金型メーカーの設計業務は分業した方が良いのか、それとも・・・
これはあくまで私が見てきた中での統計ですが、設計業務は、1人の担当者が構想から構造、最後の部品図作成、その後の材料・部品表の作成まで全てを完結させるスタンスをとっている会社よりも、設計プロセスを分業している会社さんの方が手離れよく、多くの型数をこなしているように見受けられます。
私は、プレスメーカー・成形メーカーの金型部門や、売り型メーカーなどの力量は、「何トンクラスの金型を月何型作れるか」で、見ています。
例えば、私のクライアント企業では、400トンプレスに乗せる順送金型を月4型作れることを目標にしていたり、300トンプレスに乗せる順送金型を月10型作れる体制づくりに取り組んでいたりします。
このように多くの金型を作るためには、最上流の金型設計を手離れよく完了させていかなければいけないことは明白で、外注設計を使うこともあるかと思いますが、やはりまずは社内の設計をいかに効率よく完了させていくかを考えなければいけません。
そこで出てくるのが、設計の分業化です。
ただし、社内に数名いる設計者全員が熟練者レベルであれば、この分業は必要ないかもしれません。
基本の考え方は、料理の厨房で例えると、
キャベツの千切りまで調理職人がやるのか?
になります。
そもそも、金型設計の工程を細分化すると、
- 構想設計
- 構造設計
- 部品図作成
に、なりますが、特に一番熟練を要する①と、②③を切り離している会社は多いです。
理由は、成形ノウハウ(①で必要)と、金型構造の設計ノウハウ(②③で必要)は別物だからです。
突き詰めると、これら2つのノウハウはそれぞれ別個の教育が必要になります。
なお、3次元設計の作業は、②と③が一体化していると言えますが、ここでも分業している事例があります。
ある程度、構造部のレイアウトやプレートや部品のサイズ調整・配置が完了したら、残るは市販部品や締結部品の配置の作業になるかと思いますが、その作業は社内で標準化されていたり、CADの自動機能があれば、熟練者でなく設計アシスタント的な人でも充分に対応できます。
そこで熟練者は下図のように、市販部品や締結部品を配置する場所に、種類やサイズが分かるよう色分けした円要素を置いておき、自分の作業はここまでとして、次の金型の設計作業に移ります。

一方、設計アシスタントの人は、この状態から自動機能などを使って、市販部品や締結部品などの配置を行っていき、そのまま設計完了まで持っていきます。

また、2次元設計であれば、すでに分業体制を敷いている会社は結構多く、前述した①~③に細分化された設計工程のうち、①と②③を分離(構想設計を専任)、①②と③を分離(部品図作成のみアシスタントへ)、①②③を全てを分離、と様々なスタンスがあります。
これらのコンセプトはやはり「キャベツの千切りはアシスタントへ」が基本となっており、熟練者が得意とするところに集中してもらうための体制ということになります。
設計のリードタイムそのものを見ても、これは金型そのものの仕様が会社ごと異なるため、単純な比較はできませんが、プレス金型で言えば、順送金型を3~5日で設計してしまう人や、10~15日で設計する人、はたまた1か月かかる人など様々です。
ですが、やはりビジネスで金型を作っていますので、今現在の設計リードタイムに問題があり、思うように型数をさばけないという課題がある企業さんは、一度、設計工程の分業のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。

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