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無料診断サービス編(7)(型技術2020年5月号掲載)

2020 5/16
目次

無料診断サービス編⑦

今月も引き続き、筆者が金型メーカー向けに行っている無料診断サービスの内容について解説する。無料診断サービスは金型メーカーで行われる作業工程の流れに合わせ、下記の項目に分けて行っている。前々号から組み立て工程における診断内容を解説している。本号も引き続きその内容から見ていく。

  1. 設計工程
  2. CAM工程
  3. マシニング加工工程
  4. 機械加工全般
  5. 組み立て工程
  6. トライ工程(主にプラスチック金型)
  7. 原価管理
  8. 会社全般
  9. 購買
  10. 5Sの状況(効率性の観点で)

組み立て工程の診断内容(続き)

作業に入れば、4メートル四方で完結するよう道具は手元化されているか

組み立て工程は、ミスや漏れの無いよう確実性を追求しながら効率的に作業が行えるようにするために、周辺の作業環境から整備することが重要になる。

そこでひとつの基準として、4メートル四方の作業スペース内で作業が完結できるくらい、使う道具が手元化されているかどうかを診断している。

もしそこまで整備されていない場合は、作業者の動線距離が必要以上に長くなっていることも考えられるため、道具の購入コストとのバランスを考慮しながら、効率性の良い作業レイアウトをつくりあげることを推奨している。

金型メーカーの組み立て工程の診断においては、このような作業レイアウトからの配慮がなされているかの確認を行っている。

設計面から組み立て作業が効率的に行えるよう配慮されているか

これは使用するキャップボルトやノックピンのサイズをできるだけ統一するという配慮である。

入れ子や中子などのサイズの問題からどうしても制限される場合は別であるが、例えばノックピンの径や長さの種類がたくさんあるとそれだけで準備が大変だったり、慎重に間違わないよう確認しながら組付けるため、どうしても作業時間が多くかかることがある。

可能な限り締結部品のサイズを統一することで、組み立てやメンテナンス時のバラシ作業も効率的になる。

こうした配慮が行き届いている金型メーカーは、外注設計に渡す設計標準書にもこれらの点が明記されている。

無料診断においては、こうした点も確認している。

クレーン待ちのロス時間が発生していないか

この点についても、特に中大型の金型を扱う金型メーカーにおいては見過ごせない改善点になる。

ある金型メーカーでは、部品の運搬や型合わせ確認の際に使用するホイスト式天井クレーンにおいて、順番待ちで作業が停滞する時間を計測・集計したところ、想定していたよりもはるかに多くの待ち時間が発生していたという事例がある。

この金型メーカーでは、ホイスト式クレーンを設置した専用の金型組み立て台を製作し対策した。

対策方法は各社様々であるが、複数の作業者で組み立てや金型保全などの作業を行う場合、クレーン待ちにより作業の停滞が慢性的に発生していないか、無料診断ではこうした点について確認を行っている。

以上、ここまでが組み立て工程での診断項目である。引き続きここからは、トライ工程における診断項目を見ていく。

トライ工程の診断内容

トライ工程においては、特にプラスチック素材を対象とした射出成形金型を扱う金型メーカーの診断項目として設定している。

担当者は、成形機の条件を調整して、良品に近づけるスキルを持っているか

筆者が診断する金型メーカーには主に2つのタイプがあり、一つは量産を行うメーカーの金型部門、もう一つは量産を行う成形メーカーから金型製作を請け負う金型メーカーである。

このうち後者の金型メーカーに多いのが、設計製作した金型のトライを客先で行ってもらうパターンで、組みつけ後、客先に送った金型のトライにおいて、一回で目的の寸法及び品質が出なかった場合、再び金型は金型メーカーに送り返され、意匠面の微調整、追加工又は肉盛りと再加工などを行うことになる。

このとき客先のトライで行われている成形機に対するパラメーター調整は、金型メーカーからはブラックボックスとなり、トライの都度、製品寸法を出すための射出速度や保圧条件などの設定をどのように行っているか知らないことが多い。

そのようなこともあり、実際に筆者が診断した金型メーカーでは、10回や20回では効かないほど客先トライと自社での肉盛り再加工を行ったり来たり何度も繰り返している事例がある。

これは自社で量産を行う成形メーカー内の金型部門も同様で、量産部門でトライを行う担当者に、成形条件を駆使して良品を作るノウハウを一定以上のスキルで持っているかどうかで、金型を適正なリードタイムで製作できるかに大きく影響してくると考えている。

客先に金型を納める金型メーカーの場合、理想としては自社のトライマシンを使って良品を成形しておき、その成形条件と共に金型を納品できれば、前述したような客先と金型メーカーを行ったり来たりする不効率は減らせると考えられる。

診断の際には、こうしたプロセスを確立するためトライ担当者が成形条件を調整し、良品に近づける高いスキルを持っているかを確認している。

担当者は、樹脂材料の特性を詳しく知っており、それに応じた成形機の調整ができているか

これは前項目に通じるところがあるが、最小のトライ回数で良品を作り上げるために、樹脂材料ごとの特性を良く知っておき、また製品形状に応じた多段制御などの設定を適切に行う必要がある。

うまくできなければ、いたずらにトライ工数を増やしてしまったり、金型の修正追加工が増えてしまうことになる。

こうした事態を避けられるよう、トライ担当者が一定のスキルと知識を持っているか現場診断の際には確認させていただいている。

以上、ここまでが主なトライ工程での診断項目である。引き続き金型製造における原価管理についての診断項目を見ていく。

原価管理についての診断内容

日報は、①金型原価、②人と機械の稼働率、これらが適切に集計できるようなフォーマットになっているか

日報のあり方については、各メーカーで様々な形式があり、手書きのものを集計するメーカーもあれば、パソコンもしくはタブレットに入力したものを自動集計しているメーカーもある。

いずれにおいても、金型ごと、さらにはその構成部品ごとにかかった工数を、設計やCAM作業・マシニングセンターや放電加工機の段取り・仕上げ作業などの作業項目ごとに集計できる仕組みがあるか、またその収集された工数データを使って、作業者ごと・工作機械ごとの稼働率まで計算できるよう日報のフォーマットが整備されているか、現場診断の際にはその点を確認している。

工数を集計することが日報の最たる目的ではあるが、そこから稼働率などを計算することにより、コスト削減やリードタイム短縮のための着眼点を見つけたり、金型見積もりのためのチャージ計算に利用することができる。

金型メーカーや機械加工メーカーを診断していると、集計した工数のデータを活用し、稼働率を計算したり、チャージ計算に利用したいと考えていても、日報フォーマットの不備により、やりたくてもできないというメーカーも多い。

無料診断においては、日報のフォーマットのあり方の確認と、要望があればその改善方法までアドバイスを行っている。

今回はここまで。次回は引き続き、原価管理の診断内容についてもう少し見ていき、次は金型メーカー全般として診断項目を解説する。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
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