金型の3次元加工で、小径ボールエンドミルが折れまくるのですがどうしたら良いですか?

小径のボールエンドミルが折れまくる
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「金型の3次元加工で、小径ボールエンドミルが折れまくるのですがどうしたら良いですか?」

プラスチックの射出成形金型を作っている金型メーカーさんから、このような相談を受けました。

さっそく、当事務所のデジタル顕微鏡で確認したところ、下の写真のような症状が見受けられました。

金型加工コンサルティングにおける先端が異常磨耗した小径ボールエンドミル_2

工具は、φ3超硬ボールエンドミルで、みごとに先端刃先が無くなっています。

NCデータをお借りし、ビューワで工具軌跡を確認したところ、円弧軌跡のところで先端刃先が異常磨耗したようでした。

したがって、これは、狭い凹部へ入り込む際の、アプローチ動作の最中に異常磨耗したと考えられます。

通常、3次元CAMには、凹形状の中にアプローチする際、工具が下方に直進してしまい破損しないよう、斜めの動作で切り込める面積が確保されないと、そのエリアへの加工をキャンセルしてくれる機能が働くようになっていると思います。

言い換えると、その部位は取れ残りになりますので、そういった機能が働いている場合は、切削シミュレーション上で、加工後モデルと切削対象モデルとの比較を行い、削れ残りが発生していないか、後で確認する作業が必要です。

したがいまして、射出成形金型やダイカスト金型の凹形状などに存在する、狭小凹部における3次元データ加工においては、次のいずれかの対処が必要になると思います。

  • 真下に直行するようなZアプローチがあれば、それをCAMオペレーターが目視で発見し、ダミー面もしくはZ数値指定によるリミット制限で強制的に入らないようにするか、事前にドリル等で下穴をあける。
  • CAMの機能を活用し、例えば、工具直径の80%を超える面積で、工具中心が動けないような狭小凹部はパスが出ない設定にする。ただし後で、削れ残りが発生しないよう切削シミュレーション上で確認し、もしあれば、別途小さい工具で追加工する。

ところで、本件のボールエンドミルの側面には、次のような境界磨耗(ノッチ磨耗)も発生していました。

金型加工コンサルティングにおける側面が異常磨耗した小径ボールエンドミル

これは、ほとんど先端の切削が行われない中で、Zアプローチした工具が、横方向に切削を開始する際、本来除去されていなければならない部位に、まだ多く取り代が残っていたため、刃先に局所的な負荷がかかり、そこが欠損してしまったと思われます(そういった意味では、境界磨耗ではありませんが)。

今回の件で重要なポイントは、次の2箇所以外は全く損傷していないところです。

  • 先端の異常磨耗
  • 側面の欠損

したがって、その対策として強度の高い工具を探して使うという処置は、そもそもの原因とは異なる対策ということになります。

このとき、こちらの企業では、高硬度用のボールエンドミルに変えて対策したそうですが、その結果が下の写真になります。

金型加工コンサルティングにおける高硬度用ボールエンドミルの先端の異常磨耗

こちらも、先端刃先がボロボロになってしまっています。

これは、Zアプローチ動作の問題について、特に軌跡を修正変更することなく、工具種類だけを変更した結果です。

つまり、工具材種やコーティング材種の問題ではなかったのです。

特に、高硬度用エンドミルは、ネガ刃にすることで刃先を強化する形状になっており、切れ味という点ではむしろ低下します。

それに伴い、ポジ刃よりも低い切削速度で使うような刃先形状になっていますので、今回の被削材であるS55Cではあり、また元々使っていた超硬ボールエンドミルの回転(S値)と送り条件(F値)をそのまま使用したため、むしろ高硬度用エンドミルには合わない条件だったかもしれません。

このように、問題があった刃先の状態は、いろいろなことを教えてくれます。

しっかりと原因を見極めることが重要で、それがわかれば、それにあったしかるべき対策を考えていきたいところです。

※ 実際の加工においては、工具材種だけでなく、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の加工においては、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

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代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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