CAD/CAM買い替え稟議を上げる際のあるべき費用対効果の考え方について

CAD/CAMの買い替え稟議について
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CAD/CAM買い替え稟議を上げる際のあるべき費用対効果の考え方について

今回のテーマは、設計作業などで現在使っているCADよりも、より高機能で効率的に作業できるCADが見つかり、それを購入するための稟議書を上層部に提出する際に必要となる費用対効果の考え方についてです。

ここでよく問題になるのが、その数百万円する新たなCADを購入するにあたり、これが新規導入ではなく買い替えとなるため、今使っているCADよりもどれだけ作業時間が短縮され、その短縮がいくら分の金額効果になり、何年で元が取れるのか、そもそも元が取れるのか、購入する価値があるのか、という議論が沸き起こることです。

短縮効果だけで考えても辛い

私はコンサルタントとして、設計部門の改善改革をお手伝いすると、前述したような稟議の場面に立ち会うことが多いのですが、実際に稟議書を書く担当者は大変苦労されています。

最近の設計ソフトの進化はめざましく、たしかに、支援機能がないハイエンドCADから金型設計の支援機能が充実したミッドレンジのCADに切り替えると、各段に作業効率は上がります。

実際に設計する作業者からすると、特にその効果は実感できます。

ところが、これを金額効果に置き換えると、「ん?・・・・こんなもんか?」と思うことがあります。

例えば、とある金型の平均設計リードタイムが10日かかっているとして、それが新たなCADの導入により2日短縮できるとします。

1日8時間×2日=16時間、設計作業のチャージ金額を5千円として計算すると、一型あたりの導入効果は8万円となります。

一人が使う新しいCADの購入費用を500万円とすると、ざっと63型やらないと元が取れない計算になります。

この型数を多いととるか少ないととるかは会社ごとに異なると思いますが、結構多いのが「そんなにやらないと元が取れないんだ、じゃあ導入は無理だな」と考えてしまうことです。

買えたとしても、稟議を通すまでの説得に、とても長い日数がかかってしまうこともあります。

では本当に、こうした設計ソフトの費用対効果は、削減工数をベースに考えるのが正しいのでしょうか。実際にソフトを使う立場となる設計者が、実感として効果を感じるあの感覚は錯覚にすぎないのでしょうか。

ボトルネック工程の買い替え導入は、受注ベースで考える

ではこの点についてどのように考えるのが正しいのでしょうか。

これは設計工程に限らないのですが、ボトルネック工程、つまりある工程が一杯一杯であるため、引き合いが来ている新規案件をこれ以上受けることができない場合、その工程に対し効率を少しでも改善し、新たな金型や新規案件を受注できるなら、その工程への導入投資は大当たり・成功ということになります。

設計工程は先頭に立つ工程であり、スタートとなる社内工程であるため、「設計キャパ=社内の製造キャパ」となるケースは多いと思います。

そういった意味で今回のコラムテーマは、「設計のための」CADソフト買い替え導入の費用対効果をどう考えるべきかという論点になったわけです。

さて話は戻りますが、このボトルネック工程買い替え導入の費用対効果については、現状の作業工数が何時間とか何分削減できるかという論点よりも、その削減効果で、新たな新規受注をどれだけ取れるかという論点で考えます。

例えば、自社が受注している金型の平均単価が500万円だったとして、そのうち材料費と市販部品費、外注費などを差し引き、会社に残る付加価値額が6割の300万円だったとすれば、先ほどの設計リードタイム2日削減で得られる8万円どころの効果ではなく、CADの買い替え効果で、一型でも追加で多く金型を受注できれば、300万円もプラスして、会社に残るお金が得られることになります。

それならば投資する方が良いということになります。

実際にCADを触る設計者さんが、仮に稟議書にはうまく費用対効果を表現できなかったとしても、実感として高い効果が得られると感じていた感覚の正体は、この追加受注につながり、より多く儲けられるようになることだったと言えます。

工数短縮だけでは意味がない

逆の言い方をしますと、先ほどの例のように設計リードタイムを短縮できたとしても、それだけであれば、実際の投資効果はでません。

設計担当者さんの空き時間ができるだけか、もしくは慢性的な残業・臨出に苛まれていましたら、それを軽減する効果はあると思います。

ですが、あくまでその分の労務費削減までです。設計工数が削減したからといって、残業代以外に設計者さんのお給料が当然に減るわけではありません。

したがって会社としてはやはり、その工数短縮によってできた余力時間に新しい仕事を受注するか、外注していた分を内製に取り込まない限り、実際の儲けにはなりませんし、本当の意味の「元を取る」ことにはつながりません。

ボトルネック工程でないのであれば・・・

以上、ボトルネック工程における買い替え投資においての費用対効果の考え方について見てきました。

こうしてみると、買い替え投資は慎重になるべきで、逆にボトルネック工程でないのであれば、私はその投資そのものを控えることも検討すべきかと思います。

結局、設計リードタイムが短縮できるとは言っても、ボトルネックが設計ではなく後工程の製造の方で、設計はむしろ空き気味という会社の場合、言葉を選ばずに言えば、あくびをしてる時間が増えるだけで、むしろその予算は他のボトルネック工程を解消し余力を作るために回した方がよっぽど会社の収益はUPします。

この場合、工数短縮の効果が金額でいくら分だとか、そういう次元の話ではありません。

仮に10日の設計が半分になるとはいっても、後工程がボトルネックになっているため、新規の追加受注ができないのであれば、本当の意味での効果は得られないということです。

とは言え、設計工程がボトルネックというわけでなくても、慢性的に納期遅れになっているとか、同業他社に比べて設計リードタイムが長いとか、設計を含めた全体での最短リードタイムを実現したいというような場合には、設計工数の削減に狙いを絞った新しいCADの導入は望ましいということもあると思います。

まとめになりますが、まずは、(ア)買い替え導入か、(イ)そうではなく自社では全く新しいソフト・設備の導入か、の違い、次に、(A)ボトルネック工程か、(B)ボトルネックではない工程のソフト・設備の導入か、

この(ア)か(イ)か、さらには(A)か(B)か、これらの違いにより費用対効果の考え方は異なるということをご理解いただければと思います。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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