第2回目、プレス板成形のCAE検証:市販専門書の実践検証「プレス加工のツボとコツQ&A」

目次

第2回目、プレス板成形のCAE検証

市販専門書の内容を使って実践検証する当サイトの企画の2回目です。

前回、「プレス加工のツボとコツQ&A」という専門書を第1回目ということで、とりあげました。

引き続き、本の64ページに書かれている「フランジのある製品を曲げるとフランジにしわが出る」の続きを見ていきます。

このフランジ曲げですが、下図2-41に書かれているとおり、第2工程で曲げられると、フランジ部は圧縮されるため、挫屈が発生します。

図2-41 フランジのある製品の曲げ加工
図2-42 圧縮応力による挫屈としわ

そこで、下図のように、圧縮される部位の板幅をカットする対策が、本書に記載されています。

図2-43 曲げ部のフランジ高さを低くした例

前回、当事務所で使用しているシュミレーションソフト、LS-Dynaを使ってシュミレーションしたところ、やはり上の図2-42のように、挫屈の現象が表れました。

板厚のコンタ表示

そこで今回は、上の図2-43に習い、ブランク形状をカットして、シュミレーションにかけてみました。

修正したブランク形状

前回のように、L曲げを先に行い、2工程目にフランジ曲げを行ったところ、下図のようになりました。

修正したブランク形状のフランジ曲げ後

輪郭形状を少し凹ませ過ぎたようです。そこで、少し微調整してみます。

再度、修正したブランク形状

再度、シュミレーションにかけてみました。

再度、修正したブランク形状の2工程目のアイソメ図

先ほどよりも、凹みが緩和されました。

真横から見てみると・・・

再度、修正したブランク形状の2工程目の側面図

やはり凹みが緩和しているようです。

もう少し、ブランク形状を微調整してみます。

3回目の修正ブランク形状

このブランクの、2工程目の成形後は、下のようになりました。

3回目の修正ブランク形状の成形後1
3回目の修正ブランク形状の成形後2

おっと、今度は若干膨らんでしまったようです。

再度また、微調整をかけます・・・といったように、実際の展開形状を出す作業は、このようにやっていくわけですね。

シュミレーションが無かった時代、私も現役時代はさんざんやりましたが、トライ用のプレス機に金型を取り付けておき、ワイヤーカットやレーザーでカットした展開の予測形状のブランク板を、プレスしながら、もし製品寸法が違えば、再度微調整し、目的の製品形状になるまで、何度も展開形状を修正してはプレスし、探っていきました。

しかも、加工後の金型の成形部に問題が無ければよいのですが、そもそも製品にカジリが出たり、当たり傷が出たりすると、展開出し作業の前に、金型修正の作業が入ります。

シュミレーションという便利なツールがある今では、展開出し作業をコンピューター上で行うことができることで、実際に金型を製作してからプレス作業を行う場合と比較して、効率的に行うことができると思います。

しかも、金型形状を変えるという大作業が発生しても、コンピューターの中であれば、実際に加工するよりは、少ない工数で行うことができます。

さて、再度、微調整した結果が、下図になります。

4回目の調整後のブランク
4回目の調整後の成形後1
4回目の調整後の成形後2

今、市販されているシュミレーションソフトは、展開形状を自動計算してくれる機能があります。

ただ今回は、そもそも展開出し作業はこのように行っていくもの、材料はこのように動くということを知る機会として、昔ながらの手順を踏襲してシュミレーション作業を行いました。

このように、「市販専門書の実践検証」は、答えを示してくれている専門書の内容について、自らその根拠を探索していくという企画になります。

引き続き、フランジ曲げについては、別の機会でも触れていきたいと思います。

当事務所では、実務に活かせることを重点においた、基礎学習、応用学習をサポートしておりますので、ご興味ありましたら、お問い合わせください。

参考文献「プレス加工のツボとコツQ&A」 著者:吉田弘美 著 出版社:日刊工業新聞社 出版年:2008

※ 実際の加工においては、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の対処については、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

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代表:村上 英樹(中小企業診断士)
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