【改訂版】サボる同僚に怒りを感じて自分のモチベーションを下げないようにするために
これは私の日々のコンサルティングの現場で、本当によく耳にする話です。金型メーカーや部品加工メーカーの製造現場で、真面目に働く人ほど「サボる同僚が許せない」と感じ、その怒りによって自身のモチベーションを下げてしまうケースがよくあります。
一般的に、この怒りの原因は「強すぎる正義感」や、「自分はこんなに頑張っているのに、なぜあの人は楽をしているんだ」という「不公平感」から来ると言われています。その感情は至極もっともです。
しかし、タイトルにもある通り、他人の行動によって自分のモチベーションを下げてしまうのは、あまりにも勿体ないことです。
今回は、なぜそういった状況が生まれるのかという現場の構造的問題と、その中でいかに自分の心を平穏に保つかという対処について、私の経験を交えながらお話ししたいと思います。
なぜ「サボり」が放置される現場が生まれるのか
そもそも、なぜ特定の個人の「サボり」が許されるような状況が生まれるのでしょうか。
私が見てきた中では、一つの共通点があります。それは、個人の「出来高」が管理されておらず、「納期管理」が主体となっている現場で起こりがちだということです。
顧客納期や工程納期を守ることだけが、日々の管理指標になっているとどうなるのでしょうか。
もし納期遅れや品質問題が発生すれば大ごとになりますが、日々の業務が問題なく納期に間に合っている限り、個々の働きぶりの差は表面化しにくくなります。結果として、よほど目に余る行為でない限り、サボっている人がいてもそのまま放置されてしまいがちです。
この業界で特に顕著なのが、NC加工機のオペレーター間で起こるいざこざです。
例えば、長時間にわたる無人加工を機械に仕掛けた後、その「待ち時間」をどう過ごすか。ある人は次の仕事の段取りや準備に時間を使い、生産性を高めようとする一方で、特にやることもなく同僚と雑談していたり、パソコンの前でボーっとしている人もいる。
会社としては、最低限機械は動いているため、それが大きな問題として扱われないことも少なくありません。しかし、限られた時間で一つでも多くの仕事をこなそうとしている人にとって、その光景が苛立ちの原因になるのは当然かもしれません。
また、「大型の機械で一度段取りすれば長時間加工してくれる担当者」と、「小型の機械で小刻みに段取り替えが必要な担当者」との間で、業務負荷に対する不公平感が生まれるというのも、よく聞く話です。
管理者ができること:頑張りが報われる「仕組み」を作る
この問題の解決は、個人の感情論だけに委ねるべきではありません。管理者の方は、サボりを抑制するというネガティブな視点だけでなく、現場に健全な競争意識や活気をもたらすというポジティブな視点から、仕組みを見直すことをお勧めします。
その最も有効な手段が、先ほど触れた「出来高管理」の導入です。日々の生産目標を具体的に設定し、その達成に向けてチームやメンバーそれぞれが切磋琢磨できる環境を整えます。
誰がどれだけ貢献したかが「見える化」されれば、頑張っている人が正当に評価され、そうでない人との差も明確になります。
もちろん、先ほどのNCオペレーターの例のように、単純な生産数だけでは測れない不公平感もあります。そうした場合は、加工内容の難易度や段取り時間などを考慮して、作業ごとに「ウェイト(重み付け)」を設定する方法も考えられます。
頑張りが正しく評価される仕組みは、結果的に全体の生産性を向上させ、サボる人が居心地の悪い職場環境を作り出せると思います。
個人ができること:怒っている自分を「他人」の目で見てみる
先ほどまでのは「仕組み」側の改善についてです。では、個人としては、この怒りとどう向き合えばいいのでしょうか。
私が思うのは、怒りを感じている自分を、少し離れた場所から客観的に「見る」という考え方です。
少し個人的な話になりますが、私は政治のニュースなどを見ていると、「自分たちは毎日必死に働いて税金を納めているのに、その税金で一体何をやっているんだ!」と憤慨し、動画サイトで関連ニュースを漁っては文句を言ってしまうことがあります。自分からわざわざ怒れる記事を求めていってしまうのが不思議です。
そんなとき、妻が非常に冷めた目で私を見て、「選挙に行く以外、あなたにコントロールできないことで時間を無駄にして…。もっと他にやることあるでしょ」と冷静に指摘してくれます。
その視線に気づいた瞬間、私はハッと我に返り、自分がコントロールできないことに無駄なエネルギーを注いでいたことを恥ずかしく思うと同時に、自分がやるべきことに集中しようと正気に戻ります。
これはつまり、「自分でコントロールできないことを無理に変えようとしない」ということになります。もちろん、理屈でそう考えたからといって、すぐに腹の虫が収まるわけではありません。しかし、会社の職場でもこれは同じではないでしょうか。
たしかに、サボっている同僚の行いは褒められたものではありません。しかし、その同僚に対して不満を漏らし、悪態をつき、モチベーションを下げてしまっている「自分」の姿を、他の人はどう見ているでしょうか。その姿は、決して評価を高めるものではないはずです。
もし怒りが湧き上がってきたら、一度、幽体離脱するようなイメージで、そんな自分を客観的に観察してみます。「ああ、自分は今、他人のせいで、貴重な時間と感情を無駄にしているな」と認識するだけで、少し冷静になれると思います。
まとめ
サボる同僚への怒りは、真面目に仕事に取り組んでいる証拠だと思います。しかし、その感情に振り回されてしまうのは、あまりにもったいない。
この記事を読んでくださっているのが管理職の方であれば、ぜひご自身の部署が「納期管理」に留まっていないか確認してみるのはどうでしょうか。もし「出来高管理」まで落とし込めていないのであれば、頑張る人が正しく評価され、報われる仕組みの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
そして、今まさに同僚への怒りに悩んでいる方は、まず自分を客観的に観察することから始めてみるのはどうでしょうか。他人はコントロールできませんが、自分の感情と行動はコントロールできます。自分の貴重なエネルギーは、他者への不満ではなく、自分自身の成長と成果のために使われるべきだと思います。
このコラムが、少しでも心の平穏を取り戻す一助となれば幸いです。
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コラム投稿者
金型・部品加工業 専門コンサルティング
代表:村上 英樹(中小企業診断士)
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