金型・部品加工業の成長に必要な「現状否定」の力:A社とB社の明暗を分けた意識

その力量評価、現場の実態を映せていますか?当事務所が提唱する『総合力』を可視化する方法
目次

金型・部品加工業の成長に必要な「現状否定」の力:A社とB社の対比から学ぶ

私は、金型・部品加工業専門のコンサルタントとして日々仕事をする中で、技術面の優劣だけでなく、組織風土ともいうべき金型メーカーや機械加工メーカーの現場のマインドを決定づける決め手になるものが、「自らの現状否定をできるかどうか」にあると感じています。

大げさなことではなく、まさにこれこそが、企業の成長の原動力となるきっかけと言っても過言ではないと思っています。

今回は、かつてコンサルティングを担当した二つのプレスメーカー、A社とB社の金型内製部門を例に、この「現状否定」の重要性についてお話したいと思います。

チーム目標 vs. 個人目標:A社とB社の意識の差

A社とB社は、どちらも金型内製部門を抱えるプレスメーカーという共通点があります。しかし、両社の部門組織の意識には、決定的な違いがありました。

A社の金型内製部門は、「地域一番の金型部門になる」という大きな目標を掲げ、チーム全体で取り組んでいました。

一方、B社の金型内製部門は、個々の課員が「小さな小さなプライド」を守ろうとする傾向が強く、その結果、仕事のやり方や職場環境が変わることを強く拒絶していました。

この意識の違いは、両社のその後を大きく左右することとなりました。

A社は、地域一番という大きな目標を達成するためには、現状の自分たちを否定し、改善していく必要があることを理解していました。そしてその結果、冷静に自己分析と他社のベンチマークをすることができ、目標達成に向けて着実に改善・変革を実行していくことができました。

一方、B社は、個人のプライドに固執し、現状を否定することを頑なに拒絶しました。そのため、部門として成長するきっかけを失い、停滞状態に陥ってしまいました。

組織風土改革と成長の好循環:B社の奮闘

B社もこのままではいけないと気づき、コンサルティング期間中、技術面のコンサルティングと並行して、生産性の高い金型部門が持っているマインドを根気よく伝えていくことで、組織風土の改革にも取り組んでもらいました。

具体的には、「現状否定」の重要性を課員全員に理解してもらうため、それができている他社の事例、そのメリットなどを課員全員に何度も聞いてもらったり、それを踏まえた、課としての目標・個人ごとの目標、それぞれを何度も何度もやり直し、修正をしてもらいながら完成させることができました。

これらの取り組みは一定の成果を上げ、B社の金型内製部門は徐々に改革を進めていくことができました。

停滞の影:A社のその後と教訓

しかし、A社はコンサルティング期間満了後、担当者から聞いたところによると、即戦力として期待する社外から中途採用した人材には、チーム目標とは異なる個人目標主義の人が多かったため、「地域一番になる」というチームとしての目標は軽んじられる風潮になってしまったそうです。

これは私の見解ですが、私も経験がありますが、即戦力として期待される中途採用の経験者は、短期間に一定の成果を求められることが多いため、「現状の自分を否定する」ことは受け入れがたいと思います。

したがって、自分の既存スキルや知識に固執した仕事のやり方になってしまうケースが多いのではないでしょうか。そのため、今の自分の加工や設計の方法を否定して、さらにより良く変えていこうとは、すぐには実行することは難しいと思います。

実際に、このA社の現場の成長は停滞してしまったそうです。A社は、かつての成長の原動力であった「現状否定」の精神が薄れ、結果、現状維持に甘んじる組織になってしまったそうです。

もちろんまた機会をいただくことがあれば、こちらのA社の現場を元に戻していくお手伝いはするつもりです。

現状維持は退化:成長への第一歩

現状維持は退化という言葉があります。

変化の激しい現代において、企業が生き残るためには、過去の成功体験に固執せず、常に現状を否定し、改善していくことが求められます。

今回ご紹介したA社とB社の事例は、「現状否定」の重要性を改めて教えてくれる好例と言えるのではないでしょうか。

人間心理として、自分のことを否定するのは抵抗感があります。それは私も同じです。

ですが、他人に言われるよりも、自分から前向きに現状を否定していくことは、まだ多少なり抵抗感を低くすることができ、使命感も感じるのではないでしょうか。

これは 企業診断の際のヒアリングなどでも感じます。

ざっくり言ってしまえば、自社を否定できない会社ほど 業績が悪かったりします。もちろん全ての企業ではありませんが。

一方、逆に「ウチなんて他と比べてまだまだですよ」と言ってしまえる会社ほど、 結構 業績が良かったりします。

このコラムを読んでくださっている読者企業の皆様はいかがでしょうか。

ぜひ自社の現状を否定することから始めた素敵な目標設定を行い、企業の成長に繋げていただきたいと思います。

参考になれば幸いです。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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