特定課題に対する現場診断の報告書事例のご紹介

自動車メーカーの特定課題の診断事例

前回のコラムでは、ある射出成形の金型メーカーについて、設計やマシニング加工など、さまざまな工程から現場診断を行った報告書の事例を紹介しましたが、今回は、企業が抱えている特定の課題について診断の依頼をうけた場合の診断報告結果をご紹介します。

ある自動車メーカーの金型部門からの診断依頼

診断依頼内容

金型における、主に3D加工面について品質に問題箇所があり、その原因と対策についての診断

診断の内容

加工現場の見学及び、現状プロセスのヒアリング、CAMオペレーターから直接、加工パスの現状診断を行った。

また加工後の金型加工面を目視確認したところ、アプローチ痕と思われるキズや、凹コーナー部での工具ビビリによる食い込みなどが見られた。

診断結果

荒取り→中仕上げ→仕上げというプロセスにおいて、押さえるべきセオリーに基づいて担当者にヒアリングを実施したところ、下記の事例のようなセオリーとのギャップが見られた。

  • 荒取り・中仕上げ工程の意義に認識不足が見られ、それにより特に、最終仕上げ前に行うべき中仕上げ加工での内容に不足が見られるなどの問題点が確認された。
  • 荒取りと中仕上げ後に行うべき切削シミュレーションの確認作業に不足が見られた 。

CAMオペレーターから過去に実際に作成したパスを見ながらヒアリングを行ったところ、次のような課題が見られた

  • アプローチ痕についてはパスの出方に問題があるとの本人の自覚があった。しかし現状、改善の方策が見当たらないとのことであった。
  • 隅部削り残り加工のビビリについて一部本人の自覚があったが、これについては使用しているCAMの機能にも問題が見られた。
    また、等高線と走査線加工を分けていないため、特に角度が立っている隅部については、高い確率でビビリが発生するパスになっていた。
  • 等高線加工と走査線加工の使い分け、最終仕上げと中仕上げでのパスの作り方と加工条件の使い分けによって、加工工数を削減する伸びしろがあることが確認された。

診断結果と今後の方向性

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