前倒し生産で日あたり売上を高める!差し立ての効果的な実践法

【改訂版】責任感や使命感の薄い社員にどう対処する?
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前倒し生産で日あたり売上を高める!差し立ての効果的な実践法

私が普段、金型メーカーや部品加工メーカーのコンサルティングを行う中で思うことは、やはり「日あたり売上」を意識できていないという現場が結構多くあるということです。

そういった現場で実践してもらうのは「前倒し生産」を意識した差し立てです。

差し立てとは、下図のような、機械や人について、毎日の作業を時間単位でスケジュールした日程計画です。私はこれを小日程計画と呼んでいます。

差し立てのイメージ図
差し立てのイメージ図

さて、ここからが今回のテーマになりますが、「前倒し生産」による日々の差し立てを、効果的に実践してもらうためのポイントが次の2つになります。

  1. 工程納期の管理と差し立ては明確に使い分けること
  2. 現場に納期を開示しない

ではここから、これらがどういう意味を持つのか解説していきます。

工程納期の管理と差し立ては明確に使い分ける

一般的に、部品加工において、個々の部品は着手する前、マシニングや放電加工、研磨加工などの工程順に分け、それぞれに工程納期を設定します。

いわゆるこれが、私が中日程計画と呼んでいる、金型や仕事の案件ごとではなく、それを構成している部品ごとに作る工程計画です。

中日程計画のイメージ図
中日程計画のイメージ図

例えば、最終納期から逆算すると、研磨工程はいついつまでに、放電加工はいついつまでに、マシニング加工はいついつまでに、といった具合です。

したがって、この決め方での工程納期は「後ろ詰め」の方式で設定されていることになります。

さて、「後ろ詰め」で設定されたそれぞれの工程納期に間に合わせることを優先して仕事に着手していくと、現場は「日あたり売上」を意識しない日程計画で仕事をすることが多くなりがちです。

それを防止するため、やはり工程ごとの納期は「最後の保険」として、日々の差し立てとは切り分けて、毎日設定する日程計画(差し立て)は、今日一日どれだけ売り上げるのかを意識した「日あたり売上」に基づく日程で計画を立てるべきです。

これが見出しである「工程納期の管理と差し立ては明確に使い分ける」という意味になります。

最後の保険である工程納期の設定は「後ろ詰め」で行うことになりますが、日々の日程計画である差し立ては「前倒し」で設定するのが望ましいということです。

ところが、このような「前倒し」の日程計画は、得てして現場のオペレーターに理解されないことがあります。

そこで、この「前倒し生産」を具体的に実行する手段として、次の見出しになる「現場には納期を開示しない」という対策案が出てきます。

現場には納期を開示しない

これは、実際に私が現場で係長をやっていた時にとっていた方策です。

営業にも現場の作業者には「納期を教えないで欲しい」と頼んでいました。

なぜそうしていたかですが、理由は作業者が納期を知ってしまうと、それに合わせて勝手に「後ろ詰め」の方式で着手日を決めてしまったり、日程に余裕があれば作業スピードを落としたりしてしまうことがあるためです。

自分としては、できるだけ「前倒し」で仕事を進め、後ろの日程を空け、次の仕事をそこに入れていきたいのですが、作業スピードを落としたり、着手日を後ろにずらしたりしてしまうと、そのような「前倒し」の日程計画が実現できなくなってしまいます。

そこでとった方法が「現場には納期を開示しない」という方法です。

その代わり、お客さんへの納期に間に合わないなどの問題が起これば、それは私の責任になります。

その反面、こちらが決めた日程計画について、各作業者は自分で責任をもって終わらせてもらいます。早く終わればもちろん定時で帰っていいですし、有給を取ってもらっても構いません。

また、差し立ても自分が行うため、「日あたり売上」が充分に達成できない場合も、上司である自分の責任になります。

現場リーダーである自分に大きな責任が伴いますが、このようにトップダウンで一日の仕事量を決めてしまう方が、目標とする「日あたり売上」を実現することができました。

一方、現場の各作業者には責任が伴わないかというとそうではなく、結果的に120%になる仕事量を詰め込まれた各作業者は、その日自分に割り当てられた仕事が終わらないと堂々と帰れないという点で、各作業者にも責任が伴っていると言えます。

したがって、この「前倒し」方式の差し立てを行うリーダーは、110%でもなく130%以上でもない、手が届かないわけでなく、適度に120%詰め込んだ量の仕事を差し立てするわけです。

まとめ

とは言え、実際のコンサルティングの現場では、特に「前倒し」の日程計画を導入してもらおうとすると、何かしら理由をつけて反対意見が出ることもあります。

例えば、2時間くらいの残業をして「前倒し生産」を行ったが、その後空きができて、仕事が定時割れしてしまったが、これなら「前倒し」する必要はなかったのでは、といった理由です。

ですが、こういった場合は、念願の教育時間が出来たと捉え、隙間時間の活用としてOJTや自主トレーニングの時間に当ててもらっています。

特に、普段忙しくてスキルアップしている暇が無いといった現場では、「前倒し」による教育時間の捻出は必須の取り組みだと言えます。

さらに「仕掛かり在庫」についても理由として取り上げられたことがあります。

「前倒し」でどんどん加工していっても、仕掛品が溢れ、後工程で着手待ちができるくらいなら、わざわざ残業してまで「前倒し」する必要はないのでは、といったものです。

ですが、もし仕事量が飽和している現場においては、特に上流工程や前工程において、仕掛かり在庫を多く作っていくことは、後工程にとって差し立てするネタが多く出来ることになり(弾が増える)、稼働率を高めることに寄与します。

ですから、仕事量が飽和している多品種少量生産の現場にとっては、「仕掛かり在庫上等!」なのです。これは一般的な生産管理のセミナーでよく聞かれる大ロット向けのセオリーとは真逆の考え方になります。

さて、冒頭にお伝えしたように、私が多くの現場を診断すると、工程納期の管理と差し立てが混同されているケースを多く見かけます。

工程納期はあくまで「最後の保険」であり、これだけで現場のキャパが決まるわけではありません。

いつまでに終われば間に合うかを把握したうえで、どこまで仕事を詰め込むことができるか(前倒し)を考えていくことが、儲けるための差し立てになります。

したがって、部品ごとの各工程にかかる工数を見積もりできない生産管理の担当者さんが決めている差し立ては、全部がそうとは言いませんが、儲けるための前倒し日程(差し立て)を作ることが難しくなると思います。

やはり加工をわかっている現場リーダーが、出来る限り「前倒し」した差し立てを行っていくことが望ましいと思います。

そういった場合は、工程納期の管理(最後の保険)は生産管理の担当者、キャパの管理(前倒しの差し立て)は現場のプレーイングマネジャー、として役割分担するのが良いのではないでしょうか。

さて、御社の現場はいかがでしょうか。参考になれば幸いです。

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