金型・部品加工業専門コンサルティング

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株式会社 建和のコンサルティング事例(型技術2019年6月号掲載)

株式会社 建和のコンサルティング事例(型技術2019年6月号掲載)

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株式会社 建和のコンサルティング事例

本号で紹介するプレスメーカーは、株式会社 建和(愛知県安城市 TEL 0566-92-6295)である。本企画で同社が登場するのはこれで3回目である。

 

筆者は、定期的に同社の技術者教育を担当させていただいており、今回はトライと金型保全担当者の集合教育と個別指導を担当した。

 

以前紹介したとおり同社の金型製造は、全工程で3次元CADによるペーパーレス化したプロセスが完成しており、機械加工内容や寸法公差などは設計データ内に包括することができている。

 

したがって同社のトライ担当者は、下記の◇印で示す2次元設計を主体とする金型メーカーのトライ担当者に要求されるようなスキルに加え、さらに☆印で示すCADのスキルまで要求されることになる。

◇プレス作業スキル

◇2次元レーザー加工機の作業スキル

◇金型の構造知識

◇プレス加工の全般知識

☆2次元、3次元のCAD操作スキル

 

そこで筆者は、現在のトライ担当者に対し、同社が使用しているCADのVISIを使った個別マンツーマン指導を行った。

図1 トライ担当者によるプレス作業の様子

 

またトライ担当者に加え、金型保全担当者に必要な知識として、金型鋼材や金型構造、金型設計、トラブル対策などの集合教育を行った。ただしこの内容については、2次元設計を主体とする金型メーカーと違いはなく、プレス金型を扱う技術者には必須の基礎知識であると考えている。

 

今回トライ担当者に行った個別教育の内容

3次元CADのVISIの操作及び、金型のトライ作業に必要となる2D及び、3Dモデルの編集作業スキルを習得するための指導を行った。

 

具体的には、次のような指導を行った。

  1. 2D作図とその変更修正操作
  2. 3Dモデリングとその変更修正操作
  3. プレス製品の3Dモデルから冶具の設計をする演習
  4. パンチ・ダイの3Dモデルから金型の構造設計をする演習

 

この指導のポイントは、設計データを変更修正するスキルを中心に行った点である。

 

すでに作図された2Dデータや、モデリングされている3Dデータの意図を読み解き、変更してはいけない重要な箇所の寸法は崩さず、必要な箇所のみを調整するための手順と操作について指導を行った。

 

また「事例研究」という方法により、同社で扱っているプレス製品や金型の事例を用いて、ケースバイケースで異なる状況に応じたセオリーを学習してもらった。

 

4.の「パンチ・ダイの3Dモデルから金型の構造設計をする演習」については、同社の設計プロセスである、①同社社長がモデリングし、②解析ソフトを使って調整したパンチ・ダイの3Dモデルを受け渡され、③その後の構造設計を行う、といったところまでの技能を習得する計画である。

 

この教育については、現在実施中であるが、6か月の習得期間を見込んでいる。

 

今回行った集合教育の内容

トライ工程と保全担当者合わせて3名に行った集合教育について、同社から下記内容の基礎知識を習得させたいという要望があり、その内容に沿った教育を全5回で行った。

  • 金型で使用する鋼材の基礎知識
  • 焼入れ熱処理の基礎知識
  • コーティング技術の基礎知識(窒化を含む)
  • 硬度表記の意味について
  • 現場担当者も必要な金型設計の基礎知識
  • 切削加工の基礎知識
  • 面粗さの基礎知識
  • 三角関数の使い方

 

この指導項目の中で、「金型で使用する鋼材の基礎知識」と「現場担当者も必要な金型設計の基礎知識」について、保全作業との関連について見てきたい。

 

金型で使用する鋼材の基礎知識と保全作業

内製された金型や、協力会社である金型メーカーから調達した金型を量産で使用していく中で、金型鋼材の選定が原因となる金型トラブルが発生する事例は多く存在する。

 

例えば、上型パンチの下に配置されるバッキングプレートが、コスト削減のためSS400を使用しているなどである。

 

同社のプレス製品は、590Mpa以上のハイテン材が使用される部品が多く、特に抜き加工においては、金型に強い荷重がかかる加工が多い。

 

この場合、生産ロット数に配慮した金型鋼材が選定されるべきで、同社の金型保全担当者としては、こうした問題点を見抜く見識が必要になる。

 

このような知識を身に付けるため、今回の集合教育において、「SS400とS50Cの違いは?」「SK3(現SK105)とSKD11の違いは?」など、鋼材の使い分けを中心とした指導を行っている。

 

現場担当者も必要な金型設計の基礎知識

一見、保全担当者には不要な設計知識と思われるかもしれないが、保全担当者は金型に起こったトラブルについて、再発防止のために設計へのフィードバックという作業が必要になる。

 

量産加工中に、もし金型トラブルが発生すれば、事は急を要するためまずは応急的な処置がとられる。例えばパンチが折れたり、ダイスが割れたりといったトラブルに対する処置がある。

 

また順送プレスであれば、跳ねあがりや腰折れ、吊り上がり防止のための追加部品を取り付ける応急処置もある。

 

そういった金型は、設計上の問題であれば、生産計画のロット数が打ち終わり次第、プレス機から降ろされるタイミングなどで、再発しないよう恒久的な対策が取られる。

 

さらにもう一段階、この先の「標準化」プロセスが必要である。

 

例えば、金型A、金型B、金型Cなど、個々の金型(製品)それぞれに対してとられる対策が応急処置や恒久処置だが、発生するトラブルごとにカテゴリーを分け、複数の金型で共通の対策を設計段階から盛り込んでいくのが「標準化」の対策になる。

 

例えば、順送プレスであれば、カス上がり対策としてストリップレイアウトの外形トリムや分断パンチ形状に引っ掛かりを設けるとか、吊り上がり対策で上型に、板厚や形状に応じた一定のルールで払い機構を設けるなどの標準化がある。

 

こうした標準化のプロセスに保全担当者も参画していくため、設計の基礎知識が必要となる。

 

そこで筆者の集合教育においては、保全担当者にも設計の基礎知識を習得してもらっている。

 

集合教育の効果

昨年、筆者は同社の管理者を中心に、同様の基礎内容及び、中級レベルの集合教育を行っている。

 

以後その教材を使ってもらい、筆者が指導した管理者が次は講師となる、社内教育体制の循環を作ってもらう流れを想定していたが、今回は、外部の専門家による教育も加えることで、受講する若手に一定の緊張感を持たせ勉強に取り組ませていきたいという方針になった。

 

集合教育の途中及び、最後回には、講義全般の内容を取り入れたペーパーテストにのぞんでもらい、一定の成果を確認することができた。

 

今後の同社の取り組み

2019年は年明け早々、2次元ファイバーレーザー加工機を導入するなど、同社は積極的な設備導入を図る中、人材の技術力強化にも余念がない。

 

同社の構内通路には、全社員共通のスキルマップが掲示され、計画的な社員教育を行っている。

図2 同社構内のスキルマップ

 

今回のトライ・保全担当者への集合教育も、その社員教育計画の中での取り組みである。

 

3次元設計によるペーパーレス化と共に、機械設備面の充実も図り、それを操る技術者の強化により、独自の競争力を高めていこうとする同社に、筆者は大きな期待をしている。

 

 

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コラム投稿者

金型・部品加工業 専門コンサルティング

代表:村上 英樹(中小企業診断士)

愛知県刈谷市 TEL 0566-21-2054

 

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