「エンドミル加工、底面仕上げの送り条件は、まだ早くなりますか?」
先日このような相談をいただきました。
実際に使用していた工具は、
- 超硬フラットエンドミル 6枚刃 φ16
でした。
さっそく、普段使っている条件で加工していただきました。
加工条件:S800 F200
被削材:S50C
その条件で加工した切削面の拡大写真が、次のものです。

Rz値を測ったところ、6.3zぐらいでした。
では次に、下記の条件で、同じように、底面仕上げの加工をやってもらいました。
使用工具:スローアウェイ 超硬チップ φ16 ノーズR2 2枚刃
加工条件:S3980 F1780
仕上がり面の拡大写真は、次のとおりです。

Rz値を測ったところ、同じく6.3zぐらいでした。
どうでしょうか。
相談企業さんは、主に小物の精密部品を加工しているのですが、オペレーターの方は、普段から、前述したフラットエンドミルを使って、S800 F200の条件で加工していました。
これは、切削速度に換算すると、
- Vc=40m/分
ていどになり、超硬エンドミルを使って、S50Cを仕上げ加工するには、かなり物足りない条件です。
そこで、同じマシニングセンターのマガジンにセットしてあった、同じφ16のラジアススローアウェイ工具で、底面仕上げ加工してみた、というわけです。
それで加工した時の切削速度は、
- Vc=200m/分
です。
同じRz値6.3zとはいえ、スローアウェイの方の条件は、F1780ですので、およそ9倍の送り速度が出せています。
このF1780は、6.3zを狙った計算式から算定したものです。
このように、少しでも効率的な工具を選び、定量的に計算式を使って、狙いどおりの加工条件を出していけば、より効果的にマシニング加工、フライス加工の生産性を改善していけます。
ぜひチャレンジしてみてください。
※ 実際の加工においては、工具材種だけでなく、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の加工においては、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。
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