金型・部品加工業専門コンサルティング

金型・部品加工業専門コンサルティング(加工コンサル)は、金型メーカーや、マシニングなどの機械加工業を専門とする経営コンサルタント事務所です。

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ワイヤー放電加工

FAQ

古い加工技術にこそ今使えるノウハウがある

 

私のクライアント企業の中には、加工寸法公差がプラスマイナス0.01ミリといった高精度の部品加工を要求される製造現場があり、それに対応しなくてはならない若手の皆さんは大変苦しんでいます。

 

ワイヤーカットによるセカンドカット、サードカットが使えれば、0.02ミリのレンジへの対応は難しくはないと思いますが(加工歪みの問題は別として)、エンドミルによる切削加工、さらに焼入れ処理された高硬度材が対象となると、非常に厳しいものがあります。

 

使用されている機械や、そもそもの加工形状にもよりますので、一概にバチッと「この手順で」というアドバイスが難しいのが現実なのですが、私のような今主流の超硬エンドミルではなく、ハイス製のエンドミルばかりで加工してた時代も長く経験しているという人間からしますと、それらの工具で泣く泣く加工してきた方法の中に、今こそ使えるノウハウがあると思っています。

 

例えば、先ほど話しに挙がったワイヤーカットですが、熱補正機能なども完備されている最近のマシンにおいては、放電ギャップや径補正、カット回数など、メーカー指定の条件を用いれば、0.02ミリレンジなどの高精度加工はユーザーの技術としてはさほど難易度は高くないものになりました。

 

しかし10年、20年を超える以前からワイヤーカットをやられている加工者の中には、下図にあるように、スタート穴から本来欲しい形状を切り出す反対側に、10ミリ角などのテストピースを切り出し、それをマイクロで測定し、その日の気温や機械の調子などによる精度誤差を確認したうえで、その誤差を補正して高精度の加工に対応するなどの手順を踏んでいました。

(もちろん今でも、厚板加工のタイコ形状確認などで使われています)

ワイヤーカットの事例

これは、ハイスのエンドミルを使った切削加工も同様で、超硬エンドミルが主流になった今でこそ、仕上げ代0.1や0.2ミリを付けた中仕上げ加工の状態から一気に仕上げ寸法を狙う手順が当たり前になっていますが、ハイスのエンドミルを使っていた加工では、どうしても下図のような倒れが出るため、一発で狙い寸法になることはほとんどありませんでした(もちろん狙いの寸法公差によります)。

細いエンドミルで深い立壁を切削加工

しかも、加工ビビリも出やすいため、突き出し長さが長いなど厳しい条件で一発仕上げを狙うと、食い込み寸法になることもありました。

 

そこで、仮で一旦仕上げてみて、その日、その時の傾向を掴み、それを加味したうえで仕上げるという手堅い手順を踏むわけです。

 

具体的には、0.1ミリなど仕上げ代と同じくらいの寸法を残したうえで、一旦「中仕上げ加工→仕上げ加工」のプロセスを踏み、仮の状態で仕上げます。

 

形状や深さによる加工負荷、機械の調子、エンドミルの径・摩耗具合など、そのとき出せる加工精度を認識し、エンドミルの倒れなどで余分に残る取り代を加味したうえで、再度「中仕上げ→仕上げ加工」の手順で仕上げます。

 

この手順は、現在においても、高硬度材をプラスマイナス0.01ミリ精度で仕上げるなど、一発で公差内に仕上げるには厳しいときに使えると思います。

 

こうした厳しい公差の加工は、切り込み深さやゼロカット回数などをパターン化しようとしても、その都度、加工形状や深さ、機械剛性、そのときのエンドミルの状態などにより、加工後寸法の傾向は変わってくるためです。

 

どの方法がベストだと一概には決められませんが、一発で公差内まで狙えない厳しい加工においては、こうした手順もあるということです。

 

もちろん、プラスマイナス0.02ミリの加工公差のときなど、0.04ミリ以上のレンジがあるという加工であれば、剛性のある超硬エンドミルのメリットをフルに活かし、一発で公差内に入れる工程を考えても良いと思います。

 

私も含め、かつて今ほど良くない工具や機械を使っていた現場加工者の皆さんは、何とかあるもので精度を出そうと創意工夫していました。

今の高度になったツールでは必要が無くなったノウハウもあると思いますが、今の若手の皆さんにおいては、こうした経験ができなくなったのも、応用力を育てる観点からは少し物足りない感もあります。

 

社内で加工者の育成カリキュラムを作られている企業におかれましては、あえて整い過ぎた最新の環境ではなく、少し古く精度の出しにくい道具や機械で加工に取り組んでみるというカリキュラムを一部取り入れてみるのはいかがでしょうか。

応用力や危機対応能力の育成につながると思います。

 

もしよろしければ、参考にしてみてください。

 

 

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金型メーカーのあるべき日程計画の方法について

金型メーカーのあるべき日程計画の方法について

今回は、これもコンサルティングの際、アドバイスとして取り上げることの多いテーマ、金型メーカーの日程計画のあるべき方法について見ていきたいと思います。

 

まず大前提として、①大日程計画、②中日程計画、③小日程計画の3段階に分け、それぞれを正しく機能させることが重要になります。

  1. 大日程計画(金型ごとの管理)
  2. 中日程計画(部品ごとの管理)
  3. 小日程計画(工程ごとの管理)

ポイントは、大日程から小日程計画まで、金型ごとの大きな括りから個人レベルのスケジュールまで段階的に管理していくことです。

 

では、まず大日程計画から見ていきたいと思います。

 

大日程計画のあり方

大日程計画は、下図の事例にあるように、金型ごと、納期までの日程をガントチャートなどを使って管理します。

大日程計画

(AB-12345、BC-56789などの記号+番号は、金型ごとの品番を表現しております)

 

図の例にあるように、金型ごとに設計、機械加工、組み立てなど、工程ごとに切り分けて、日程計画を立てるのが良いと思います。

 

ここでのポイントは、各工程の負荷を加味した日程計画にするかどうかの判断です。

もし負荷調整を加味した日程を立てるのであれば、例えば上図の設計日程のように、過度に重複しないよう意図的にずらすなど、負荷を調整した計画を立てることになります。

 

また、もし各工程の負荷まで考えないのであれば、金型の最終納期から各工程のリードタイムで逆算した工程納期ありきで日程計画を立てることになります。

そして、各工程の負荷は、後述する中日程計画もしくは、小日程計画で調整することになります。

 

どちらのパターンにするかは、大日程計画を作成する担当者が、どこまで現場の負荷状況を把握できるかによって決めれば良いと思います。

 

中日程計画のあり方

次に中日程計画のやり方を見ていきたいと思います。

中日程計画は、下図にあるように、大日程計画で扱った金型ごとの日程ではなく、金型を構成する部品ごとの日程計画になります。

中日程計画

 

上図の例のように、部品それぞれに工程納期を設定していくのがポイントになります。

 

こちらも大日程計画と同じように、部品ごと各工程の負荷を加味した日程計画にするか、または加味しないかの判断が分かれるところです。

 

もし負荷調整を盛り込むのであれば、工程ごとに想定しているリードタイム(標準工数)を基準として、特定の機械又は人に、負荷が集中しないよう適度に分散した日程計画を立てます。

したがって、着手日の設定を特に重視することになります。

 

逆に、負荷を考えずに中日程計画を立てるのであれば、各部品の工程納期から、材料手配やCAM、マシニング加工など各工程の想定工数から逆算した工程納期を立てていき、負荷調整は後述する小日程計画で行うことになります。

こちらは、工程ごとの完了予定日(工程納期)を重視することになります。

 

これもどちらにするかは、後述する小日程計画と、中日程計画、どちらの精度を高くするかで決めれば良いと思います。

 

小日程計画のやり方

最後は、小日程計画のやり方について見ていきます。

小日程計画は、下図のように、機械や人ごとの日程計画になります。これは「差し立て」とも呼ばれます。

小日程計画

(図は「マシニングA」の差し立て板をイメージしております)

 

私は特に、マシニングセンターやワイヤー放電加工機については、夜間の無人運転の予定を事前に予約で埋めておく、新幹線の座席予約のような「座席予約方式」を推奨しています。

これは、夜間の無人加工で仕掛けられるような長時間の加工は、昼間の隙間時間に差し込めないので、事前にきっちり隙間なく予約して決めておくべきだと考えているためです。

 

この差し立て板は、短ければ当日から三日目ぐらいまで、理想を言えば、2週間分くらいの事前スケジュールを立てられるのが望ましいです。

 

その理由として、そもそも差し立て板は、現場作業者の責任負担を軽減するためにあり、「今日これだけやれば帰宅できる」という1日の作業目安を表しています。

また、中期的スケジュールとして管理者にとってみれば、「2週間、現場でこれだけのスケジュールはやってもらいたい。もしこれで金型の納期が間に合わなければ、管理者である自分が責任を持つ。だから最低限、差し立て板どおりのノルマをこなして欲しい」という意思表示になります。

 

つまり、この差し立て板どおりの日程計画で間に合わなければ、それは現場作業者の責任ではなく、管理者の責任というわけです。

私はそのつもりで差し立て板の日程を立てていました。これなら、現場作業者の責任負担の軽減になります。

 

また現場作業者としても、2週間分のスケジュールが事前に決まっていれば、もし近々休みたい日ができたとき、残業などによる前倒し生産を行うなど、休みたい日に仕事が残らないよう自分の判断で調整することもできます。

これなら、管理者も急な作業者の欠勤で困ることが減り、また作業者も気兼ねなく休むことができ、お互いにWin-Winの関係で仕事ができます。

 

また、差し立て板で小日程計画を作らずに、出たとこ勝負、やれるとこまでやろう方式で仕事を行うと、最後残った仕事を極めて短い納期で外注依頼することになり、注文単価が高くなります。

 

逆に差し立て板による小日程計画で、事前にオーバーフローする部品がわかっていれば、多少なり余裕を持った納期で外注依頼することができ、単価交渉で対等に話をすることができます。

これにより、製造原価を抑えることができます。

 

ただし、2週間の予定の中で、急な仕事の飛びこみや、順番の繰り上げ等の予定変更は当然起こります。その際は、その都度予定をメンテナンスすることは仕方ありません。

現場作業者の方々にもその点だけは了承してもらっています。

 

 

以上、①大日程計画、②中日程計画、③小日程計画の3段階による、金型メーカーのあるべき日程計画を見てきましたが、多くの金型メーカーでは、①大日程計画と②中日程計画は機能していますが、③の小日程計画がうまく機能していない企業さんが圧倒的に多いです。

 

やはり緻密に小日程計画を立てることが難しいのだと思います。

 

この点について、もし自社だけで改善していくことが難しいということでしたら、そこは私のようなコンサルタントの活用を検討してみるのも一つの手かと思います。

 

もしよろしければ、参考にしてみてください。

 

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パンチ側のワイヤーカットにおけるつなぎ位置について

 

当事務所では、ワイヤーカット加工におけるスタート穴と、それに伴う軌跡終りのつなぎ位置について、どこでつなぐのが良いのか、よく相談を受けます。

 

そこで、次は今話題のクラウド系低価格3次元CADであるFUSION360を使って、定量的に確認してみることにしました。

 

なお、ダイ側については、歪むであろう量を見込んで荒取りを行ったのち、2ndカットおよび3rdカットで仕上げるのが良いと思います。

 

したがって今回は、パンチ側の形状で確認してみることにしました。

 

とりあげた事例は、次の2パターンです。

パターン①として

ワイヤーカット歪みとつなぎ位置_1

パターン②はこちら

ワイヤーカット歪みとつなぎ位置_2

 

形状の前提条件として、テーブルにクランプする側は、35ミリの残り代をつけており、そうでない外周側は、最小5ミリの残り代をつけています。

板厚は、プレス抜きパンチに多い60ミリにしています。

 

パターン①のコンセプトとして、段取りの際、水流を出しながら、上部ノズル位置をスタート穴中心に手動で移動させる際、ワーク外から見やすいので、よくこの外側の位置にスタート穴を設けることがあります。それを再現しました。

 

パターン②のコンセプトとしては、パターン①の反対側に持ってくることで、どのように強度が変わるのか見るために、この位置にしました。

 

なお、スタート穴を対角にしていないのは、今回特に、歪みを再現した際、ある程度大げさに変位させるためです。

 

結果は次のようになりました。

まずパターン①

ワイヤーカット歪みの結果1

 

次にパターン②

ワイヤーカット歪みの結果2

 

これを見ると結果は明らかな違いが出ました。

 

切り出したパンチ形状に、同じ数値の応力をかけているにもかかわらず、

パターン①の方は、外周部の残り代が5ミリしかない部位の変形の影響もあり、最大0.048ミリの変位が出ています。

パターン②の方は、クランプしている側、残り代35ミリある側のみで受けているので、最大変位量はわずか7ミクロンで済んでいます。

 

切り出した際、それだけの応力変形があるのかどうかということもありますが、そもそもつなぎ位置の違いによって、これだけ違いが出るという傾向を、今回は見ることができました。

 

今回の解析の結果から、もし高精度なパンチ形状を加工しなくてはならないときは、素材が応力変形の影響をうけない部位につなぎを、可能であれば複数個所設け、機械精度に応じて2ndカット、3rdカット、場合によっては、4thカットを行って仕上げるという手順が良いのではと思いました。

 

前回の検証でも書きましたが、素材の材種、板厚、熱処理の有無など、諸条件によって結果は異なってくると思います。

また、素材のサイズ、パンチの形状によっても、変形量は変わると思います。

 

ただ、金属の変形については、なかなか可視化できないため、イメージを持ちづらいとおっしゃる方が多いです。

世の中のツールが非常に早い速度で進化を遂げている昨今においては、今回のようにFUSION360などのソフトウェアを使って、傾向を確認してみるのもいいかもしれませんね。

 

※ 実際の加工においては、工具材種だけでなく、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の加工においては、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

 

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ワイヤーカットを行うプレートにおける端面からインロー形状までの適正な距離について

ワイヤーカットの段取り状態

 

ここ最近、ワイヤーカット加工のインロー形状があるプレートについて、端面からインロー形状までの距離をどれだけとれば良いのかという相談をよく受けます。

いわゆる下図の寸法部位のことになります。

ワイヤーカットの段取り状態

 

実際のところ、プレートの材種、板厚、前加工の状態、熱処理の有無など、多くの影響因子を受けるため、一概には言えませんが、ワイヤーカット機への段取りの都合上、つまり下ノズルの可動範囲を考慮して、各金型メーカーさんの状況を見ると、20ミリ~40ミリの範囲が多いです。

 

20ミリ以下になると、ワイヤーカットの段取りの都合上、やりにくくなりますし、40ミリを超えると、加工後の変形に対して安心感は増しますが、歩留まりが悪くなるので、材料コストが気になります。

 

そういったところから、20ミリ~40ミリの範囲というところになっているんだと思います。

 

では実際、20ミリと40ミリでは、どれだけ加工後の変形に影響が出るのでしょうか。

そこで、FUSION360のシュミレーション機能を使い、確かめてみました。

 

パンチプレートでありがちな、25ミリの板厚の炭素鋼の設定で、下図のようなメッシュを作り調べてみました。

ワイヤーカット残り代の解析のメッシュ状態

プレートサイズは300×200ミリ、インロー形状は100×50ミリです。

 

検証内容は、端面からの距離を変えることで、どれだけ変形量が変わるかです。

手順は、次のように行いました。

  1. まず変形はほぼ少ないと思われる、端面から50ミリ付ける設定で、プレートの外側から、3ミクロン以内の変形に収まる圧力を設定しました。
  2. その圧力をもって、端面からの距離を35ミリ、20ミリにしたとき、同じように力を加えるとどれだけ変形が起こるかを検証しました。
  3. また、板厚を変えると変化量は変わるのかを検証するため、プレートの板厚を50ミリ、100ミリに変化させて検証しました。

 

手順1.の結果が下図の状態です。

 

ワイヤーカット残り代の解析による検証_1

FUSION360による結果表示は、見えた目にイメージしやすいようオーバーに変形されます。

最大に変形している箇所は、4ミクロン変形しています。

 

手順2.の結果が下図の状態です。端面からの距離を35ミリにしました。

35ミリを選択した理由は、以前読んだワイヤーカットの高精度加工に関する論文に出てくる実験で、加工変形させないための充分な距離として35ミリを設定していたので、今回35ミリで検証してみました。

ワイヤーカット残り代の解析による検証_2

結果の最大変形量は、約 6ミクロンなので、±0.01ミリの加工公差であれば、充分に収まる変形量になりました。

また、50ミリにした時と、変形量はほとんど変わってないとも言えます。

 

次は、端面からの距離を20ミリにしました。

ワイヤーカット段取り、材料コスト、両方を重視する金型メーカーさんでよくとられている距離です。

ワイヤーカット残り代の解析による検証_3

最大の変形量は、約 13ミクロンでした。

以前、クライアント企業のワイヤーカット担当者さんが、±0.01ミリの寸法公差を要するプレートで、端面からの距離が20ミリでは変形が公差内で収まらなかったというお話がありましたが、この結果からすると、その厳しい寸法公差で加工しなければならない場合、やはり20ミリでは難しかったのかもしれません。

 

さて、ついでに、端面からの距離を5ミリでもやってみました。下図がそれです。

ワイヤーカット残り代の解析による検証_4

最大の変形量は、0.28ミリです。やはりこれだけ歪むんですね。この薄肉の中にどれだけの応力があるのかという話もありますが。

ただ、これがパンチプレートではなく、在庫材からパンチをとるような場合、端面からの距離は捨て側になるので、よく5ミリにしたりしますが、加工経路には気を付けたいものです。

 

ではプレートの板厚を変えることで、変形量は変わるのかどうかを検証した結果ですが、

下図は手順2.の端面からの距離20ミリのものを、プレート板厚25ミリから50ミリに変えた状態のものです。

ワイヤーカット残り代の解析による検証_7

結果は、約 13ミクロンの最大変形量で、プレートの板厚25ミリのときと、ほとんど変わりませんでした。

 

プレートの板厚を100ミリにした結果が下図です。

ワイヤーカット残り代の解析による検証_8

最大変形量は、約 13ミクロンと、やはりほとんど変わりません。

 

ということで、今回の検証ではプレート厚を変えることで、加工変形を抑えることの効果は見られませんでした。

つまり、パンチプレートの厚さを、例えば25ミリから40ミリに厚くすると、ワイヤーカットの加工変形は抑えることができるのか、というと効果はよくわからない、無いかもしれないということです。

 

しかしながら、丸パンチや異形パンチをインローでホールドするようなパンチプレートにおいて、無理に板厚を薄くしたりすると、パンチの直角性が悪くなったり、プレス抜きを行った際に振動によってパンチの刃持ちが悪くなる恐れがあります。したがって、出来るだけプレート厚さは確保したいものです。

 

ちなみに、端面からの距離は同じ25ミリにしたまま、プレート厚を10ミリにしたところ、下図のようになりましたが、最大変形量は、やはり約 13ミクロンでした。

ワイヤーカット残り代の解析による検証_9

 

 

今回私なりの結論ですが、以前読んだ論文の実験どおり、特に高精度に加工するのであれば、端面からの距離は35ミリあれば充分なのではないか、40ミリ以上は取り過ぎなのではないかと思いました。

 

ただし、前述したように、プレートの材種、板厚、前加工の状態、熱処理の有無など、諸条件によって結果は異なってくるはずです。

 

また、もちろんプレートのサイズ、インロー形状のサイズによっても、変形量は変わります。

設計の際には、今回のような方法で、一度検証してから決めるのもいいかもしれませんね。

 

※ 実際の加工においては、工具材種だけでなく、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の加工においては、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

 

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【プレス加工】もう一歩強い抜きパンチを作る方法について

 

丸や四角といった、単純形状ではなく、下図のように、ワイヤーカットで製作するような異形状の抜きパンチを使ってプレス抜きを行う場合、よく折れてしまう。

これは強度的に大丈夫なのか、対策はどうしたら良いのか、といった相談を、よく受けることがよくあります。

異形状パンチの外観

 

さて、こういったパンチの座屈強度、バッキングプレートの必要強度の計算などは、別の機会にするとして、パンチの材質、形状の変更以外に、あと何が対策として打てるでしょうか。

 

確かな実験データはないのですが、ワイヤーカットで材料から切り出す場合、素材ブロックから取る方向を変えてみるという対策もあります。

 

下の図を見てください。

金型材料の切り出し位置

日原 政彦 (監修), 型技術協会型寿命向上研究委員会 (編集), 安齋 正博 著 (2009/3)「金型高品質化のための表面改質」より

 

材料の方向を、L方向、W方向、T方向と呼ぶとすると、L方向、ここでは「鍛造方向」となっておりますが、金型メーカーで馴染みのある言葉でいうと、「圧延方向」といった方がわかりやすいでしょうか。

 

この図の左下の「特性」に書かれているように、折れにくさ(靭性)、耐摩耗性(強さ)は、L方向からとった方が強い、とあります。

 

ただし、注意点もあります。熱処理変寸および、放電ムラは、L方向が最も劣る、とありますので、パンチの作る手順には、注意を払う必要があるかもしれません。

これまでのT方向からとっていた場合よりも、熱処理変寸、放電加工後の変形が起こるかもしれません。

 

プレス抜きではありませんが、文献によると、この切り出し方向を変更することで、金型寿命が伸びたとされる実験データもあるようです。

私が知っているメーカーさんでも、実際にこの方法を使っているところもありました。

 

しかし、技術者の方はおわかりかと思いますが、ちょっと面倒ですよね。

 

さらに、今では当たり前のように使われるコーティングについても、もう一歩進めてみましょう。

下のグラフを見てください。

 複合表面硬化処理したTINの密着評価結果
日原 政彦 (監修), 型技術協会型寿命向上研究委員会 (編集), 安齋 正博 著 (2009/3)「金型高品質化のための表面改質」より

 

このように、PVDコーティングのみの場合と、下地処理として、窒化処理を行った場合とでは、密着性が変わってきます。

 

素地である母材と、コーティング層には、硬度差があり、それが密着性の阻害要因になる場合があるとのこと。

その間に窒化処理を行う、つまり、母材の金型材に窒化処理を行い、そのうえにPVDコーティングを行うことで、中間層としての窒化組織が、密着性を高める効果があるようです。

 

さらに、新しい窒化処理の方法である、ラジカル窒化を行うことで、従来のガス窒化やプラズマ窒化などと比較して、より高い密着性を得ることができます。

 

下のグラフでは、粉末ハイス(HAP40)を使った抜きパンチによる、プレス抜きの耐久性実験の結果です。

ラジカル窒化+TIN 複合表面硬化処理による寿命向上例

日原 政彦 (監修), 型技術協会型寿命向上研究委員会 (編集), 安齋 正博 著 (2009/3)「金型高品質化のための表面改質」より

 

このように、ラジカル窒化による、コーティングの下地処理は、プレス抜きのパンチに使っても、効果を発揮しているようです。

 

ここまで見てきたように、どうしても折れてしまう抜きパンチやその他の金型部品、もう打つ手がないと思っているメーカー様は、もう「ひとあがき」の手段として、参考にされてはいかがでしょうか。

 

※当事務所では、常時、50冊以上の文献を使って、技術調査・指導の資料づくりを行っています。

何か疑問・質問、調査依頼があれば、いつでもお気軽にご連絡ください。

 

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参考文献
日原 政彦 (監修), 型技術協会型寿命向上研究委員会 (編集), 安齋 正博 著 (2009/3)「金型高品質化のための表面改質」日刊工業新聞社

 

 

 

金型材の焼き戻しを2回行う必要性について

 

まず、炭素鋼や合金鋼の焼き入れ処理のプロセスを見ていくと、
生材とか、なまくら材などと呼ばれる、焼き入れ前の状態は、フェライト素地と呼ばれ、炭素鋼や合金鋼であれば、素材に所定の炭素量が含まれています。

 

この材料を、材料種類に応じた温度で加熱すると、素地のフェライトは、オーステナイトと呼ばれる組織に変化します(この変化は「変態」と呼ばれます)。このとき、フェライト素地に含まれていた炭素は、オーステナイトに変態するときに微小化され、硬い炭化物として溶け出します。この炭化物が、焼き入れ後の材料硬度に影響します。

 

この後、焼き入れ処理として冷却すると、いわゆる「焼き」が入った状態になり、さきほどのオーステナイト組織は、硬いマルテンサイト組織に変態します。このとき、冷却する速さが速いことがポイントで、硬い炭化物もそのまま残ります(逆に遅いと、オーステナイトほど硬くないベイナイトという組織が出てきてしまったり、炭化物も組織内で適正に分布しなくなります。

 

炭化物の輪廻
炭化物の輪廻
田部博輔 著 (2006/07)「金型技術者のための型材入門」より

 

通常、材料種類・特性に応じ、780~1200℃までの温度で加熱し焼き入れ処理を行い、目的に応じた硬度・特性に変化させるために120~700℃までの間で、焼き戻し処理を行います。

このとき、材料体積のうち、30%くらいまでの割合で、軟らかいまま硬化しない部分があります。この適正に焼入れ硬化されない部分、つまり適正なマルテンサイト化されない部分が「残留オーステナイト」です。

 

焼入れ鋼の顕微鏡組織
焼入れ鋼の顕微鏡組織
田部博輔 著 (2006/07)「金型技術者のための型材入門」より

 

 

この残留オーステナイトを減少させるためには、2回の焼き戻しを行うか、サブゼロ処理と呼ばれる冷却処理を行います。

 

2回の焼き戻しを行う理由として、1回目の焼き戻しでは、実質、前述した残留オーステナイトをマルテンサイト化、つまり硬化させる処理になり、2回目の焼き戻しでようやく、その材料の応力除去や靭性の改善が行われます。つまり、2回目の焼き戻しで、本来の焼き戻しの効果がでます。

 

なお、サブゼロ処理とは、マイナス温度まで材料を冷却させることで、残留オーステナイトを分解させる処理のことです。冷却には、ドライアイス(約-78.5℃)や、液体窒素(約-196℃)が使われます。焼入れ加熱から急冷による焼入れ処理を行い、その後、サブゼロ処理を行ったあと、焼き戻し処理を行います。

 

残留オーステナイトの分解処理により、適正な焼入れ硬化と、下記のグラフに示すよう、材料の経年寸法変化を抑制することができます(完全ではない点に注意)。

SKD11の熱処理条件による経時寸法変化
SKD11の熱処理条件による経時寸法変化
田部博輔 著 (2006/07)「金型技術者のための型材入門」より

 

なお、ワイヤーカット放電加工を行う材料については、500℃前後の高温戻しが必須です。以前は、冷間で使われるダイス鋼は特に、金型として使用する温度により、当たり前のように150℃前後の低温戻しが行われていましたが、ワイヤーカット加工後に、変形トラブルが多発しました。

 

※当事務所では、常時、50冊以上の文献を使って、技術調査・指導の資料づくりを行っています。

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング

代表:村上 英樹(中小企業診断士)

愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

 

参考文献
田部博輔 著 (2006/07)「金型技術者のための型材入門」日刊工業新聞社

 

 

加工コンサル・レポート:ワイヤーカット加工からの鏡面仕上げ(プレス金型メーカーにて)

 

クライアントのプレス金型メーカーにて、SUS304のダイのカジリ対策として、焼き入れ後のしごき面の鏡面仕上げに取り組んでいます。

 

しごき面は、垂直であり、手仕上げ磨きの負担軽減のため、ワイヤー放電加工で出来るだけきれいに仕上げ、その後、手仕上げで磨くという手順を踏むことにしました。

 

これまで同社では、ワイヤー放電加工は、1stカットしか経験がなく、4thカットは初挑戦でした。

さっそく取り組んでもらった加工面を顕微鏡で拡大した画像がこちら。

ワイヤー放電加工による4thカットの加工目

 

画像内に、数箇所、点々と見える、少し大きな黒い穴は、ピットと呼ばれる、加工層に出来たクレータのような穴です。

これを除去することが、手仕上げ磨きで行う作業の一つになります。

 

ちなみに、以前の1stカット面を顕微鏡で見た画像がこちら。この面と比較すると、ずいぶんときれいになっています。

ワイヤー放電加工による1stカットの加工目

 

1stカットでも、目で見る加工目は、そこそこきれいなので、1stカットだけも問題ないかな、と思いがちですが、顕微鏡で見る加工目は、実際こんなもんです。

これを見てしまうと、ちょっと抵抗ありますよね。

 

さて、4thカットした面を、今度は手仕上げで磨いてもらったわけですが、まずは自由な手順で磨いてもらいました。

その仕上げ面がこちら。

手仕上げ磨きによる失敗例

 

手にとって見た仕上げ面は、鏡面に近い状態に見えたのに、顕微鏡で拡大してみると、このような磨きキズが残ってしまっている状態です。

これは、手仕上げ磨きを、90度に真っ直ぐ行っていないことが原因です。

 

手順としては、スティック砥石磨き→テーパー磨き→ダイヤモンド・ペースト磨き、といった手順を踏む中で、それぞれの工程は、90度の動きを交互に変えながら、砥石は1箇所50回を上限に、磨いていきます。

 

この後、ルーペを使いながら、前述した方法で、再度トライしてもらうことになりました。

 

続きは、またの機会で。

 

※ 実際の加工においては、工具材種だけでなく、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の加工においては、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

 

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SUS304のプレス曲げで、金型のダイのカジリが止まりません

 

「SUS304のプレス曲げで、金型のダイのカジリが止まりません」

これは、クライアント先のプレスメーカーの金型部門さんから来た相談です。

 

さっそく金型、ダイの状態を、デジタル顕微鏡で見せてもらいました。

それがこちら。

金型加工コンサルにおけるプレス金型焼き付きの状態画像_1

 

金型加工コンサルにおけるプレス金型焼き付きの状態画像_2

 

特に画像の真ん中あたりの部位が、かなり強烈に損傷しています。

ただし、画像の左側のあたりを見ると、ヤスリ傷らしきものが残っていることも見て取れます。

 

このダイ部品の材質はDC53であり、そもそもどのように加工されたのか、担当者に確認したところ、次のような工程で加工したとのことです。

  • マシニングによる穴加工
  • 外注業者による熱処理(HRC58~60)
  • ワイヤーカットによるダイ直面部の放電加工
  • ベビーサンダーとダイヤモンドヤスリによるダイRの手仕上げ加工
  • ダイ直面部の磨き加工
  • 外注業者によるPVDコーティング

 

コーティングの際、ラップ磨きが行われたとのことです。

 

さて、ここで気になったのは、先ほどのヤスリ傷です。

 

というのは、そもそもコーティング前の機械加工の仕上げ面が良くなかったのでは、という仮説です。

そこで、ダイの中で、カジリ損傷していないところを拡大してみました。

それがこちら。

金型加工コンサルにおけるワイヤー放電加工の加工面の拡大画像_1

 

もう1箇所の画像がこちら。

金型加工コンサルにおけるワイヤー放電加工の加工面の拡大画像_2

 

どうでしょうか。

肉眼で見ていると、しっかりと磨かれているように見えましたが、デジタル顕微鏡で拡大して見てみると、実際の加工面はこのような状態です。

 

また、ワイヤー放電加工の状況を確認すると、ファーストカットのみの加工であり、その後の磨き加工についても、研磨紙でワイヤーカット後の加工粉の除去だけを行ったそうです。

 

さらにその磨き加工についても、ダイヤモンドヤスリによる深い傷も残っておりました。

それがこちら。

金型加工コンサルにおけるダイのヤスリ傷の拡大画像

 

拡大して見てみると、しっかりヤスリ傷が残っていることがわかります。

 

こういった状態になっていると、例えば、難加工材であるハイテン材やステンレスが相手のプレス加工となると、焼き付きやコーティング剥離などの原因となりそうです。

 

というわけで、こちらのクライアント先企業では、次の対策をとってもらうことにしました。

  • 手仕上げ磨きを軽減させるよう、ワイヤー放電加工をサードカット又はフォースカットまで行い、充分な仕上げ面にする。
  • 磨き作業はルーペを使って、磨き傷が残らないよう仕上げる。
  • 磨き手順を確立する。例えば、スティック砥石→研磨紙→ダイヤモンドペーストなどの順番とする。

 

これまで、こちらのクライアント先企業では、いろいろなコーティング種をとっかえひっかえ試して対策していました。

 

コーティング種類の把握という観点では、その対策も意義あることですが、金型の問題解決については、拡大写真を活用するなど、原因究明をまずしっかり行うことが重要です。

 

※ 実際の加工においては、工具材種だけでなく、被削材の物性、機械剛性、工具の消耗状態、被削材のクランプ状態などの外的要因で、如何様にも状態は変化するため、実際の加工においては、自己責任のうえ、充分な確認・検証を行ったうえで、加工してください。

 

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