方法について」では、大日程・中日程・小日程の3段階に分け、金型や部品の日程管理をすることをご紹介しましたが、最後の小日程計画では、現場で差し立て板を使った日程の見える化をご紹介しました。

この差し立て板は、工数の見積もりと、それを計画に落とし込むという、やや高度なスキルを要する管理でしたが、これが機能するようになれば、いよいよ次に考えなければいけないことがあります。

それは、その差し立て板の前提になっている個々の部品の加工工数の合計が、金型の受注金額に照らし合わせ、採算がとれているか?ということです。

中日程計画で考慮する場合

これは、中日程計画で考慮することも考えられます。

以前ご紹介した中日程計画の例は、下図のようなものでした。

中日程計画

こちらの例では、「AB-12345」という金型工番について、パンチやダイ、パンチプレートやバッキングプレートなどの部品が、材料手配やCAMデータ作成、マシニング加工など、それぞれのリードタイムに応じて、工程納期をカレンダーの日程に当てはめるというものでした。

このカレンダーへ、個々の工程で必要となるリードタイムをそのまま当てはめているという場合は、これらの工数を合計したとき、金型の受注金額の中にある工賃分の金額と照らし合わせ、採算がとれているか、これが重要になるということです。

小日程計画(差し立て板)で考慮する場合

また、実際の機械や人の空き状況も踏まえたカレンダー日程にしている場合には、実際に掛かる工数は、下図の例のような差し立て板の方で管理していると思います(例えば、加工は半日で終わるのに、中日程計画の工程納期としては10日後とかにしている場合)。

小日程計画

その場合は、差し立て板にある部品の加工工数を合計した場合、金型ごとの受注金額の工賃分の予算内に収まっているか?この管理が必要だということです。

留意するべきこと

さてその際、一点注意が必要です。

というのは、金型に含む工賃の金額は、一般的には工数に下駄をはかせることが多く、実際にかかるであろうそのままの工数どおりで見積もり金額を出すことは少ないと思います。

したがって、その下駄をはかせた工数を目標に予実管理を行っても、会社や部門を成長させる有益な取り組みにはならないということです。

また、厳しい金型単価を指値で受注している場合も同様です。

最初から負け戦と分かっている工数を目標に、日程管理を行っても、当然現実は合わなくなって予定は狂ってきますし、現場のモチベーションも上がりません。

そこで、実際の受注金額に使われている見積もり工数ではなく、「標準工数」というものに置き換えます。

これは、現場の現状のスキルなども考慮し、何とかこれくらいの工数であれば出来るであろうという数値に調整した工数になります。

差し立て板や中日程計画の工数を合計したとき、この標準工数内に収まるよう日程計画を立てます。

まとめ(金型メーカーで扱う3つの工数)

したがって、金型メーカーの予実管理では、次の3つの工数を扱うことになります。

  1. 見積もり工数・・・引き合いがあった時、提出する見積もり金額の工賃を計算するときに使う工数
  2. 標準工数・・・できるだけ採算が合うように配慮しながら、現場が目標とする金型ごとの工数
  3. 実績工数・・・実際に加工してかかった工数

厳しく予実管理をされるのであれば、標準工数を使わず、見積もり工数と実績工数だけの比較評価を行うのも良いかもしれません。

実際に、ある加工メーカーさんでは、受発注システムのデータベースから、現場の作業者が自由に実績結果を見て、自分が担当した案件がどれだけの粗利益率があったのか閲覧できる仕組みをとっているところもあります。

最後になりますが、段階に応じた日程計画とその進捗管理、収益性管理までを併せ持った完璧な生産管理をぜひ目指していただきたいと思います。

   

   

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