【ショートコラム】金型メーカーや部品加工メーカーにおける賃上げと労働分配率について

金型メーカーや部品加工メーカーにおける賃上げと労働分配率について
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【ショートコラム】金型メーカーや部品加工メーカーにおける賃上げと労働分配率について

過去のコラムを読んでいただいたり、当サイトの書籍をご購入いただいた方はご存知かもしれませんが、当事務所では、金型メーカーや部品加工メーカーの粗利益や従業員さまのモチベーション管理のために、労働分配率を使った現場の出来高管理を推奨しております。

労働分配率とは、下記の計算式により、会社や部門の人件費を過少かつ過大にならないよう管理するための指標として使ったり、特に当事務所としては、分子側を維持またはより多くしていくために、分母側の付加価値額を増やす取り組みを全社的に足並み揃えて行っていきましょうという方針展開のために使っていただいております。

労働分配率の計算式
労働分配率の計算式

具体的な数値としては、60%を超えると経営的に赤信号、50%を超えると徐々に黄色信号、40%以下であれば青信号ということで経営はとても安定しているといった見方をするのが一般的です。

さて、このコラムの執筆時、しきりにニュース等では、賃上げ、賃上げと言われており、大企業の春闘では自動車メーカーなど軒並み満額回答が行われ、世の中全体で賃上げをしていこうとする流れになっております。

ですが、先ほど見た労働分配率の式の定義からすると、そのままただ、分子側の賃上げだけを行うと、労働分配率が悪くなって、従業員さまの生活どうこうの前に、あくまで計算上の話ですが、会社や部門の経営状況が安定しない方向になってしまうため、今回のコラムでは、その点についてどう対応していくかについて触れてみたいと思います。

賃上げに伴い、会社や部門がとるべき方向性は、ざっくりと次の2つになると思います。

  1. 労働分配率が上がらないよう(60%を超えないよう)分母側を増やす取り組みをする。
  2. 労働分配率が60%を超えても経営が不安定にならないよう、材料費と外注費以外の経費も見直す(減らす)。

①の分母側を増やす取り組み(主に売上を増やす・外注費を減らす)については、過去のコラムで書いていますので、もしよろしければそちらをご覧いただければと思いますが、今回は②の取り組みについて触れてみたいと思います。

ざっくりと決算書に記載される、製造業の経費は下記のようなものがあります。

製造業の一般的な経費
製造業の一般的な経費


そもそも鋼材などの材料費もかなり上がってきており、分母を形成する付加価値額そのものも圧迫されている中で、これもニュース等で散々言われているとおり、光熱費や物流費も上がっています。

そういった中で、減価償却費やリース料などの固定費は基本変わらない(下がらない)ものとして、その他の変動費で見直しをかけられるもので何とかしていくしかないといった状況だと思います。

それと、労働分配率が60%を超えてる会社に共通していることとして、修繕費についても苦しくなっていることがあります。

これには下記の2つのパターンがあります。

  1. 機械の故障や工場設備の破損など、突発的に発生する修繕費
  2. 天井や壁の雨漏り、インフラ設備の修理など、計画を立て中長期的に修繕していくための予算

いずれにおいても、大きな金額になると大変な負担になることは間違いないのですが、①のパターンの修繕費となると、そもそも機械が動かないと仕事にならないのでどうしても捻出しなければならないということになるのですが、②の方で、特に労働分配率が厳しいという会社は、必要に駆られていても、後回し後回しになりがちです。

そうした場合、賃上げによってさらに労働分配率が悪くなると、さらに後回しに拍車がかかりそうです。

材料費・外注費以外の経費について少し触れてみましたが、企業の皆さまにとっては、やれるものでしたらすでに普段からやっていると言われると思います。また物流コストの削減などはニュース等でも言われているように、やり方次第で減らすこともできるかもしれません。ですが非常に苦しいのは変わらないと思いますし、簡単なことでもありません。

そもそも会社にとっては、ジリ貧になってまで賃上げを行うのかどうかという議論もあると思います。

したがって、労働分配率60%以上でも安定した事業運営ができる体制を作っていくことは理想ではあると思うのですが、やはり現場の取り組みとしては、ますます分母側にある「外注費」、特にオーバーフロー外注をできる限り減らしていく努力が、これまで以上に必要になるんだろうと思っています(材料費もすでに上がっているので、そのままの売上と外注費だった場合、分母の付加価値額は少なくなる)。

今回は、当事務所で推奨している労働分配率を使った出来高管理においては、ある意味トレードオフ(相反する)の関係になるかもしれない「賃上げ」との関係性について、やはり一度触れておかないといけないと思い書かせていただきました。

今回は、コスト削減の手段についてなど深く具体的なところまで触れておりませんが、金型メーカーや部品加工メーカーがもし賃上げを行った場合の後にとるべき2つの方向性について書かせていただきました。

御社の方針はいかがでしょうか。参考になれば幸いです。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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