「今さら聞けない」3次元データ加工の手順のセオリー

3次元加工のセオリーについて

教科書がない3次元データ加工

当事務所が金型メーカーや部品加工メーカーを診断させていただく際、3次元データ加工の手順がうまくまとまっておらず、よく指摘をさせていただくことがあります。

このようになってしまう原因として、切削加工の基礎や理論に関する市販図書は多く存在するのですが、自由曲面などの金型意匠面を加工する、3次元データ加工については手引きとなる本は、筆者が知る限り存在しないためだと思っています。

したがって、企業それぞれ我流となっていることが多く、それ以外では、CAMを購入したベンダからの導入教育やサポートの際に、他社事例などを元にした手順を教えてもらうなどの手立てしかありません。

そこで、筆者が倣い加工機からスタートし、各種のCAMやマシニングセンターを操作してきた経験や、多くの企業事例を見てきた経験などを踏まえ、今回3次元データ加工の手順のセオリーをまとめてみました。

ぜひ参考にしていただければと思います。

実際の手順と根拠

形状の複雑さや狙いの加工精度により、手順は増えたり減ったり、入れ替わったりすることもありますが、大まかな手順は下の表のとおりです。

No. 加工名 目的 残りしろの例 使用するCAM機能
1 大荒取り加工 出来るだけ大きな工具で、時間あたり切り屑排出量の大きな加工を行うこと 0.5~1ミリ 荒取り加工
2 中荒取り加工 No.1の大荒取り加工の取り残した狭小部位などの荒取りを行うこと 0.5~1ミリ 荒取り加工(ストックを使用)
3 全体中仕上げ加工 次の全体仕上げの加工負荷を均一にするため、取りしろを一定に残すこと 0.1~0.2ミリ 等高線&走査線加工
4 全体仕上げ加工 先端と直径部の周速差を許容できる、可能な限り大きな工具径のボールエンドミルを使って全体を仕上げ加工すること 0ミリ 等高線&走査線加工
5 削り残り部・中仕上げ加工 No.4の全体仕上げ工具では入りきれなかった、狭小部位を小径工具で加工する。その中仕上げを行うこと 0.1~0.2ミリ 等高線&走査線加工
6 削り残り部・仕上げ加工 No.5の狭小部位の仕上げ加工。最終的に使用する工具径が小さい場合、No.5と6は段階を踏むことになる 0ミリ 等高線&走査線加工

各工程の具体的なポイント

表に記載されている各工程について、具体的なポイントを見ていきたいと思います。

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