プレートなどドリルでの穴あけ加工をもっと早くしたい
先日、プレス金型を構成するプレートの穴加工をもっと早くしたいというクライアント先の相談を受けましたので、まずは超硬ドリルの活用を提案しました。
当事務所がサンプルとして持っている、ミスミ製の超硬ドリルを使用し加工テストをしました。
加工条件は次のとおりです。
- 工具径:φ9.7ミリ
- 切削速度:Vc=70m/分
- 回転あたりの送り:0.2mm/rev
Gコードは次のようにプログラムしました。
高速深穴サイクルを使って加工しましたが、切りくずの出方と加工深さしだいでは、リトラクト動作は不要かもしれません。
さて上記の条件で、いくつか穴を加工してみましたが、ドリルの状態は次の写真のとおりでした。
まずは、刃先先端部の写真。
逃げ面磨耗は、まったく発生しておりません。

次に、すくい面側からの写真。

反対側も。

まったく問題なさそうです。
ハイスの黒ドリルの切削速度は、20m/分くらいでしょうか。
OSG社のVPドリルや、EXゴールドドリルなど、コーティング・ハイスドリルでしたら、30m/分くらいでしょうか。
したがいまして、回転あたりの送り量を同じとした場合、切削速度は2倍以上の速さで回転させることができましたので、2倍以上の生産性を発揮することができそうです。
ただし、クライアント先の担当者さんも懸念しておりましたが、工具材種としての靭性はハイスの方が高いので、超硬ドリルによる高速穴あけ加工は、夜間の無人運転などには向かないと思います。
しかし、機械加工に特化した加工メーカーさんの中には、長時間かけてじっくりと無人加工で穴あけをするのは勿体なく、例えば、NIKKEN社のコンバットドリルなどの超硬チップ式ドリルを0.5ミリずつの径で取り揃え、日中の有人加工のみで高速に穴あけ加工を済ましている会社さんもあります。
金型メーカーの機械加工においても、日中と夜間、精度穴とキリ穴、といった状況や穴の種類によって工具を使い分けることで、まだまだ生産性を上げられる余地もあります。
先ほどのテスト加工での加工精度においては、ダイヤルゲージで測定した穴の垂直度は、0.001/15ミリでした。
この精度により、リーマの下穴の加工方法を改善した会社さんもあります。
以上、穴あけ加工の高速化に関するレポートでした。
もしよろしければ、御社でも取り入れてみてください。
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