金型・部品加工業専門コンサルティング

金型・部品加工業専門コンサルティング(加工コンサル)は、金型メーカーや、マシニングなどの機械加工業を専門とする経営コンサルタント事務所です。

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執筆

無料診断サービス編①(型技術2019年10月号掲載)

無料診断サービス編①

本号はいつもの企業ごとのコンサルティング事例の記事ではなく、筆者が行っている無料診断というサービスを紹介させていただきながら、金型メーカーが整備するべきポイントを、今回から数回に渡り解説していきたいと思う。

 

無料診断サービスをはじめた背景

このサービスをはじめたきっかけとして、これまで金型メーカーや部品加工メーカーから「他社はどのようにやっているのか深いところまでわからない」「自己流で色々な加工方法や管理方法を作ってきたがどれが正解かわからない」といった声をあまりに多く耳にしたというのがあった。

 

コンサルティング契約をいただいている企業だけでなく、広く全国の金型メーカーや部品加工メーカーを対象として、交通費(必要であれば宿泊費)のみで企業に赴き、製造現場や生産管理状況などを診断させていただいている。

 

サービスの特徴

無料診断サービスの基本的なやり方としては、設計やCAM、マシニング加工などの工程ごとに、これまで筆者が見てきた百社を超える金型メーカー・部品加工メーカーのベストだと思えるやり方と比較し診断している。

 

筆者は、金型ならプレス・樹脂成形・ダイカスト・鍛造金型メーカーなど、また部品加工であればマシニング加工・溶接製缶・板金加工メーカーなど幅広く、それぞれ業種ごとの長所短所を見てきている。

 

したがって同じ業種内だけに留まらずこれらを横断的に見て、ベストだと思える加工方法や管理方法と比較して、診断を受けられる点が本サービスの特徴である。

 

診断の具体的な流れ

本サービスについては、筆者のホームページからお電話をいただくか、お問い合わせページからご連絡をいただいたのち、双方で日程を調整し、必要であれば秘密保持契約を締結し診断に入る。

 

診断に必要な時間は2~3時間で、本業実務に支障をきたさぬよう配慮している。

 

製造現場や設計・管理事務室などを一通り診させていただき、担当者へのヒアリングが完了すれば診断は終了である。

 

診断の最後に口頭で報告させていただくが、後日2~3週間くらい時間をいただき、診断報告書を作成しお送りしている。

 

診断の具体的内容

実際の診断業務については、筆者が使っている「診断チェックシート」に基づき行っている。今回本来は公開していない診断チェックシートの内容に沿って、金型メーカーが整備するべき点を解説していきたい。

 

診断チェックシートは、次の工程・項目に沿って構成している。

  1. 設計工程
  2. CAM工程
  3. マシニング加工工程
  4. 機械加工全般
  5. 組み立て工程
  6. トライ工程(主にプラスチック金型)
  7. 原価管理
  8. 会社全般
  9. 購買
  10. 5Sの状況(効率性の観点で)

 

まず本号では、設計工程の診断内容を中心に紹介する。

 

設計工程の診断内容

複数設計者で、強度や品質で個人差が出ないよう設計規格書が整備されているか

設計者が一人しかいないといった金型メーカーでは必要性は低いかもしれないが、社内の設計者が何人もいる場合に、統一したルールで設計ができるよう設計規格書が整備されているかを診断している。

これが整備されていないと、例えば強度不足の金型が設計されたりといった機能不全の面だけではなく、後工程において金型ごとに加工で使用するエンドミルの種類が異なるとか、使用する締結部品や市販部品の種類がバラバラで、購買や組み立て工程の担当者の手間が余計にかかるなどの弊害が起こりやすくなる。

レベルの高い設計規格書とは、金型材料や締結部品、市販部品などの種類が記載されているだけではなく、その選定指針までが理由つきで記載されており、社内の設計ノウハウや情報を高レベルで統一・共有していくことができる。

 

正しい進捗管理の仕組みは整っているか

設計の進捗管理は、どの企業においても難しいという意見を聞く。

その理由としては、機械加工などとは異なり、加工部品数のようにボリュームを定量的に表現することが難しく、また構想設計のように必要な工数をなかなか予測できない点などがある。

よくガントチャートによる日々の進捗を線で埋める(伸ばしていく)方法がよく使われているが、計画に対しどれだけ先行しているのか遅れているのかがわからない。

図1 設計進捗管理の良くない事例

 

線を日々更新して伸ばしていくうちに、結果的に計画線を追い越してしまい、設計納期直前になって何の対策も取られないまま工程納期を過ぎてしまうことが多い。

 

本来進捗管理というものは、締め切り日が到来して間に合った・間に合わなかったという結果論ではなく、日々の管理の中でどれだけ早く対策(アクション)が取れるかが重要なポイントになる。こうした管理ができているかを診断している。

 

大日程から小日程まで日程計画は立てられているか、大雑把な管理ではないか(設計工程だけでなく金型全体の日程管理として)

まず前提として金型の日程管理は、次のように段階的に分けて行うものと考えている。

    • 大日程計画(金型ごとの管理)
    • 中日程計画(部品ごとの管理)
    • 小日程計画(工程ごとの管理)

特に③の小日程計画は、機械や人ごとの日程計画となり「差し立て」とも呼ばれている。

これまで診断してきた感想として、多くの金型メーカーでは、①大日程計画と②中日程計画は機能しているが、③の小日程計画がうまく機能していない。

精度の高い作業工数の見積もりを行い、差し立て板をうまく機能させることがポイントとなる。

 

細かなマイルストーンを設定して、日程管理ができているか(特に若手)

よく金型の大日程計画に記載されている設計工程そのものの進捗が、若手設計者ほど遅れていく傾向がある。

設計工程を細分化し、それぞれ期限を付けたマイルストーンで上司や先輩設計者がフォローをすれば、若手設計者が抱える「何度も手戻りを繰り返す」といった問題に対応することができる。

マイルストーンを適切に管理し、正しい設計の手順を踏みながら、設計間違いによる大規模修正のリスクを避けた進捗管理ができているかを診断している。

 

情報共有がしやすい設計ルームのレイアウトになっているか

働き方改革に着手しなければならない現代社会において、設計部門に限らず、たっぷり時間をかけた重量級の会議のやり方は時代遅れと言える。

別室に移動してたっぷり時間をかけるのではなく、さっと集まり最小限の時間で情報交換や意見収集を行う迅速なショートミーティングを行うことが理想である。

個人依存になりがちな設計作業において、複数の知恵を出し合ったり、必要なタイミングで複数の担当者に情報を伝えることができるような設計ルームのレイアウトになっているかの診断を行っている。

図2 理想的な設計ルームのレイアウト

 

 

無料診断の本当の狙い

今回紹介したのは設計工程を中心とした診断項目であるが、これまで診断を行ってきた感想として、次回以降も紹介する全ての項目が100パーセント整備されているといった金型メーカーはほとんどない。

 

筆者が常に思っていることとして、IOTやAIも時代の進化に合わせて導入していくことも重要だが、そこで働く人間自身や仕事のやり方自体にまだまだ「伸びしろ」があるとも思っている。

 

筆者は、無料診断サービスを通してこの点をお伝えすることで、全国の金型メーカーや機械加工メーカーの底上げの一助になれば幸いだと考えている。

 

 

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング

代表:村上 英樹(中小企業診断士)

愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

 

協和工業株式会社のコンサルティング事例(型技術2019年9月号掲載)

協和工業株式会社のコンサルティング事例

本号で紹介するプレスメーカーは、協和工業株式会社(静岡県湖西市 TEL053-579-0931)である。本企画での掲載は2度目の登場である。

 

前回の掲載では、元々同社が行っている3次元設計を活かしたコンカレントエンジニアリングを高度化させる取り組みについて紹介した。

 

本記事においては、次のステップとも言えるさらなる3次元設計のメリットを追求した金型事業の高度化について紹介していきたい。

 

同社の事業と特徴

同社はシート部品・ステアリングコラム部品などの自動車用部品を製造する量産プレスメーカーでありながら、解析シミュレーションも使い、超ハイテンにも対応した金型を自社内で設計製造するなど、高レベルの金型を内製しているという点に特徴がある。

 

同社は、金型意匠面だけでなく構造部の設計において、いち早く3次元での設計に取り組んでおり、その積み上げた実績や活用ノウハウも豊富である。

図1 同社で3次元設計された順送型の事例

使用するCADソフトとしてはCreo(旧Pro/ENGINEER)を使っている。

 

Creoは、ハイエンドの3次元CADとして大手メーカーなどで使われており、その優れたモデリング機能や、大規模な設計にも活用できるなど高い評価を受けている。

 

汎用ソフトと専用ソフトの違い

そもそも3次元CADには、機能や価格によって次のような順序で分類できる。

  1. ハイエンドCAD
  2. ミッドレンジCAD
  3. ローエンドCAD

 

このうちハイエンドCADとローエンドCADには、自動車業界に限らず、家電業界や航空宇宙業界など、汎用的に様々な業種で使われるものが多い。

 

一方ミッドレンジCADの中には、ハイエンドCADほど高価でなく、海外製・国産CAD問わず、金型業界に特化した機能を持つCADが多く販売されている。

 

しかも、板プレス金型向け、射出成形金型(モールド金型)向けなど、同じソフトの中で、さらにそれぞれの金型に特化した機能を持たせているものがある。

 

特に板プレス金型の設計においては、構造部の設計に入る前の工程設計において、多工程に渡る各工程の中間形状のモデリングや、順送型でのストリップレイアウトなど、これらを簡単な操作で迅速に行うことができる機能などが装備されている。

 

3次元設計に求められる機能

筆者は、2次元設計・3次元設計いずれも実務経験があるが、同じ金型を設計した場合、シンプルに組図までの設計ということであれば、どうしても設計リードタイムは2次元の方が早くなる(ただし、3次元設計の方が凡ミスや干渉ミスは圧倒的に減らすことができる)。

 

2次元設計では省略できる部位についても、3次元設計では、機械加工で行う細部の形状までモデリングしなければならないなど、どうしても設計の工数に差が出てくる。

 

しかし言い換えると、構造部の設計が終われば、そこから部品図へのバラシを行わなくても速やかに部品加工に入れるといったコンカレントエンジニアリングの方法をとれる点が、3次元設計のメリットである。

 

そもそも、3次元設計を行うメリットとしては、一般的には次の3点が挙げられる。

  • 解析シミュレーションの活用
  • コンカレントエンジニアリングの活用
  • フィーチャー設計の活用

 

①の解析シミュレーションについては、同社はいち早く取り組んでおり、同社は得意とするハイテン材の高精度なプレス成形に活用している。

 

また、②のコンカレントエンジニアリングについても、前回の記事にて紹介させていただいた筆者との取り組みにより、設計→CAMの工程間で発生していた、一定数の部品のデータ作成を行った後、次工程に引き渡すといった「作り溜め方式」を打開することで実現している。

 

③のフィーチャー設計とは、3次元での構造設計において、キャップボルトやノックピン、ガイドピンやボタンダイなどの標準部品を金型内にアセンブリする際、配置するための穴形状にタップやリーマ加工、キリ穴やザグリ穴などの加工内容を属性としてモデルに付与させる機能を使った設計を称して筆者はそう呼んでいる。

 

これにより、後工程のCAMオペレーターは、個々の部品の加工データを作成するにあたり、ワークの向きと原点を決め、後はCAMに加工属性が付与された部品モデルを読みとらせることで、自動で穴加工データを作成することができる。

 

同社の課題とコンサルティング内容

いち早く3次元設計に取り組んでいた同社は、モデリング機能に秀でたCreo(当時はPro/ENGINEER)を導入し、これまで実績を積み重ね、設計を効率化するためのマクロや標準部品モデルなども構築してきた。

 

しかしながら、こうした大規模設計にも利用される汎用設計CADは、金型設計に特化したミドルレンジのCADと比較すると、板プレス金型の場合、構造設計の前の工程設計の利便性・フィーチャー設計利用の2点において、どうしても差が出てしまう。

 

同社は、自社内の量産で使用する内製金型だけではなく、他メーカーで使用する外販金型の受託製造も行っており、外販金型については価格競争といった面もある。

 

そこで同社は、3次元設計のメリットは最大限に活かしつつも、後工程を含めた全体リードタイムのさらなる削減に着手するべく、利便性の高い工程設計機能を持ち、フィーチャー設計も可能な3次元CADであるシマトロンへの移行を決断した。

 

シマトロンへの移行に伴い、CAMオペレーションでの自動化が機能しなければ、真のメリットは発揮できないため、3名の設計担当者だけでなく、3名のCAMオペレーターまで巻き込む大がかりな移行作業になった。

 

そこで同社は持ち前のPDCAの管理能力を発揮し、システム切り替えに伴う1人ひとりのタスクとスケジュールを明確に計画し、逐次進捗状況を確認しながら遅れが出ないよう現在も着実に進めている。

 

現在も移行の最中であるが、その結果や得られた実際の効果については、別の機会で紹介させていただく。

 

一方、上流工程である設計やCAM工程が効率化してくると、下流工程である機械加工工程の負荷が一気に高くなることが想定される。

 

言い換えると、この負荷を従来以上に流れ良くオペレーションすることで、全体のリードタイムを削減することが可能になる。

 

同社のマシニング工程の強みとして、パレットチェンジ仕様の機械を複数台設備しており、回転率の高い段取りと加工を行うことができる。

図2 同社のパレチェン仕様マシニングセンターの一例

 

これまでは高い生産性を持つパレチェン仕様のマシニングセンターに、CAMオペレーションが追従できないという課題があり、パレチェン仕様の本来のメリットを発揮しきることができなかったが、今後のCAM自動化により同社が持つ本来の生産性を発揮することが可能になる。

 

今後の同社の成長戦略

高い金型製造技術を持つ同社には現在、採用応募者が集まってきている。その中には設計を希望する者も複数名いる。

 

コンカレントエンジニアリングを背景としたCAMの自動化を推進する同社の構造設計においては、機械加工や組み立て工程についての深い知識も必要となるため、最短の年数で経験を積むためには、必要な知識を得るための現場経験を効率よく踏ませなければならない。

 

そのため同社は、質の高い3次元設計者を確実に育成できる自社独自のキャリアプランの構築を進めている。

 

高度な3次元設計のプロセスを構築し、合わせて高度な設計技術者を育成していくことで、強い競争力を発揮させようとしている同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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戸田鉄工株式会社のコンサルティング事例(型技術2019年8月号掲載)

戸田鉄工株式会社のコンサルティング事例

本号で取り上げる金型部品加工メーカーは戸田鉄工株式会社(愛知県豊田市 TEL0565-28-2167)である。本誌で掲載されるのは今回で2回目である。

 

同社は自動車部品で使用されるダイカスト金型の部品加工を主力事業としている。主なコア技術として、3次元マシニング加工や高精度な研削加工(特に円筒研磨加工)、また加工後の仕上げ磨きについても安定した高い技術を持っている。

 

今回は、同社で推進されているオペレーターの多能工化について、その取り組み内容と、生産管理の教科書でもほとんど触れられていない金型メーカー特有の多能工化のメリットについて、紹介していきたいと思う。

 

今回の同社の取り組み

今回マシニングセンターのオペレーターとそこで使われるCAMデータの作成を担当してきた同社の曽我和教氏に対し、これまで同社で使用していた3次元CAD/CAMのキャドマイスターからhyperMILL(CAD機能はSolidworks)に切り替えをしたことをきっかけに、筆者が特に3Dモデリングのやり方について、同社から個別指導の依頼をいただき技術指導を行った。

 

今回の技術指導で筆者が非常に楽だと感じたことは、CAMデータ作成段階の指導を行っていた際に、荒取りや仕上げ加工で使用するエンドミルの使い方、回転速度や送り速度などの加工条件については、ほとんどカタログを見ることもなく、曽我氏のこれまでの経験で設定をしていけたことである。

 

したがって、CAMの機能をどう応用して加工データを作成するかなど、中級レベルのオペレーターにするべき指導内容に注力することができ、有意義な研修を行うことができた。

 

このように金型メーカーや機械加工メーカーにおける技術習得の順番としては、後工程側から前の工程へさかのぼった順番で習得していくことが良いと筆者は考えている。

 

例えば設計工程であれば、部品図作成→組図作成→構想設計という習得の順番、機械加工であれば、工作機械の段取り→データ作成、金型全体の工程であれば、組み立て→機械加工→設計という順番である(トライ工程は別)。

 

このような順番で習得することで、実務で必要となる知識と感覚を身に付けながら、複数工程の仕事を身に付けていくことができる。このあたりの話については、また改めて別の機会で詳しく触れていこうと思う。

 

一般的な多能工化のメリット

今回、同社が取り組んでいる多能工化の推進であるが、生産管理の教科書に記載されている一般的な多能工化のメリットは次のようなものがある。

  • 複数の仕事を受け持つ社員を増やすことで、過剰に人員が増えることの抑制になり、企業として人件費を抑えることができる。
  • 同じく複数の仕事を受け持つ社員が増えることで、生産能力が高まり、受注量を増やすことができる。
  • 手待ちが減ることでリードタイム削減に寄与する。やらなければいけない作業はあるが、今やれる人がいないという状況を減らすことができる。

 

これに加え、設計や機械加工、手仕上げ作業や組み立てなど、複数の全く異なる作業が連なる金型メーカーでの仕事においては、これら①~③のメリット以外に、「間接コストの削減」というメリットが大きいと筆者は考えている。

 

金型メーカー特有の多能工化メリット

例えば、金型メーカーにおける間接コスト削減の取り組み事例として、次のようなことが考えられる。

  • レイアウト図や構想図を作成したついでに金型設計まで行う。
  • 部品バラシ図を作図したついでに機械加工データまで作る。
  • 加工データを作ったついでにマシニングやワイヤーカットの段取りまでやる。
  • 機械加工のついでに手仕上げ作業までやる。
  • 機械加工のついでに型の組み立てまでやる。
  • 型の組み立てのついでにトライ作業までやる。

これらは、実際に筆者が金型メーカーで仕事をしていた際に行っていた取り組みである。

 

つまり多能工化のきっかけは、この「ついでに」がポイントであり、「ついでに」後工程の作業をそのまま自分が行うことで、後工程の人に申し伝えるための指示書や要領書などの作成工数をそっくり無くすことができる。

図1 多能工化の具体例

 

多くの金型メーカーで進む分業化により、この間接コストの肥大化がやや過剰に進んでいるのではないかと筆者は感じている。もし思い当たる金型メーカーや加工メーカーの方がおられたら一度見直してみると良いと思う。

 

同社のコンサルティング前の課題

さて同社では、曽我氏の3次元CAD/CAMの習得を効率的に進めたいという思いがあったが、そのためのカリキュラムは用意されていなかった。

 

そこで今後、今回の曽我氏の多能工化の取り組みと同様に、別の者が3次元CAD/CAMを習得する際にも活用できるような段階的研修カリキュラムを整備すると共に、筆者がそれを用いたワンツーマン指導を行うことになった。

 

また、これまで曽我氏の経験値としてはCAM作業が中心であったため、今回の研修では、CAMで用いる3Dモデルのモデリングスキルの習得から行うこととした。

図2 今回の研修で取り上げた同社で製作しているダイカスト金型部品のモデリングの様子

 

コンサルティングの取り組み内容と効果

CADの操作方法など基礎的な内容は、販売ベンダなどの導入教育で終わっていることが多いため、筆者の技術研修は、ほとんど実践形式のチュートリアルを使ったカリキュラムで行っていくことが多い。

 

今回の実践研修でポイントとなったのは、SolidworksというCAD操作の履歴が記録されていくヒストリー型CAD特有のモデリング方法を習得することであった。

 

ヒストリー型CADのモデリング作法については、一つひとつの図形要素に多くを詰め込まず、できる限りシンプルな図形要素を積み重ねていく方法が良いと考えている。

 

後で、自分や他のオペレーターが編集箇所を見つけやすく、また修正作業もやりやすくするためである。

 

逆に操作履歴を残さないノンヒストリー型のCADによる3Dモデリングについては、フィレット以外の図形要素は、ベースとなる作図段階で、できるだけ多く表現してしまった方が良いと考えている。

 

曽我氏の研修については、基礎的な単純図形から、実際に同社で加工する部品の図面を用いた実践演習まで、段階的にヒストリー型CADの作法を習得しながら進めていった。

 

今回の研修によって受講した曽我氏は、hyperMILLによる3DモデリングからCAMデータ作成作業まで習得することができた。

これにより、今後同社ではさらに効率的にCAMデータ作成を行うことができるようになり、マシニングセンターの稼働率を高めていくことができる。

 

今後の同社の取り組み

今回の取り組みにより、マシニングセンターのオペレーターとして多くの経験を持つ曽我氏の知識を、前工程である3Dモデリング段階から活かすことができるようになった。

 

また、CAD作業については、2年ほど前までは外注業者の活用も多く、社内では1名に頼っていたが現在は2名が使いこなせるようになった。

 

自社で加工しない外注業者のモデリングよりも、実際にCAMを操作するオペレーターが加工対象の3Dモデルをモデリングする方が、例えば、前加工である研削工程で仕上がっている面にパスが触れないようにするダミーサーフェースを用意するなど、CAMデータをつくりやすい状態でモデリングすることができるなどのメリットがある。

 

このような現場の加工に詳しいCAD/CAMオペレーターを増やし、高い技術競争力を高めていこうとする同社に筆者は大きな期待をしている。

 

 

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株式会社 建和のコンサルティング事例(型技術2019年6月号掲載)

株式会社 建和のコンサルティング事例

本号で紹介するプレスメーカーは、株式会社 建和(愛知県安城市 TEL 0566-92-6295)である。本企画で同社が登場するのはこれで3回目である。

 

筆者は、定期的に同社の技術者教育を担当させていただいており、今回はトライと金型保全担当者の集合教育と個別指導を担当した。

 

以前紹介したとおり同社の金型製造は、全工程で3次元CADによるペーパーレス化したプロセスが完成しており、機械加工内容や寸法公差などは設計データ内に包括することができている。

 

したがって同社のトライ担当者は、下記の◇印で示す2次元設計を主体とする金型メーカーのトライ担当者に要求されるようなスキルに加え、さらに☆印で示すCADのスキルまで要求されることになる。

◇プレス作業スキル

◇2次元レーザー加工機の作業スキル

◇金型の構造知識

◇プレス加工の全般知識

☆2次元、3次元のCAD操作スキル

 

そこで筆者は、現在のトライ担当者に対し、同社が使用しているCADのVISIを使った個別マンツーマン指導を行った。

図1 トライ担当者によるプレス作業の様子

 

またトライ担当者に加え、金型保全担当者に必要な知識として、金型鋼材や金型構造、金型設計、トラブル対策などの集合教育を行った。ただしこの内容については、2次元設計を主体とする金型メーカーと違いはなく、プレス金型を扱う技術者には必須の基礎知識であると考えている。

 

今回トライ担当者に行った個別教育の内容

3次元CADのVISIの操作及び、金型のトライ作業に必要となる2D及び、3Dモデルの編集作業スキルを習得するための指導を行った。

 

具体的には、次のような指導を行った。

  1. 2D作図とその変更修正操作
  2. 3Dモデリングとその変更修正操作
  3. プレス製品の3Dモデルから冶具の設計をする演習
  4. パンチ・ダイの3Dモデルから金型の構造設計をする演習

 

この指導のポイントは、設計データを変更修正するスキルを中心に行った点である。

 

すでに作図された2Dデータや、モデリングされている3Dデータの意図を読み解き、変更してはいけない重要な箇所の寸法は崩さず、必要な箇所のみを調整するための手順と操作について指導を行った。

 

また「事例研究」という方法により、同社で扱っているプレス製品や金型の事例を用いて、ケースバイケースで異なる状況に応じたセオリーを学習してもらった。

 

4.の「パンチ・ダイの3Dモデルから金型の構造設計をする演習」については、同社の設計プロセスである、①同社社長がモデリングし、②解析ソフトを使って調整したパンチ・ダイの3Dモデルを受け渡され、③その後の構造設計を行う、といったところまでの技能を習得する計画である。

 

この教育については、現在実施中であるが、6か月の習得期間を見込んでいる。

 

今回行った集合教育の内容

トライ工程と保全担当者合わせて3名に行った集合教育について、同社から下記内容の基礎知識を習得させたいという要望があり、その内容に沿った教育を全5回で行った。

  • 金型で使用する鋼材の基礎知識
  • 焼入れ熱処理の基礎知識
  • コーティング技術の基礎知識(窒化を含む)
  • 硬度表記の意味について
  • 現場担当者も必要な金型設計の基礎知識
  • 切削加工の基礎知識
  • 面粗さの基礎知識
  • 三角関数の使い方

 

この指導項目の中で、「金型で使用する鋼材の基礎知識」と「現場担当者も必要な金型設計の基礎知識」について、保全作業との関連について見てきたい。

 

金型で使用する鋼材の基礎知識と保全作業

内製された金型や、協力会社である金型メーカーから調達した金型を量産で使用していく中で、金型鋼材の選定が原因となる金型トラブルが発生する事例は多く存在する。

 

例えば、上型パンチの下に配置されるバッキングプレートが、コスト削減のためSS400を使用しているなどである。

 

同社のプレス製品は、590Mpa以上のハイテン材が使用される部品が多く、特に抜き加工においては、金型に強い荷重がかかる加工が多い。

 

この場合、生産ロット数に配慮した金型鋼材が選定されるべきで、同社の金型保全担当者としては、こうした問題点を見抜く見識が必要になる。

 

このような知識を身に付けるため、今回の集合教育において、「SS400とS50Cの違いは?」「SK3(現SK105)とSKD11の違いは?」など、鋼材の使い分けを中心とした指導を行っている。

 

現場担当者も必要な金型設計の基礎知識

一見、保全担当者には不要な設計知識と思われるかもしれないが、保全担当者は金型に起こったトラブルについて、再発防止のために設計へのフィードバックという作業が必要になる。

 

量産加工中に、もし金型トラブルが発生すれば、事は急を要するためまずは応急的な処置がとられる。例えばパンチが折れたり、ダイスが割れたりといったトラブルに対する処置がある。

 

また順送プレスであれば、跳ねあがりや腰折れ、吊り上がり防止のための追加部品を取り付ける応急処置もある。

 

そういった金型は、設計上の問題であれば、生産計画のロット数が打ち終わり次第、プレス機から降ろされるタイミングなどで、再発しないよう恒久的な対策が取られる。

 

さらにもう一段階、この先の「標準化」プロセスが必要である。

 

例えば、金型A、金型B、金型Cなど、個々の金型(製品)それぞれに対してとられる対策が応急処置や恒久処置だが、発生するトラブルごとにカテゴリーを分け、複数の金型で共通の対策を設計段階から盛り込んでいくのが「標準化」の対策になる。

 

例えば、順送プレスであれば、カス上がり対策としてストリップレイアウトの外形トリムや分断パンチ形状に引っ掛かりを設けるとか、吊り上がり対策で上型に、板厚や形状に応じた一定のルールで払い機構を設けるなどの標準化がある。

 

こうした標準化のプロセスに保全担当者も参画していくため、設計の基礎知識が必要となる。

 

そこで筆者の集合教育においては、保全担当者にも設計の基礎知識を習得してもらっている。

 

集合教育の効果

昨年、筆者は同社の管理者を中心に、同様の基礎内容及び、中級レベルの集合教育を行っている。

 

以後その教材を使ってもらい、筆者が指導した管理者が次は講師となる、社内教育体制の循環を作ってもらう流れを想定していたが、今回は、外部の専門家による教育も加えることで、受講する若手に一定の緊張感を持たせ勉強に取り組ませていきたいという方針になった。

 

集合教育の途中及び、最後回には、講義全般の内容を取り入れたペーパーテストにのぞんでもらい、一定の成果を確認することができた。

 

今後の同社の取り組み

2019年は年明け早々、2次元ファイバーレーザー加工機を導入するなど、同社は積極的な設備導入を図る中、人材の技術力強化にも余念がない。

 

同社の構内通路には、全社員共通のスキルマップが掲示され、計画的な社員教育を行っている。

図2 同社構内のスキルマップ

 

今回のトライ・保全担当者への集合教育も、その社員教育計画の中での取り組みである。

 

3次元設計によるペーパーレス化と共に、機械設備面の充実も図り、それを操る技術者の強化により、独自の競争力を高めていこうとする同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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代表:村上 英樹(中小企業診断士)

愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

 

ユーアイ精機株式会社のコンサルティング事例(型技術2019年5月号掲載)

ユーアイ精機株式会社のコンサルティング事例

本号で紹介する金型メーカーは、ユーアイ精機株式会社(愛知県尾張旭市 TEL0561-53-7159)である。本企画で取り上げるのは3回目となる。

 

筆者は毎年、同社で採用される新卒社員の技術教育を担当させていただいており、今回は同社の若手社員2名に行ったプレス金型設計におけるサーフェースモデリングの教育について紹介する。

 

同社の現状

同社は自動車向けのプレス製品について、試作向けと量産向け、それぞれで用いる金型を製造する事業を行っている。試作向けの金型については社内で設計を行う体制がとれているが、量産向け金型は社内設計体制をとることができず、これまで外注対応で行ってきた。

 

そのため、外注の設計事業者が対応できる納期に依存する形となり、量産向け金型においては同社の武器である短納期対応がとれずにいた。

 

そもそも、それぞれの金型設計の違いとして、顧客から支給される3次元の製品モデルから行うモデリング作業の複雑さに違いがある。

 

試作向けの金型は通常1工程の成形で行われることが多いため、製品モデルを金型サイズまで伸ばすというモデリング作業が中心になるが、量産向け金型は多工程で成形するため、製品形状を多段階にアレンジしてモデリングするという創造的な作業が必要になる。

 

また同社の金型はハイテン材など、工程数が多い成形難易度の高い製品が多く、これが設計人材の育成において同社を悩ませる要因になっていた。

 

そのため同社では、クリエイティブな3Dモデリングに対応できる社内人材を育成したいと考えていたが、その教育ノウハウがなくこれまで苦慮していた。

 

サーフェースモデリングに焦点を絞った指導

今回教育を行った若手社員の適正を考慮し、構造部及び意匠面まで視野に入れた設計業務ができるよう育成したいと考えた同社は、その方針で筆者にマンツーマン指導を依頼した。

図1 Solidworksで金型設計を行う伊藤一樹氏

 

実際の指導においては、3次元CADの未経験者である彼らが、基本操作の習得から実務として設計を行う直前までを想定した教育カリキュラムで行った。

 

具体的には、CADの基本操作は市販図書を使った自主トレーニングを中心に行ってもらい、実践的なプレス製品モデルを使ったサーフェースモデリング研修については、筆者が直接指導で対応するという形式で行った。

 

創造的なサーフェースモデリングを行うにあたり重要となるポイントは、ルールや作業標準を作ることではなく、モデリング上級者が遵守している作法に沿いながらモデリング作業を行うことである。

 

ここでいう作法とは、CADの操作手順をマニュアル化することではなく、対象となる製品形状に応じ、ケースバイケースでモデリング方法を標準化していくことである。

 

金型意匠面をモデリングする際の作法の例として、曲げ型や絞り型などにおいて、顧客から支給された製品モデルを使って、サーフェース面を金型サイズまで引き延ばす作業で使う作法がある。

 

具体的には、①まずトリムを解除して製品面を伸ばす、②面が伸びなければ元々ある面を再現する、③再現ができなければ自動隙間埋め機能などで面を創生するといった順番でモデリング作業を行うものである。

 

家電製品などに多い平たいプレス加工品やシンプルな直角曲げの製品では、製品モデルから金型モデルまでサーフェース面を引き延ばすようなモデリング作業は少ないが、自動車部品に多い、ほとんどが自由曲面で構成されている製品モデルでは、金型の意匠面も自由曲面がほとんどを占めるため、元々の製品モデルにあるサーフェース面を延長して引き伸ばしていくといったモデリング作業が中心になる。

 

①の「まずトリムを解除して製品面を伸ばす」というのは、このとき使う手順で、製品モデルから必要な金型サイズまでの足りない部分を作る際、やみくもにサーフェース面を作ってつなげるのではなく、できるだけ製品モデルに忠実な形状で金型モデルを作成するため、トリムでカットされているサーフェース面のトリムを解除し、それを延長して引き延ばす方が忠実に形状を再現できる。

 

②の「面が伸びなければ元々ある面を再現する」は、サーフェース面を延長しようとすると、小さい曲率半径でカールしてしまう場合や、面の延長機能が効かないため必要な金型サイズまでサーフェース面を引き延ばせないようなときに使う操作である。

 

こうした場合仕方がないので、延長が効かない元々のサーフェース面に対し、出来る限り忠実な曲率で再現することになる。

 

ちなみに、複数のフィレットが重なりあった結果、延長したいサーフェース面が消えてしまっている場合もこの手順によることになる。

 

③の「再現ができなければ自動隙間埋め機能などで面を創生する」は、②の手順の際、複数の曲面の間に接する隙間を埋めるようなモデリングを行う場合に、曲率が複雑すぎてモデリング困難なため、埋めようとする隙間の外周ラインからダイレクトにサーフェース面を作成するといった機能を使うケースのことである。

 

最近の3次元CADはこういった機能の充実が見られるが、CAMに渡す際に中間ファイルに変換されると、こういった自動隙間埋め機能により作成されたサーフェース面は、私の経験上、面が化けたり、消えてしまうことがある。

 

したがって金型の意匠面モデリングにおいては、出来る限り①や②の手順の中で、ルールドやスイープなど標準機能を使ったモデリングを推奨している。

 

このような作法を守らず、各設計者が思い思いのバラバラな操作でモデリングを行うと、別の設計者がそのモデルを引き継いで変更や修正を行う際、うまく編集ができず、ひどい場合にはイチからモデリングをし直すなどのロスが発生することもある。

 

今回受講した2名の若手社員はそうした作法を学ぶため、市販図書によるCAD操作を習得した後は、同社の扱うプレス製品の題材を用いた「事例研究」というカリキュラムによって、様々な製品形状に応じた作法を学習した。

 

同社の今後の狙い

昨年同社は、C&Gシステムズ社のCG Press DesignというSolidworksにアドインする3次元のプレス金型設計システムを導入している。

図2 CG Press Designを操作する今本智之氏

 

当面は、このソフトウェアをレイアウト設計で用いていく計画だが、このソフトウェアは3次元の構造設計を行うことができるため、現在2次元設計データで行っている量産向け金型の製作を、3次元化することを視野に入れている。

 

現状は、2次元で設計されたCADデータを、同じくC&Gシステムズ社のEXCESS-HYBRIDⅡというソフトウェアにより、部品図を作ることなくプレート加工用のNCデータを作るという効率的なプロセスで行っているが、今後はCG Press Designを用いたフィーチャー設計機能により、加工属性を付与した3次元設計データを用いたCAM作業の効率化を図ることが可能になる。

 

部品バラシ図の必要ない2次元CAMデータ対応と3次元のフィーチャー設計、製造現場がいずれにも対応できるという金型メーカーは、筆者が知る限りでは存在していない。

 

若手設計人材の育成カリキュラムの整備と、最新ソフトウェアの導入の両面で、高度な製造現場の構築を図る同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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株式会社オオタ精密のコンサルティング事例(型技術2019年4月号掲載)

株式会社オオタ精密のコンサルティング事例

本号で紹介する機械加工メーカーは株式会社オオタ精密(愛知県豊川市 TEL0533-65-9572)である。本誌にて登場するのは今回で2度目である。

 

同社はマシニングセンターや汎用フライスなどを使って、中部地方の機械設備メーカーなどで使用される機械部品などのフライス加工を主力事業としている。

 

昨年からは、前回の本誌登場時に紹介したように、3次元CAMであるhyperMILLの導入により、それを用いた3D加工にも力を入れている。

図1 同社の加工した鋳造用金型

 

図1は鋳造用の金型の写真であり、この事例では製品モデリングから対応し、抜き勾配を付けた金型モデリングとその加工まで自社で行っている。

 

同社の強み

同社の加工の強みとして、コストと品質のバランスに配慮した、最適な機械の使い分けを行っている点がある。

 

補助金の活用などにより、同社はマシニングセンターの増設を行っているが、フライス加工全てをマシニングセンターだけで行っているわけではない。

 

使用する工具の本数、加工する穴の数、使用するエンドミルの本数などによって、汎用フライスとマシニングセンターを適切に使い分けており、これによって最適な工数で加工を行うことを徹底している。

 

昨今の金型メーカーの課題

筆者が金型メーカーをコンサルティングさせていただいている中で、まさにこの点について課題だと思うことがある。

 

その課題とは、CAMデータ作成とマシニングセンターのオペレーション業務の分業化が進み、例えば、片手サイズのプレートにキリ穴を2、3か所加工するような内容のフライス加工についても、CAMオペレーターが加工プログラムと加工指示書の作成を行い、それを受け取ったマシニングオペレーターがワークとプログラムを機械にセットして加工を行うといった、コスト面からはやや過剰とも思えるプロセスを踏んでいる点である。

 

こうしたプロセスはミスの発生防止には効果は高いが、図面を見ながら汎用フライスで手早く済ませてしまう場合の工数と、CAMデータを作成し加工指示書まで作って加工者に渡す分業での工数とを比較すると、圧倒的に汎用フライスの方が早いと思われる。

 

もちろん汎用フライスはうっかりミスのリスクがつきまとう。しかし両者の工数の差を考慮すると、例えば片手サイズのプレートであれば、ミスした時のために材料を余分に買っておいたとしても、加工部品によっては汎用フライスの方が安くできるかもしれない。そのくらい両者の工数には差があると考えている。

 

したがって加工コストの最適化のためには、CAMとマシニングオペレーターの分業について、その程度を少し抑えていくことが望ましいと考えている。

 

具体的には、マシニングセンターの手動機能を活用し汎用フライスのように利用する。簡単な穴加工や切削加工についてはハンドル送りで対応するなど、過度にCAMに依存しないことが、金型メーカーのフライス加工の工数削減につながると思われる。

 

もちろん、こうした作業を行うためには、これまでの段取り作業には重要視されなかった加工や工具に関する知識が必要になってくるため、教育によるオペレーターのスキルUPが必要になる。

 

汎用フライスとマシニングセンターのあるべき使い分け

では、汎用フライスとマシニングセンター、それぞれの持ち味を活かす使い分けとしてどのように考えれば良いのか。

 

そもそも、マシニングセンターの強みを発揮できる場面は、次のようなケースである。

  • 同じものを複数個加工するとき。
  • 使用する工具の本数が多い加工のとき。
  • 荒取りの切削体積ボリュームが多い加工のとき。
  • 高送りカッターや超硬ドリル、チップ式ドリルなど、市販の高能率工具が使用できるとき。
  • 自由曲面など3次元の加工を行うとき。
  • 長時間の無人加工を行うとき。

 

逆に、上記のマシニングセンターの強みが発揮できるケース以外の加工では、汎用フライスの強みが発揮できると場面だと言える。

 

例えば、次のようなケースである。

  • 試作品など、少量の加工のとき。
  • 多くても2、3本の工具で済む加工のとき。
  • 手動ハンドルによる手送りでエンドミル加工を行うとき。
  • 強くクランプできない異形ワークの加工などで、切削負荷を調整しながら加工したいようなとき。

 

これら汎用フライスの良さは、加工を始めるまでの時間がとても短いという点である。ハンドル送りによる加工などは、段取りしてすぐに加工を始めることができる。

 

また手送りによるエンドミル加工では、とかくマシニングセンターでは送り速度やロードメーターなど数値でしか判断できない切削負荷について、実際に手に負荷としてかかってくる切削抵抗を肌で感じとりながら、送り速度の調整を行うことができる。

 

こうした点についても、汎用フライスの経験のない最近の若手加工者が加工条件の限界がわからないといった弊害につながっていると筆者は考えている。

 

同社では昨年、未経験の若手社員が入社したが、いきなりマシニングセンターを担当させるのではなく、あえて汎用フライスから担当させることで、加工限界を理解した伸びしろのある加工者に育てる配慮をしている。

 

同社へのコンサルティング

前述したように同社は現在、金型加工に力を入れている。しかしながら、そのノウハウはまだ持っていなかったため、同じhyperMILLを使用している筆者がサポートを行うことになった。

 

コンサルティングのポイントは、微細な溝加工など金型加工特有の特殊な加工についてであった。特に微細な溝加工は、用いるボールエンドミルの加工条件の選定が難しい。

図2 鋳造用金型の微細な溝部を加工しているパス

 

筆者が金型メーカーのCAMオペレーターの作業を拝見させていただくときに気になるのが、パスの形状に関係なく、一律に工具カタログの条件どおりの送り速度を使っている点である。

 

今回の鋳造用金型にあるような微細な溝部では、工具カタログにあるような、推奨速度までは出ない。したがって機械の動作速度に配慮し、機械が追従できる送り速度に設定するのがCAMオペレーターのテクニックである。

 

一般的な機械部品の3D加工には慣れている同社であったが、今回のコンサルティングではこのような金型特有の形状加工への配慮を中心にアドバイスを行った。

 

今後の同社の成長戦略

同社は昨年、3次元測定機の導入を行い、従来よりもさらに精密で複雑な部品の加工についても保証できる体制を整えることができた。

 

今後同社の成長戦略として、これまでに受託してきた部品とは異なる機械加工に対応するため、これまで導入してきた立形マシニングだけではなく、横型マシニングや5軸マシニングなどの導入も視野に入れている。

 

同社の用いるhyperMILLは、5軸加工を最も得意とするため、今後同社が5軸マシニングを導入すれば、その強みを最大限に発揮することもできる。

 

これらの設備計画により、溶接製缶品や鋳物部品などの機械加工へも力を入れていく検討をしている。

 

最新のCAD/CAMやマシニングセンターを設備しながらも、それを扱う加工技術者の能力をフルに活かす機械の使い分けにより、競争力を高めていこうとする同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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株式会社 近藤製作所のコンサルティング事例(型技術2019年3月号掲載)

株式会社 近藤製作所のコンサルティング事例

本号で紹介する機械装置メーカーは、株式会社 近藤製作所(愛知県蒲郡市 TEL0533-67-1111)である。同社は、自動車メーカーや工作機械メーカーなどで使用される、自動装置の設計製造を行っている。

 

元々同社はストッカーなど自動装置を、標準ラインナップの中からカタログ販売する製造販売メーカーであったが、現在は顧客ユーザーのニーズにより、材料の供給からストック、搬送、加工、検査などを全て自動化するシステム一式で請け負う事業の方が多くなっている。

図1 同社が製造販売する標準自動装置の一例

図2 同社が製造するシステム一式のCGイメージと写真の一例

 

同社において、そのシステム一式の請け負い事業を支えているのが、設計部・開発部の存在である。

 

同社の強み

同社の強みとして、次のようなことが挙げられる。

  1. 幅広い顧客ユーザーに対応できる技術・設計力
    同社の顧客は、自動車メーカーやそのティア1、ティア2メーカー、また工作機械メーカーなど幅広い分野に渡っており、自動装置に要求される細かな仕様は、各社・各分野それぞれに異なっている。
    同社は、そうした幅広い技術分野に対応できる技術力・設計力がある。
  2. 顧客ユーザーごとの細かな要求に対応できる小回りの良さ
    同社の顧客ユーザーからは、直接口頭や文書などで顕在的に求められる仕様ニーズもあれば、機能や概念など潜在的なニーズとして、設計担当者が打ち合わせの中でくみ取らなければならない仕様ニーズもある。
    そうした顧客ユーザーの細かな要求をくみ取り、対応できる小回りの良さも同社の強みである。
  3. 細かなユーザーのオーダーメイド受託に対応できる設計職人集団
    前述した強みは、まさに同社を支える設計部隊の努力であり、顧客ごとの担当設計者が自律した機能を持ち、顧客からオーダーメイドで発注されるそれぞれの仕様を細かくくみ取り対応している設計職人の集団であるからこそ成り立っている。

 

強みゆえのウィークポイント

同社では、幅広い顧客ユーザーごとのオーダーメイド発注に対応してきたため、設計職人ごとの構造・ユニット・市販部品選定において自己流に派生した図面が、社内に根付いてしまった。

自律した設計職人集団であることは、同社の強みでありメリットこそ大きいが、このようなデメリットもある。

 

このため、後工程である購買・組み立て部門の効率低下を招く事態が起きていた。例えば、設計者ごとに異なる構造を採用したり市販部品を用いたりすることで、購買部門ではまとめ発注により安く購入するなど、規模の経済を活かせない不効率などである。

 

改革のためのプロジェクト発足

そこで、開発部・設計部主導による「設計改善研究会」を筆者と共に発足した。これにより、設計部門の強みを活かしつつ、会社全体としてのウィークポイントを改善できる設計管理の仕組みの構築を図ることを目指すことになった。

 

またこれまでの同社において、外注設計を含めた2D設計主体から、すでに導入を進めていた3次元設計を主体とすることへの変革も図ることにした。この研究会によって、そのための下地を1年で構築することを目標とした。

 

これまでのプロジェクトの成果

ここまで半年間続けてきたプロジェクトの進捗成果として、次の方向性が固まった。

  • 3D設計でも応用できる設計管理方式の構築
  • 自社の部品規格として、重複しない固有名称と仕様の標準化
  • 設計要件仕様書の確立(機械・電気仕様など要件定義を、詳細設計前に見える化する)

 

同社が導入する設計管理とは

ここで同社が導入していく(ア)の設計管理方式について見ていきたい。

 

これは社内で継続的に、同じかアレンジした図面を継続的に再利用していく図面の管理方法についての話である。ただし前提条件として、複数の設計者で管理・更新していく場合に限定される管理方法である。

 

というのは1人で管理していくのであれば、他者に申し伝えることは必要なく、自分のパソコンで管理するなど個人管理だけで済むためである。

 

一見、アレンジ設計した図面はそれぞれ個人管理のように見える。しかし、社内で締結方法を統一したいとか、市販部品の種類や購入先を統一し購買部門のムダ削減を図りたいなど、本来、企業の全体最適としては統一ルールを共有していかなければならない。

 

具体的に、複数設計者で図面データを管理していく方法としては、①テンプレート方式と、②データベース方式の2つがある。

 

テンプレート管理方式を採用するケース

テンプレート管理方式は、顧客ごとや、製品ごとで、図面の種類がさほど多くない場合に採用される。

 

具体的には、機械装置ごとに、アレンジ設計の基礎となる親図面(これをテンプレートを言う)を定義し、それをサーバーに保存、設計者はそこからコピーして再利用設計を行う。

 

運用上のルールとして、新たに採用したサブアセンブリや市販部品があれば、テンプレートに盛り込んで更新する。

 

ただし、それは誰でも好き勝手にやっていいものではなく、社内でそれが許されるテンプレート管理責任者を選任するなど、そのテンプレートを再利用する設計者全員に編集権限を管理していくことが必要になる。

 

データベース管理方式を採用するケース

データベース管理方式は、顧客ごとや、製品ごとの仕様により、管理・保存する図面の種類が多いときに採用される。

 

具体的な運用方法としては、設計者が自分の設計が終った時点で、どの親図面を使ったか、またその親図面にどのような変更を行ったかをデータベースに登録していく。

 

新たにアレンジ設計を行う際、設計者は過去にさかのぼって親図面を検索し、その子や孫となる派生図面に登録されている情報(過去に修正・変更した内容)を参照しながら、それらの修正を盛り込んだ新規の設計を行う。

 

データベースはこのように活用しながら、複数の設計者で最新情報を共有していくために利用される。

 

この方式のメリットとしては、一番祖先の親図面(テンプレート)を最新の状態に更新する必要がない。

 

顧客ごとや、製品ごとの仕様により、管理・保存する図面が多い場合、テンプレートを作っても、管理するテンプレート図面が多くなるだけで、せっかく更新してもそれぞれのテンプレートは使う頻度が少なく、手間をかけるほどメリットが出ない。

 

そこでどの世代の図面を使っても、最新の状態にするための情報を、別途データベースから参照することで、設計者全員が最新情報を参照できる方法を採用する。それがデータベース管理方式である。

 

同社独自の管理方式構築と今後の方向性

このプロジェクトによる外注設計も含めた一元管理体制を構築し、これまでに設計職人集団が蓄積してきたノウハウを、同社の設計資産として全員で共有していける仕組みを完成させる。

 

またその設計資産を活かしつつ、2Dから3D設計に段階的で直線的な移行を図っていく。したがって、2D・3D設計、両方に適用できる設計管理方法が必要になる。

 

それら条件に合致するのがテンプレート管理方式であり、今後管理ルールの整備と共に同社独自の仕組みとして構築し、根付かせていく。

 

高度な設計管理方式の導入により、設計職人の強みを活かした自動装置事業のさらなる強化を図る同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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株式会社 近藤工作所のコンサルティング事例(型技術2019年2月号掲載)

株式会社 近藤工作所のコンサルティング事例

本号で紹介する金型メーカーは、株式会社 近藤工作所(愛知県安城市 TEL0566-97-9551)である。

 

同社は、鍛造金型の設計・製造を行う金型メーカーであり、筆者は同社の5S活動や人事制度、QC活動などを中心にコンサルティングを行っている。

 

5S活動やQC活動は、量産系の製造メーカーでよく行われている活動であるが、個人技能への依存度が高い金型製造の分野では、これらの活動がほとんど行われていないというメーカーも多い。

 

市販書籍による5SやQC活動の教科書も、量産系メーカーを題材にしたものが多い中、金型メーカーとしてはどのように活動を行うべきか、同社の事例を元に紹介したいと思う。

 

同社の特徴

愛知県三河地区の自動車部品メーカーは、水平分業型のメーカーも多く存在し、鍛造金型を専門とするメーカーであっても、マシニング加工やワイヤーカット加工など、機械加工のみを行うというメーカーもある。

そのような中、同社は鍛造金型を専門に扱うメーカーとして製品設計から対応している点に特徴がある。

 

鍛造金型の設計工程としては、①鍛造加工の成形性を考慮した製品設計、②後加工である切削加工で仕上げる取り代を見込んだ鍛造形状の設計、③その鍛造形状を踏まえた荒型・仕上げ型・抜き型などの工程設計、④それぞれの金型のモデリング・製図を行うといった手順で行うが、同社は①の製品設計から対応できる点で顧客である鍛造メーカーから頼りにされている。

 

同社のコンサルティング前の課題

同社の金型製作にあたっては、設計~CAM~機械加工~仕上げ・磨き、溶接肉盛りなどいくつかの工程で分業体制となっており、それぞれの工程で専門とする担当者が決まっている。

図1 同社の横型マシニングと平面研削盤の作業の様子

図2 同社の溶接肉盛りした金型と放電加工機の作業の様子

 

専門作業の分業体制でありがちなのが、道具や工具など共有することもあるが、多くが個人管理になり、整理整頓の状態はその作業者自身が問題ないと考えればそのまま放置され、また改善活動も社内全体でというよりは個人任せになりがちになる。

 

同社においても、個人管理の状態が強く、5SやQC活動においても停滞していたため、筆者のコンサルティングにより改革することになった。

 

同社のコンサルティング内容【5S活動】

同社においては、まず2Sを徹底的に行うことからはじめた。2Sとは、整理・整頓をアルファベット表記した際の頭文字のSを2文字並べたものである。

 

整理とは、工場内の道具や工具を要るもの・要らないものに分け、要らないものを捨てることで、整頓とは、要るものをすぐに取り出せる状態に棚などに整然と並べることを言う。

 

前述したように、金型の製造現場など個人技能による職人の多い職場は、2Sがおろそかになりがちである。個人で完結させなければいけない分業工程が多く、複数人の流れ作業によるライン生産とは異なるところである。

金型作業では他人に配慮することが疎かになり、2S状態が悪くなりがちである。

 

通常2S活動は、赤札と呼ばれる廃棄期限を記入した小さな用紙を、在庫材や未使用道具などに貼り付け、期限が来れば、使用せず赤札が貼ったままになっている未使用品を廃棄したり倉庫に移動する。

 

同社においては、この赤札活動を行いながら、台や棚の上に置いてある道具や工具などについて、水平直角に置くといった基本的な心構えから指導していった。

 

工場内の色々な場所で写真を撮り、指導要領を作りながら何度も何度も指導とその改善を繰り返すうちに、基本的なことが製造現場に浸透してきた。

これについては、同社社長及び、2名の取締役の粘り強い説得と指導もあった。

 

こうした基本的な点を押えた2S状態が出来れば、次は「管理されている状態」を作る。

 

5S活動は、作業者自身の効率化も重要な目的の一つであるが、顧客へ納入する製品の品質を充分に確保できる整った体制があることをPRする活動でもある。

 

そのため、整った2Sの状態を維持するための管理活動を「見える化」することが重要になる。同社においては、各種の掲示物によって「管理されている状態」を作っていった。

 

さらに次のステップとして、製造現場における作業者の動線を最適化するための改善を行った。

 

具体的には各作業者が使用する道具や工具について、手元化したり、逆に共有化することで、動線距離を最小化する現場レイアウトの改善である。

 

これについては、4メートルという距離を基準にして、作業に入った状態から、道具を取りに行くなどの理由で4メートル以上の移動があるかどうかのアンケート調査を行い、4メートル以上の移動があるとされた作業から優先的に、棚などのレイアウト見直しを行った。

 

同社のコンサルティング内容【QC活動】

多くの製造現場では、小集団で行う改善活動としてQC活動を行っているところは多い。

 

QC活動では、よく使われるツールとして、QC7つ道具というものがあるが、量産型の製造現場向きのものが多い。

それとは別に、新QC7つ道具というものもあり、都度製作するものが異なる多品種型の製造である金型製造ではこちらの方が使いやすい。

 

筆者は、そもそもQC活動は問題解決の順序を学ぶ機会だと考えている。

 

そもそもQCの流れは、①テーマの選定、②現状把握、③要因分析、④解決策の立案、⑤対策の実行、⑥効果の確認、⑦標準化と歯止めといった順序で進めるが、いざ製造トラブルが発生すると、現場をよく知るベテランになるほど、要因を深く分析する前に、解決案を考えてしまいがちである。

 

また、着手するべき優先度なども、深く考慮せず、手に付けやすい問題から着手してしまうこともある。

 

QC活動は、決められた手順で進め、各手順で検討・意見するべきことをきちんと守って活動することが原則で、これにより発生した問題を徐々に絞り込みながら解決していくことができる。

 

この進め方を何度も練習することで、QC活動による問題解決の進め方を身に付けることができる。

 

QC7つ道具のうち、筆者のオススメをいくつか紹介すると、次のようなものがある。

①のテーマ選定ではパレート図を使い、優先度を持ってテーマを決める。③の要因解析では連関図を使って、自由度の高いなぜなぜ分析を行う。④の対策案の検討ではマトリックス系統図を使って、系統的に複数出した対策案の中から定量的に評価を行って選定する。

 

同社でのコンサルティングでは、実際に同社で発生した不具合事例を取り上げ、筆者も一緒になって連関図を使って要因分析を行い、対策案を考えるなどのサポートを行った。

 

今後の同社の取り組み

 同社の今後の取り組みとして、金型以外の機械部品などの、溶接(TIG、CO2アーク)・マシニング加工など、これまでとは違った仕事の受注を進めている。

 

マシニングセンタや平面研削盤、大型の放電加工機など、多くの工作機械を有する同社において、金型加工の間の隙間時間を利用して企業の収益をより高めていこうという思惑がある。

 

こうした新たな販路を開拓する際には、既存の顧客を含め、製造現場の5Sの状態や、改善活動による品質向上の取り組み状況は、顧客からよく見られて評価されるところである。

 

これまでの職人体質の良くなかった点を改革し、鍛造金型の専門メーカーの持つ技術を活かした販路開拓を進めている同社に筆者は大きな期待をしている。

 

 

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矢作産業 株式会社のコンサルティング事例(型技術2019年1月号掲載)

矢作産業 株式会社のコンサルティング事例

本号で紹介する加工メーカーは、矢作産業株式会社(愛知県豊田市 TEL0565-31-0650)である。

 

同社は自動車部品製造において、量産から試作まで幅広く携わっており、プレス、切削加工、部品アセンブリなど、多岐に渡って対応している点が技術面の強みである。

 

筆者は、同社が事業拡大を図っている5軸マシニング加工の技術者研修を担当させていただいている。

 

今回の5軸加工研修は、CAM操作主体の研修とは異なり、同社の強みである複数タイプの5軸マシニングの特性に対し、それぞれ異なった5軸加工の手法を、5軸加工用CAMであるhyperMILLでどう実現していくか、そこに着眼した内容で行った。

 

本号では、各種5軸マシニングを活かしたデータ作成方法と共に、今回の研修の取り組みを紹介したい。

 

同社の5軸加工の強み

同社の5軸加工の強みとして、大型の門型5軸、トラニオンタイプの中型5軸、旋盤主軸を持つ複合加工機タイプと、様々な形の5軸マシニングを設備している点がある。

図1 同社の門型5軸マシニング

 

図2 同社のトラニオンタイプの5軸マシニングと複合加工機

 

新日本工機(株)製の門型5軸マシニングは、5000×2500ミリの大型テーブルを持ち、主軸ヘッドが旋回および傾斜する5軸加工を行う。これにより、ワークは常にXY平面のみ移動することで、高い平面精度の加工を行うことができる。

 

三井精機工業(株)製の5軸マシニングは一般的なトラニオンタイプであり、ワークを置くテーブルが旋回および傾斜する。ワークの置き方によっては、5軸動作の際、同社の機種の中では、最も旋回距離の少ない5軸加工を行うことができる。

 

ヤマザキマザック(株)製の複合加工機は、NC旋盤にエンドミル工具を用いた5軸加工ができる機構を持ち、旋盤主軸の回転と、工具主軸の傾斜によって5軸加工を行う。同社の5軸マシニングの中では、最も大きなアンダーカット加工を行うことができる。

 

3機種の異なる構造に合わせた削りかた

3機種の長所短所に応じたCAMデータ作成が必要であり、それぞれの機種における留意点と加工ポイントは次のとおりである。

 

主軸ヘッドが旋回・傾斜する門型5軸マシニング

主軸ヘッドが5軸動作を行うため、長い工具を用いた派手な動きの旋回動作を行うと、激しくワークも追従して動くことになるため、CAMデータは注意が必要である。

したがって、仕上げ加工に5軸動作を用いる際は、同機の高い平面精度を活かした、割り出し5軸加工にて、広範囲の仕上げ加工を行う点がポイントである。

トラニオンタイプの中型5軸マシニング

5軸加工の旋回動作を行う際、ワークと工具の移動を少なくするためには、テーブルの中心にセットすることがポイントである。
工具主体で見た場合、他機種よりも安定した動きをとることができ、機械精度への配慮をそれほど気にせず同時5軸加工を用いることができる。

ただし、背の高いワークにおいて傾斜角度を可変しながら行う5軸加工を行う際には、大きく頭を振りながらの動作になるため、その際は割り出し5軸加工で対応するなど配慮が必要となる。

旋盤主軸を持つ複合加工機タイプ

旋削加工がベースとなっているため、3機種の中では、最も高い旋回精度を持っており、仕上げ加工で5軸動作を用いる際には、割り出し5軸よりも、むしろ傾斜軸を固定した同時4軸加工を積極的に活用する。

また、工具主軸の旋回角度においては、他の2機種は90~110度ほどが限界であるが、2スピンドルの旋盤加工に対応するため180度まで旋回させることができる。これにより、他の2機種には対応できないアンダーカット部の5軸加工が可能となる。

 

5軸加工における荒取り、仕上げの削りかたと機種ごとの考え方

そもそも5軸加工には、割り出し5軸と同時5軸という加工があり、割り出し5軸は、ワークに対し工具を傾けた加工を行うが、4軸目・5軸目は固定したまま同時3軸加工を行う方法を言い、同時5軸は、XYZの3軸に加え、4軸目・5軸目も可変させながら加工する方法を指す。

 

同時5軸加工を用いると、短い工具でも高い壁や深い溝においても、自由な動きでホルダー干渉を避けながら加工することができ、非常に便利である反面、工具やテーブルの旋回中心位置精度の管理や、ツール長さなどの段取り精度が、積み重ね誤差として仕上がり加工精度に影響するため、±0.01~2ミリといった寸法精度で加工することは非常に難しい。

 

割り出し5軸加工であれば、工具やテーブルの傾斜を固定したまま加工を行うため、その旋回角度精度は事前にセッティングすることもでき、同時5軸加工よりも加工寸法は出しやすい。

 

同社が扱うプレス金型のような加工寸法を要求される加工においては、派手な動きの同時5軸加工は荒取りにこそ使うことができ、仕上げ加工では割り出し5軸を用いるべきである。

 

コンサルティングでの取り組み(hyperMILLの3D加工、5軸加工での活かし方)

5軸加工においては、CAMの活用が欠かせないが、同社は、筆者と同じくhyperMILLを使っている。

 

hyperMILLは、高い壁やアンダーカット部、深い溝など、工具の侵入が困難な部位を加工するために便利な機能が色々盛り込まれている。

 

今回の研修では、実際の金型部品や機械部品を題材として取り上げ、そういった困難な部位をどういった機能で加工するかを中心にカリキュラムを組んでいる。

 

例えば、3軸加工においては、標準の送り速度が出せるレギュラー長さ工具で可能な限り多く除去加工を行い、同じ径で、段階的に長い工具を使っていく。

 

hyperMILLは、こうした工具長さによる加工エリアの分割が簡単にできる。やむを得ず工具突き出し長さが長くなり、送り速度を下げなければいけない加工をできるだけ少なくするプロセスを簡単に組むことができる。

 

また、5軸加工においては、同社の3機種に適した題材の加工ワークを選定し、それぞれの機械の持ち味を活かすための研修を組んでいる。

 

門型マシニングにおいては、荒取り加工でフレキシブルに同時5軸加工を用いて使用工具の長さの種類を少なくし、仕上げでは動作の安定した割り出し5軸加工を使って仕上げる。

 

トラニオンタイプの中型5軸マシニングにおいても、やはり仕上がり精度を気にしなくてもよい荒取りは同時5軸加工を使うべきところには使い、仕上げ加工においては、レギュラー長さ工具は、最も速い標準の送り速度が出せるため、レギュラー長さ工具で行う3軸加工と、ホルダー干渉が発生するエリアを分割し、3軸加工で届かないエリアで同時5軸加工をフル活用する。

 

複合加工機においては、円筒ワークを中心に、同時4軸加工をフル活用し、外観品質と仕上がり寸法精度の良い加工を行う。

 

今回の研修では、こうした点を押さえた実践カリキュラムを行った。

 

同社における今後の5軸加工の活用

今回の研修により、同社の加工オペレーターは、強みである複数タイプの5軸マシニングそれぞれの持ち味を活かすスキルを習得することができた。

 

昨今、5軸加工は自動車部品だけに留まらず、様々な分野で活用されており、同社も今後さまざまな分野でその技術・設備を寄与させていく計画がある。

 

応用性の高い5軸加工技術を用いた今後の同社の事業戦略に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング

代表:村上 英樹(中小企業診断士)

愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

 

株式会社 建和のコンサルティング事例(2018年11月号掲載)

株式会社 建和のコンサルティング事例

本号で紹介プレスメーカーは、以前登場した株式会社 建和(愛知県安城市 TEL 0566-92-6295)である。同社は、自動車部品において60tプレスから300tまでのプレス量産加工を行い、最新のサーボプレスも有効に活用している。

 

同社で発生している問題とその発生原因

440Mpaから980Mpaといったハイテン材を扱う同社では、特にショット数の多い順送型などにおいて、メンテナンス頻度が従来よりも多く発生しているという問題が生じている。

図1 破損したパンチの事例

 

特に、社内で設計製作した金型よりも、協力メーカーの金型メーカーに設計製作を依頼した金型に多く問題が発生していた。

 

その原因の一つとして、プレスメーカーにて1万、10万ショット以上打った後の金型の状態を、金型メーカーが詳細に把握できておらず、必要な強度で金型を設計できていないためだと筆者は考えている。

 

金型メーカーでは、どこまでの強度の構造を持つ金型を設計すればよいか、どれだけの強度の金型材料を用いればよいか、考慮することが難しくなっていると考えられる。

 

また昨今は、金型にかけられる予算が限られており、厳しいコストで金型製作をしなくてはならないため、金型メーカーとしても過剰な品質の設計は避けたいところである。

 

とはいえ、金型メーカーの力量が劣ってきたとか低下しているということではなく、590Mpaを超えるハイテン材の順送プレスなど、大ロットのプレス加工において、未知なることがまだまだ多く、金型メーカーとしても情報を蓄えきれていないのが実情なのだと筆者は考えている。

 

具体的な問題事例

同社で発生している金型破損・故障の多くは、①応力集中・座屈、②金型材料の選定、に起因している。

 

例えば、応力集中を起因とする破損例として、抜きや曲げのパンチに多く発生している。

 

応力集中とは、パンチなどにある凹形状部において、ピン角やごく小さな凹R形状があると、プレス加工時にかかる負荷により、パンチにかかってくる荷重が分散されず、そのピン角部や小さなR部に集中して負荷がかかってくる現象である。

 

これにより、強度計算上、折れない太さ・長さのパンチであっても、応力集中がかかってくる部位で破損してしまう確率が非常に高くなってしまう。

 

こういった形状を持つパンチは、協力メーカーで製作された金型に多かった。この傾向は現場経験のある筆者もよく理解できるが、角部にわざわざ大きな凹Rをつけるためには、エクエアエンドミル加工にくわえ、ボールエンドミル加工も追加する手間が発生する。もしくは大きなR形状を持つラジアスエンドミルを使わなくてならず、加工形状によっては使えない場合も発生する。

さらに、せっかく5Rなど応力集中を緩和するための適切な大きさを持つ凹R部を、ボールエンドミルを使って加工しても、先行して加工しているスクエアエンドミルとの境界部に微小なピン角が残っているため、そこから破損しているという事例もみられた。

図2 ボールエンドミルとスクエアエンドミルとの境界部

 

またせっかくボールエンドミルにより、大きな凹R形状が加工されていても、その切削加工面が粗いと、その粗い面の凹凸が微小な凹形状となってしまい、そこへの応力集中によって破損が発生することもある。

 

もう一つ、②の金型材料の選定による故障も発生していた。

 

例えば、抜き加工を行う金型において、パンチを保持するパンチプレートの材料について、安価なSS400を使って製作する金型メーカーは多いが、1万ショットを超える量産に使った金型をメンテナンスのため分解すると、パンチを保持するインロー部がグラグラになってしまった状態をよく見かける。

 

これについては、ハイテン材ではない普通材や、薄板の小ロット生産であれば問題ないかもしれないが、ハイテン材や厚板の順送プレス加工においては、最低でもS50Cや焼入れ処理した硬いプレートを使わないと、前述したようなグラグラな、きちんと保持できない状態になってしまい、抜き加工時に発生する衝撃により一気にパンチの摩耗・破損が進んでしまう。

 

パンチの下にあるバッキングプレートに焼入れが入っておらず、やはりSS400が使われている金型も多く見かけるが、ハイテン材をプレスする金型においては、SK105を焼入れしたプレートを使うか、パンチの下に焼入れ処理した入れ子プレートを入れるなどの対応をとりたいところである。

 

こうしたハイテン材などの難加工材を扱ううえでの諸問題のデータベースは、今現在、金型メーカーよりもプレスメーカーの方に多く蓄えられており、プレスメーカーにとってこれは大きな財産であると言える。

 

プロジェクトの立ち上げとコンサルティングの取り組み内容

そこで、代表取締役である山本道典氏は「壊れない金型づくり」をテーマに、プロジェクトとして立ち上げ、筆者と共に、自社で扱う金型を根本的に見直していく取り組みを行った。

 

具体的な取り組みステップは、次のとおりである。

  1. 基礎学習
  2. 実践応用

 

まずは、設計と製造の主要スタッフが、金型に要求される強度や、金型が壊れるメカニズムなどの基礎知識を持つための研修を行うことから始めた。

 

例えば、金型で使われる主要パーツの強度はどのように計算するべきか、金型材料の特性の違いはどのようなことがあるのかなどを学習した。

 

実践応用のステップでは、実際に破損した金型やプレス製品を事例として取り上げ、学習した基礎知識と照らし合わせ、そもそも必要であった金型要件からどのようなギャップがあったのかという視点から原因を調査した。

 

とかく金型修理については、長時間プレス生産を止めることができないことから、早急な応急処置対策を取ることが多くなるが、本来あるべき金型構造・金型強度とのギャップ分析から金型改修を行うべきである。

 

そのためには、金型設計者だけではなく、保全に関わる者も、金型構造・金型強度に関する基礎知識を持っておくべきと筆者は考えている。

 

コンサルティングの効果と同社の今後の取り組み

今回のプロジェクトにより、同社の金型改修は、応急対策・恒久対策を切り分け、計画的に進めていく体制を作ることができ、今現在、筆者と共に着手している。

 

今後の同社の取り組みとして、前回登場の際、書かせていただいたように、以前はアウトソースしていた金型製作を3年前より内製化できる体制を構築しており、解析技術や全工程の3次元データ活用、自動スケジューラーなど、積極的に最新技術を導入している。

 

その最新技術の進化形である次なる取り組みとして、3次元設計の自動化・高効率化や、プレス解析の最適化技術などの活用も、大学やITベンダとも連携しながら進めている。

 

最新技術の導入に加え、プレスメーカーとして日々蓄えている実績・経験のビックデータを、ハイテン材プレス金型の質向上という形で新たな強みとし受注競争力UPを図っている。

 

ソフトウェアの最新技術のみならず、技術者の基礎・応用能力UPとの両面で、同業他社との競争力向上を図っている同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング

代表:村上 英樹(中小企業診断士)

愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054