【マシニング加工条件の身近にあった問題】もしかしたら灯台の下が暗くなっているかもしれません

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【マシニング加工条件の身近にあった問題】もしかしたら灯台の下が暗くなっているかもしれません

先日ある金型メーカーさんのマシニング加工現場を見させてもらったのですが、あまり今ドキとは言えない工具を使っていたうえ、その加工条件がとても遅く、その経緯をお伺いさせてもらうということがありました。

こちらの会社では、金型を設計をしている設計者の方が、そのままCAMを使って、マシニングセンターやワイヤーカットの加工データを作り、それを現場の機械オペレーターに提供するというスタンスをとっており、その設計者の方に言わすと、工具が折れたとか、加工中ワークが動いてしまったなどのフィードバックがあるたびに、加工条件をどんどん落としていった結果、今のかなり遅い条件になってしまったとのことでした。

深い溝が入り組んだような厳しい加工などであれば仕方ないとして、こちらの会社の金型は、一般的な厚さのプレートを重ねて合わせて構成する金型構造でしたので、頻繁にワークが動いてしまうような過酷な加工は多くないようでした。

一方、こちらの加工現場は、これまで何度か見させてもらっていたのですが、私の方から毎回ある問題を指摘させてもらっていました。

まさにマシニングセンターの加工中のところを見させてもらっていた最中のことなのですが、比較的大きなワークが多いためか、バイスではなく、ほとんどの機械で松葉押さえを使ってクランプしており、それを見させてもらうと、毎回決まって、松葉押さえのお尻側が低いという、下図のような誤ったクランプ方法になっていました。

誤った松葉押さえの使い方
誤った状態の松葉押さえによるクランプ(わかりやすく大げさな表現にしています)

これだと、松葉押さえの先端で押さえられないばかりか、締めれば締めるほど、ワークを横方向にずらしてしまう力がかかるため、平行出し作業も困難になってしまいます。

ですがやはり一番の問題は、しっかりとワークを動かないよう固定する力が、正しくかからないことではないでしょうか。

なおジャッキは締めると少し下がるというのは、機械オペレーターの間ではよく知られた知識であり、松葉押さえを締める前に、ワークとジャッキ上面を同じ高さに揃えていても、松葉押さえのネジを締めると後ろのジャッキ側が下がってしまいます。

このような誤った状態でクランプされていた主原因は、このジャッキの使い方によるもので、特にこちらの現場での荒取り加工では、ラフィングエンドミルを使っていたため、深いZ取り代での加工など負荷が強く掛かったときにワークが動いてしまったり、それによりエンドミルが折れるなど、異常の発生頻度が高くなっていたかもしれません。

やはり正しい状態は、下図のように松葉押さえの先端の方が低くなるように締め付けることで、正しくワークが押さえ付けられることになります。

正しい松葉押さえの使い方
正しい松葉押さえの使い方(わかりやすく大げさな表現にしています)

さらに言えば、締め付けるネジは、下図のように、ワークに近い方が望ましいとされています。ただし加工をやられている人はご存知かと思いますが、加工がワーク端の方まである場合、松葉押さえや締め付けネジが近くにあると危ないですよね。したがって良くないと思いながら、この締め付けネジはワークから遠ざけてしまうケースが多くなると思います。

松葉押さえをワークに近づけた場合
松葉押さえをワークに近づけた場合

このような知識は、こちらの会社の事例のように、社外で受ける研修などで教えてもらう機会は少ないかもしれません。ですが、ネットで松葉押さえの使い方を検索すると紹介されているサイトもありますし、書籍によっては記載されているものもあると思います。ですがやはり、問題意識を持って自分から探していかないと、たどりつかないかもしれません。

私の場合は、20代のころ先輩に教えてもらいました。

最後のまとめになりますが、今回の事例のように加工する形状に問題があると思い込んでいたり、工具やホルダーの問題だと思っていたり、また特に原因が思い当たらないまま、ただただ加工条件を落とし続けていても、中には本当に条件が厳しくなってしまう形状のものもあるかもしれませんが、まさに「灯台下暗し」とも言える、そもそもワークのクランプ状態が良くなかったという、足元の問題が隠れている可能性があります。

今回はまさにその代表的な事例で、問題の視点を広げて考えなくてはならないと思わされました。

このコラムを読んでくださっている方に該当される方はおられないかもしれませんが、当たり前と思ってやっている作業に、実は落とし穴があるかもしれませんので気を付けたいところです。

今回は、数多に起こり得るであろう「灯台下暗し」の一例でした。参考になれば幸いです。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

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